ローマ歌劇場2014年日本公演

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2014年2月26日

ローマ歌劇場日本公演2014「シモン・ボッカネグラ」バルバラ・フリットリ インタビュー

もっか"イタリア・オペラの女王"とも呼ばれ、日本でも絶大な人気を誇るバルバラ・フリットリ。マエストロ・ムーティの薫陶を受けた彼女が、その指揮の下、オペラの舞台を踏むのは、日本では2008年のウィーン国立歌劇場公演「コシ・ファン・トゥッテ」以来。見逃せない舞台になりそうです!


「アメーリアは私のレパートリーの中でも大切にしている役。歌っていてもうっとりしてしまいます」

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――『シモン・ボッカネグラ』のアメーリア役を初めて演じられたのはいつですか?

フリットリ:初めてこの役を歌ったのはもう20年くらい前になります。ボローニャの市立歌劇場で指揮はマエストロ・ダニエレ・ガッティでした。


――アメーリア役はあなたのレパートリーのなかで、どのような位置にありますか?

フリットリ:アメーリアはソプラノ・リリコの役なのでヴェルディの作品の中でも私のレパートリーとして大切にしています。本当に素晴らしい作品で、アリアはもちろんですけれど、デュエットも美しくて、歌っていてもうっとりしてしまいます。


――政略や策略が渦巻くこのオペラの中で、紅一点、アメーリアには一服の清涼剤的な役目も与えられているのではありませんか?

フリットリ:そうですね。ヴェルディのオペラのヒロインは政治的な物語の中にあっても、政治や策略は別として、ドラマの進行において重要な役を果たしていることが多いと思います。アメーリアの場合は本当の父であるシモンと25年後に偶然再会するというドラマティックな場面があります。また、このオペラでは社会的な身分の違いに関しても焦点が当てられていると思います。アメーリアは自分が平民に生まれ、孤児だったということを常に意識しています。彼女はガブリエーレ・アドルノという貴族の恋人と愛し合っていますが、パオロからも言い寄られていて、パオロから恨みをかう立場になります。シモン・ボッカネグラは平民のなかから選ばれた初代総督なので、特に身分の差について強調されているのでしょうね。


「ムーティとの共演は、歌手にとって、まるで耳が変わったと思うほど、作品を再発見させます」


――すでにマエストロ・ムーティの指揮では、数々の作品で共演されていますが、フリットリさんからご覧になったマエストロのヴェルディへの取り組みで、最も印象的なことは何ですか?

フリットリ:マエストロとはヴェルディやモーツアルトなど多くの作品でご一緒させていただいています。マエストロは常に音楽の中にある真実を求めて、作曲家がどのように演奏することを望んだかというところまで追求されています。ですから、歌手も表面的ではない表現で演奏することができるようになるのです。特にマエストロはヴェルディに関しては造詣が深いので歌手にとっては大変勉強になります。作品の内容や役を理解することへの大きな助けになって、自然に役になりきれるようになります。今回、マエストロの指揮でアメーリアが歌えることは幸せでたまりません。きっと新しい扉を開くことができると思い、とても待ち遠しく感じています。


――最後に日本の皆さんにメッセージをお願いします。

フリットリ:私はどういう訳か、今までローマ歌劇場に出演する機会が一度もありませんでした。今回は初めてローマ歌劇場の公演に参加することになり、大好きな日本で、心から尊敬するマエストロ・ムーティの指揮で、大切にしているレパートリーのアメーリアを歌うことができて本当に嬉しく思っています。そして、いつも私を応援してくださる日本の皆さんにまたお会いできることを心から楽しみにしています。


(インタビュー・文/田口 道子 演出家、在ミラノ)


photo:Alexander Vasiljev