佐々木忠次 追悼メッセージ 長らくNBS/東京バレエ団の代表をつとめていた佐々木忠次が、去る4月30日未明心不全で他界しました。この訃報を受けて世界中のアーティストから続々と追悼メッセージが寄せられています。スカラ座はいち早くステートメントを発表し、ドイツの新聞Die Welt では、「佐々木忠次:日本のディアギレフの死」と題した哀悼の記事が掲載されました。佐々木は8カ国から計18の勲章や賞を受賞していますが、故人の業績は日本よりもむしろ海外で高く評価されていたように思います。ここでは親交のあったアーティストから寄せられた追悼メッセージを一部ご紹介させていただきます。(5月20日現在届いているメッセージの中から抜粋しています。全文はNBSのホームページに掲載しています。20日以降に届いたメッセージも順次ホームページに掲載していきます)

アンソニー・ダウエル
(元英国ロイヤル・バレエ団芸術監督)

Anthony Dowell

 佐々木忠次さんは、洞察力と決断力を兼ね備えた、偉大な人物でした。このような資質があったからこそ、彼は、それまで来日したことのなかった世界のトップクラスの芸術団体を日本に招聘することができたのです。
 一流のダンサー、歌手、音楽家、管弦楽団と指揮者が長年にわたって日本全国を訪れるようになったのは、彼の尽力の賜物です。 彼らの名演を堪能した日本の観客は、舞台芸術への関心をますます深め、誠実なファンとなりました。
 幸運なことに、私は佐々木さんの知遇を得ることができました。英国ロイヤル・バレエ団が初めて日本公演を行った際には、まず、ダンサーとして彼と接しました。後年は同団の芸術監督として、さらには、シルヴィ・ギエムの日本縦断ツアーに参加した最後の舞台の際にも、彼とお目にかかりました。
 日本を訪問する毎に、佐々木さんは細心の注意をはらってスケジュールを組んでくれました。アーティストへの心遣いは完璧で、私達を惜しみなく歓待してくれました。
 日本舞台芸術振興会ならびに東京バレエ団の皆様方に、心よりお悔やみ申し上げます。彼は両団体の創設者であり、父親と呼ぶべき存在でした。

オレリー・デュポン
(パリ・オペラ座バレエ団エトワール)
2016/17 よりパリ・オペラ座バレエ団芸術監督

Aurélie Dupont

 佐々木さんは、非凡な方でした。この素晴らしいダンス・プロデューサーの存在を、誰もが知っていました。
 彼は真の尊敬を集めていました。彼の人生はダンスとダンサーへの情熱に、愛に、そし て卓越した優秀さに満ちていました。
 彼は最も素晴らしいダンサーたちを一手に集めていたと言えるのではないかと思います!
 優れた鑑識眼をお持ちのあなたから、いつも変わらず声をかけていただけたことを誇りに思います。私はあなたの素晴らしさを決して忘れません。生涯、あなたを讃え続けるでしょう。あなたは勇敢で先見の明のある方でした。ダンサーたちーすべてのダンサーたちーはどれほどあなたにお世話になったかしれません。私は佐々木さんのために仕事が出来たことを光栄に思っています。心からのキスを送ります。


セルゲイ・フィーリン
(元ボリショイ・バレエ芸術監督)

Sergei Filin

 佐々木さんという人物について語るにあたり、彼が私たちの真の友人であり、いつも自分の使命を、自分の愛する仕事を非常に高いレベルで遂行した人だったということが思い出されます。私たちが東京を訪れたときもすべてが快適であるように整えてくださり、彼の家がまさに私たちの第二の家であるか のように感じられたものでした。佐々木さんと会わないうちは、東京に来ていてもそこにいる実感がわかなかったほどです。この忘れることのできない鮮明な思い出は東京バレエ団と分かちがたく結びついています。彼の思い出は私たちの心の中に生き続けています。彼のことを知り、共に働き、愛し、親交を持っていた人々は誰も彼のことを決して忘れないでしょう。私たちの命がある限り、佐々木さんの尊いお名前は永遠に生き続けるでしょう。

バルバラ・フリットリ
(歌手)

