ローマ歌劇場2014年日本公演

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2014年5月21日

ローマ歌劇場2014年日本公演開幕記者会見レポート

 今月20日に初日を迎えたローマ歌劇場2014年日本公演。その前日に、終身名誉指揮者リッカルド・ムーティ氏、劇場総裁カルロ・フォルテス氏、芸術監督アレッシオ・ウラッド 氏を囲む開幕記者会見が行われた。昨年末にも、レクチャー&コンサートのために来日しファンを湧かせたムーティ氏。パワフルに、時にユーモアも交えてオペラへの愛を語る姿が印象的だった。

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「ヴェルディは未来の音楽家なのです。こう言うと、まるで逆のことを言っているようですが、彼は過去から現在まで、本当に書きたかったことを裏切られて演奏され続けてきた作曲家なのです。モーツァルトやワーグナー、R・シュトラウスは厳格に演奏されてきましたが、ヴェルディは「イタリア的」ということの意味が歪曲され、スコアは省略され、歌手たちの技巧を見せびらかすための上演ばかりが行われてきました。これに一番責任を感じなければならないのは、私たちイタリア人なのです」

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逸脱的な演出も多い中、「詩的で音楽的目的に沿った演出」とムーティ氏が評価する今回の『ナブッコ』と『シモン・ボッカネグラ』では、マエストロが「50年かけて到達した」ヴェルディの真骨頂を味わうことができる。
「なぜあなたはそんなに素晴らしいのか?とヴェルディに聞いた者がいました。そのときの、彼の答えはこうでした。『仕事、仕事、また仕事!』。人生とは、大きな努力なしでは何の意味もないものなのです」

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 劇場総裁フォルテス氏は、現代におけるオペラ上演の重要さを強調する。
「テクノロジーが発達したこの時代において、オペラは長い年月をかけて発展し続けていくアートです。長い目で見ていくことが重要ですし、来日公演は文化交流の一環でもあります。チャレンジし続けることが重要です」

 総勢250名で来日し、計6回の上演を行っていくローマ歌劇場。「イタリア人は一番よりよい公演を紹介していく義務がある」というムーティの言葉には、イタリアオペラの燦然たる「誇り」が宿っていた。

文:小田島久恵(音楽ライター)

photo : Borrelli_Lelli e Masotti / Teatro dell'Opera di Roma
photo : Yasuko Kageyama / Teatro dell'Opera di Roma
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