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バイエルン国立歌劇場 記者会見開催!

バイエルン国立歌劇場 記者会見開催!

昨日6月6日、バイエルン国立歌劇場、ニコラウス・バッハラー総裁とケント・ナガノ音楽監督の記者会見が開催されました。
東日本大震災、福島第一原発事故の影響を受け、芸術団体、アーティストの来日中止が続いていますが、会見でバッハラー総裁は、今秋の日本公演の実施を明言し、日本にとって困難なこの時期に、日本との連帯感を示したいと語りました。
下記に2人の会見要旨をお伝えいたします。


バイエルン国立歌劇場総裁 ニコラウス・バッハラー

「私たちバイエルン国立歌劇場は、芸術家チームも技術者チームも全員、秋の日本公演のために来日することが決定しています。
私たちは日本との長年の深い関係のもと、音楽を愛する日本の皆様のために来日し、予定通り公演を行えることを大変嬉しく思っています。
日本にとって苦難の時期に、日本の友人の皆様に音楽を通じて私たちの連帯感を示すことが大切だと思っています。
音楽は、唯一の国際的言語です。芸術を通じて人々との連帯感を強めることができると思うのです。芸術というものは精神的で神聖なものであり、人々の慰めとなるものです。
もちろん私たちの歌劇場でも、日本公演について不安の声がありました。ドイツでは、原発事故について過激な情報が流れていましたから。そのような中で、公演実施についての安全性を示しながら、皆を安心させることが重要でした。現在のところそれはうまくいっていると思います。
(ソリスト歌手の来日について)先のことは誰にも断定できません。しかし9月まで、まだ3カ月あり、その間に状況が良くなるかもしれないという希望があります。また今回(記者会見出席のため)来日する前に、ソリスト全員に日本公演への参加について尋ねたところ、キャンセルを申し出た歌手は一人もおりませんでした。もちろん9月に来日した時点で、誰かのキャンセルをお伝えすることが絶対にないとは言えません。しかし、必ず上手くいくと思っています」

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バイエルン国立歌劇場音楽総監督 ケント・ナガノ 

「福島原発事故の後、バッハラー総裁と何度も日本公演について話し合いました。そして、これまでの日本との友情とパートナーシップを考えると、今こそ来日を実現しなければならないということで、合意いたしました。
日本で上演する予定の3作品は、日本の現状と照らし合わせて見ることができると思います。
たとえばR.シュトラウスの『ナクソス島のアリアドネ』では、R.シュトラウス自身が、音楽とは何か、芸術とは何かという疑問を投げかけています。お金で買えると思われているかもしれません。
もちろんアートやコンサートのチケットを購入することは可能ですが、そこにはパラドクスがあります。音楽は人間の魂をつぎ込む力があるからです。
『ナクソス島のアリアドネ』の登場人物たちは、お金では買えない、もっと価値あるものを求めています。ユーモア、悲劇、愛などさまざまな感情を含みながら、何よりも重要に描かれるのは友情とパートナーシップ。ですから、本作を日本で上演することは大変意義があると思っています。
また、ワーグナーの『ローエングリン』が描くのは、人間の欲望についてです。複雑で不可能な状況に対して、人はつねに解決策を求めます。たとえば、新聞記事なども複雑で不可能と思える問題に溢れており、これは福島原発事故の状況と酷似しています。
最初はどうやって解決できるのか、まったくわからない状態で、世界中が日本に対して同情の念を抱きました。同じ問題はいつでも自分たちの上に起こり得るのですから。このような困難な状況下で、人間についてさまざまなことが分かってきます。実際に日本人が問題に取り組む姿勢や勇気に対して、世界中から称賛の声があがりました。
オペラの『ローエングリン』では、軍事的な対峙の中での解決策を見出そうとする人間模様が描かれます。そこに、ローエングリンという人物の登場によって解決策が見出される。彼は違う世界からやってきて、人間界に特別な可能性を携えてくるのです。
そこには希望が見えます。というのは、彼が新たな視点をもってやってきたからです。
しかしこのオペラのパラドクスは、すべての問題が解決した後に、さらなる問題や疑問が生まれるということです。こうしたことから『ローエングリン』も現状にふさわしい作品だといえます。
昨日の(青山学院管弦楽団との)コンサートは、(被災地の)教育のために行うベネフィットというだけでなく、前向きなメッセージを発することができた特別な機会だったと思います。私はそこで、日本の将来に向けたエネルギーや可能性を強く感じることができたのです。昨日演奏した青学の学生たちは、将来、必ずしもプロの音楽家になるわけではなく、さまざまな夢をもち職業を希望する学生たちです。彼らの音楽との関わり方はさまざまですが、しかし音楽をともに作り上げる情熱、熱意は共通のものでした。このような若いエネルギーは伝染していくものです。この大学オケとの共演を通して、若い人々の可能性や前向きな姿勢が、芸術分野に限らず、社会に広がっていくエネルギーをもつのだと思いました。そうしたエネルギーを伝える機会が持てたことを嬉しく思います」

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バイエルン国立歌劇場2011年日本公演は9月23日、神奈川県民ホールにおけるエディタ・グルベーヴァ主演『ロベルト・デヴェリュー』で開幕いたします。どうぞご期待ください。

撮影:引地信彦


2011年6月 7日 15:05 公演関連情報

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