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バイエルン国立歌劇場記者会見レポート

バイエルン国立歌劇場記者会見レポート


 本日いよいよバイエルン国立歌劇場日本公演が開幕します。それに先立って昨日(9月22日)、NHKホールにおいて、「ローエングリン」の舞台総稽古の前に来日記者会見を開催いたしました。
 会見にはケント・ナガノ音楽総監督とニコラウス・バッハラー総裁が出席。そして4人の主演ソリスト、ヨハン・ボータ(ローエングリン役)、エミリー・マギー(エルザ役)、ワルトラウト・マイヤー(オルトルート役)、エフゲニー・ニキーチン(テルラムント役)が、総稽古の準備の合間をぬって登場し、それぞれの公演にかける想いを語りました。

マイヤー「日本に来るたびに、素晴らしい観客の皆さまのために歌えることを嬉しく思っております。今回も本当に楽しみにやってきました」
ニキーチン「何度も来日していますが、日本の観客が大好きなので、舞台に立つのがいつも楽しみです。今週日曜日が初日です。ベストを尽くしますので、楽しみにしていてください」
マギー「日本にまた戻ってこられて、とても嬉しい。日本のお客さまは素晴らしいという印象をもっています。どうぞ舞台を楽しんでください」
そして8月のキャスト変更により、急遽タイトル・ロールを歌うことになったボータ氏は、「2年前にミラノ・スカラ座の「アイーダ」で歌わせていただいたばかりですが、今回このようなことになって自分でも驚いています。休暇中に電話があって出演のオファーをいただき、嬉しくて間髪入れずに承諾の返事をしました。公演をぜひ楽しみにしてもらいたいと思います」と抱負を語ってくれました。

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 続いて、総稽古での最後の仕上げに臨もうとしているマエストロ、ケント・ナガノ。
「歌手の方々とまったく同じ気持ちで、私もこの公演を大変楽しみにしてきました。最善を尽くしたいと思っています。日本での公演は私にとって特別なことなのです。飛行機で空港に降り立ち、ホテルにチェック・インする前からすでにリハーサルが始まったような、それほどの興奮ぶりでした。  
今、オーケストラのメンバーもコーラスも、プロ意識という以上に、日本との強い結びつきを感じています。バイエルン国立歌劇場の日本公演は数十年前から続いており、日本は我々の伝統を共有できる国でもあります。数か月前、日本では大変なことが起こったにも拘わらず、私たちの招聘について強い意思を見せてくださったことに心を動かされました。メンバーはみな準備万端で来日しており、エキサイティングな気持ちで公演に臨んで、私たちの伝統を再び皆さまと共有できることを楽しみにしています。またこれは個人的な感慨ですが、オペラは魔法だとよく言わる通り、今回の日本の状況を考え併せると、ボータ氏との共演がこのような形で東京において実現できることがまさに夢のように感じられます。この10年、我々の共演はタイミングが合わずに実現できなかったのですから」

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 そして最後にバッハラー総裁から日本公演の概要についての説明があり、質疑応答へと続きました。
「多くの出演者、スタッフの参加のもとに、本国と同様の水準で行う、このような大がかりな引っ越し公演は、私たちにとっても大事業であり、4年もの準備期間を要した大きな挑戦でもあります。今回選んだ3作品は、芸術的、あるいは美的な感覚においても、いずれもバイエルン国立歌劇場の特徴をもっともよく表す、顔ともいえる作品ばかりです。これら3作品を通して、バイエルン国立歌劇場の芸術性の高さや仕事ぶりをつぶさに見ていただけるものと思います。

我々は世界的な歌劇場の一つであると自負していますが、とくに音楽については最高の水準を誇っています。そしてオペラには古い作品も新しい作品もありますが、どれも現代的な解釈のもとに、アクチュアルな芸術として上演することが歌劇場の方針であり、そうした面もご堪能いただけるはずです。

日本では3月に大震災があり、その後も厳しい状況が続いていますが、それにも拘わらず私たちは公演実現のために最大限の努力をし、それは受け入れる日本側も同様であったことと存じます。その結果、ベスト・メンバーをもって舞台をご覧いただくことができるのです。

来日にあたって(放射能の問題について)不安を感じるメンバーがいたことも事実です。しかし大多数のメンバーが喜んで参加する意思を見せてくれました。歌劇場には千人以上のメンバー、スタッフがおり、そのうち今回来日するのは400人です。

日本公演を行う上でもっとも大切なのは、皆が連帯感をもってひとつにまとまることだと感じていました。そのために(放射能に関する)専門家もまじえて多くの話し合いを持ちました。無知から生まれる不安ほど問題なものはありません。ですから、できるだけ多くの情報を提供しました。それによって、各自が確信をもつことが大事だと思ったのです。

私たちのように大きな歌劇場には、専属でなくともさまざまな契約や結びつきで仕事をするメンバーやスタッフがおり、今回、まったく関わりのない人間が参加していることありません。それぞれの部署でこれまで緊密な仕事関係を重ねたメンバーが対応してくれました。音楽面でいえば同じクオリティを保てる人々であり、そうでなければケント・ナガノ氏のような優秀なマエストロが承諾するはずはありません。ですから来日する400人は、基本的には私たち歌劇場のメンバーだということができます。その上で、グルベローヴァ、ボータ、マイヤーなど素晴らしいソリストの顔ぶれとともに日本公演に臨めることを本当に嬉しく思っております。

日本公演への不参加を表明する者がいる一方で、ぜひ代わって加わりたい、日本との連帯や友情を深めたいとと申し出る者たちがおりました。彼らのその気持ちは素晴らしいと感じますし、ともに来日できることを誇りに思います。私たちの今の目標は、今回参加しなかった人たちが、「やっぱり日本に行けばよかった」と思うような、素晴らしい公演をやり遂げて帰還することなのです」


撮影:長谷川清徳

2011年9月23日 09:50 公演関連情報

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