▶公演関連情報 (17)

▶メディア情報 (6)

▶キャスト表 (11)

月別アーカイブ

バイエルン国立歌劇場総裁 ニコラウス・バッハラー インタビュー

バイエルン国立歌劇場総裁 ニコラウス・バッハラー インタビュー


5年におよぶ準備を経て、ミュンヘンが誇る舞台で、日本公演の実現を迎えます。

ニコラウス・バッハラー(バイエルン国立歌劇場総裁)


東日本大震災により、日本のクラシック音楽界では4月以降、開催キャンセルが相次ぎました。そうしたなか、バイエルン国立歌劇場のニコラウス・バッハラー総裁とケント・ナガノ音楽総監督が6月初旬に急遽来日し、秋の日本公演実施に向けての記者会見を開催。バッハラー総裁はこの席で、今回の日本公演は、すでに5年間にもおよび準備をしてきたものであること、また、この来日前には、主な出演者たちと直接連絡をとり、来日に向けての意向を確認したことなどを発表し、バイエルン国立歌劇場日本公演の実現を約束しました。ここでは、総裁から見た上演演目の魅力について、ご紹介いただきました。


------あなたは、ウィーンのブルク劇場の監督として大きな功績を残されました。特に、演出家の起用について、すでにキャリアを築いている方々とともに、若い世代の演出家の起用も並行されるといったことも含め、大きな成果を残されたと思います。このことから、あなたの演出に対するお考え、また、今回の3つの演目の演出家について、どのような特徴をもった方々か、ご紹介ください。

11-07.07_02.jpgバッハラー:演出で大切なことは、人間のためのストーリー(物語)を体感できるようにすることです。ということは、客席に座って見てくださる観客の皆様が、舞台上で起こっている事を、自分の一部であるかのように感じて見て頂くということです。その点、今回の3つの作品のなかでは、ローエングリンが具体的な、物を作り上げる人間として描かれる『ローエングリン』の演出が良い例といえるでしょう。『ローエングリン』のリチャード・ジョーンズは、オペラの演出としては、最も知的なコンセプトを打ち立てる人です。彼は、とてもイギリス的なユーモアに溢れ、独自の劇場への取り組み方を持っています。観客の皆さまをきっと引き付ける興味深い演出をしてくれます。
 『ロベルト・デヴェリュー』のクリストフ・ロイは、とてもドイツ人的演出家です。一人ひとりへの細かい演出でとても有名ですが、登場人物の歌手それぞれと詳細なリハーサルをします。その場面の状況を捉えて、緻密な動きを歌手につけていきます。いわゆる「Personen Regie」(人への演出)として知られている演出家です。ロイは、『ロベルト・デヴェリュー』の後、『ルクレツィア・ボルジア』も演出しましたが、これもグルベローヴァのためのプロダクションとして作られました。
 『ナクソス島のアリアドネ』のロバート・カーセンは、大変に知的で、もう世界的に有名になっているオペラ演出家です。とても美的感覚にすぐれ、ひとつのフォームを作り上げます。この作品の魅力は、とにかく"遊びのよう"であること。喜劇と悲劇が交差し、互いに組み合わさる、これをカーセンは特に魅力的に演出しています。この上演では、ケント・ナガノがカーセン演出のコンセプトに共感して、音楽を軽やかに透明感のある解釈で作り上げていることも大きな魅力となっています。


11-07.07_03.jpg------2008/09年シーズンから就任されて3シーズンを終えたところでの手ごたえは?また、これからが本格的にバッハラー総裁の意向が全面的に現れることになると思います。2013年にはバイエルン国立歌劇場にとっても重要な作曲家であるワーグナーのメモリアル・イヤーも控えていますが、特別なプランはありますか?

バッハラー:私はあまり記念の年ということは気にしません。画家でも作曲家でも、重要な人は常に重要なわけですから、常に取り上げるべきでしょう。ワーグナーの作品は、次のシーズン、つまりメモリアル・イヤーの1年前の2012年に《ニーベルングの指環》を新しくします。2013年はヴェルディ・イヤーでもありますから、この年はもっとヴェルディを取り上げるでしょう。2013年のフェスティバルは、ワーグナーとヴェルディの作品だけ上演する予定です。ワーグナーのほとんど全ての作品と、多くのヴェルディのオペラを。


------バイエルン国立管弦楽団および合唱団について。ケント・ナガノ音楽総監督(GMD)によって、変化がもたらされたと感じられますか? 

バッハラー:オーケストラは常にGMDに影響を受けると思いますが、ケント・ナガノの繊細で、透明感のある、知性溢れる指揮により、オーケストラの音楽は大いに影響を受けてきました。GMDと並んで、私たちのオペラハウスに、多くの良い指揮者も招聘しています。また若い世代の有能な指揮者も起用してきました。これもオーケストラと合唱の水準を高めてきたと言えることですが、世界のオペラハウスの中でも最も素晴らしいオーケストラと合唱になっていると自負しています。


------秋の来日公演が益々楽しみになってきました。

インタビュー:NBSニュース編集部 通訳:松田暁子

撮影:引地信彦


※NBSニュースvol.293特報版より転載


2011年7月 7日 09:51 公演関連情報

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.nbs.or.jp/mt5/mt-tb.cgi/23

コメントする