Barbara Frittoli

 この偉大なる人物は、日本におけるバレエと音楽の魂そのものであり、音楽を生きる道とする我々全員にとって、とても大切な方でした。
 いま私たちの心には大きな穴が穿たれ、それはアートの世界に携わるすべての人々が同じように感じているに違いありません。
 佐々木さんは常に偉大な大空で輝きを放つ星であり、心からの愛を込めて、この素晴らしい方への賞賛、勝利、そして感謝の歌に声を合わせたいと思います。


エディタ・グルベローヴァ (歌手)

Edita Gruberova

 佐々木忠次様のご逝去の知らせに、私は深いショックを受け、大きな悲しみに襲われています。佐々木様の、ヨーロッパ文化を日本に招聘なさるという業績は、1980 年から2012年までの私の歌手人生の大きな部分でもあり、多くのコンサートとオペラ公演で日本にお呼び頂きました。
 ここに、偉大な方のご逝去を心から悼み、ご冥福を衷心よりお祈り申し上げます。佐々木様との素晴らしい思い出を私は決して忘れません。

シルヴィ・ギエム (ダンサー)

Sylvie Guillem

 佐々木さん、安らかにお眠りください。貴方は日本の芸術のために偉大な貢献を成しとげました。私のためにも、多くのことをしてくださいました。東京バレエ団を創設し、音楽とオペラを心から愛し、世界のトップレベルのオペラ・カンパニーとオーケストラを日本に招聘されました。日本では前例のない偉業です。バレエとオペラ、音楽に情熱を注ぎ、時代を切り開き、偉大にして比類のない新作も生み出しました。あなたの情熱を人々が記憶に留め、これらの新作とともに生き続けることを、私は願っています。心が張り裂けそうなくらいに寂しいけれど、佐々木さん、ありがとう。そして、さようなら。


ルネ・コロ (歌手)

René Kollo

 佐々木様とご一緒に過ごした日々のことが、走馬燈のように思い出されます。佐々木様は私と私の妻に日本をより近いものにしてくださっただけでなく、佐々木様の素晴らしく寛大なご親切により、私たちは日本が大好きになりました。私たちは生涯を通じて、佐々木様のことを常に温かい気持ちで思い出すことでしょう。心からの尊敬をこめて。

ヨッヘン・コワルスキー (歌手)

Jochen Kowalski

 この度、芸術と芸術家のために尽くされた偉大なるひとつの人生が完結したと言えます。佐々木様が西洋の文化を日本に広めるために尽くされた功績は計り知れません。私個人としても、どれだけ佐々木様に感謝をしてもしきれないほどで、決して佐々木様のことは忘れません。
 音楽家の天国にいらして、そこではマエストロ・カルロス・クライバーと一緒にお酒を飲みながら、二人で地上を見下ろして、どんなに良い時代を一緒に過ごされたかとお話になることでしょう!
 ありがとうございました、ミスター佐々木! 私たちの心にあなたは生き続けます!


イリ・キリアン (振付家)

Jirí Kylián

 佐々木さんは人々の記憶に永遠に残ることでしょう。東京バレエ団の創立のみならず、日本の文化的景観に多大な影響を与えた文化的活動によって。
 佐々木さんのことを、とても寂しく思い出すでしょう。けれど、彼がいつも、私の心の中の特別な場所を占めているであろうことは、間違いありません。

ウラジーミル・マラーホフ (ダンサー)

Vladimir Malakhov

 バレエ・ダンサーとしての四半世紀に及んだキャリアのなかで、幾人かの人たちが、一人の人間として、アーティストとしての私の成長を後押ししてくれました。佐々木忠次 さんは、その筆頭に挙げるべき大切な人でした。彼の人生に感謝の念を捧げ、彼の逝去を深く悼みます。
 長年に及ぶキャリアを通して、幾人ものプロデューサーと仕事をしましたが、佐々木さんほどにアーティストに深い敬意を払い、劇場を愛した人はいません。佐々木さんは日本および海外において、オペラ、音楽、バレエのために尽力されました。彼が日本のパフォーミング・アーツの世界で為しとげた偉業がどれほど大きなものだったのか、正確な判断を下すには、もうしばらくの時間が必要かもしれません。
 心の底から言います。ありがとう。


ズービン・メータ (指揮者)

Zubin Mehta

 私たち夫妻の友人である佐々木忠次さんほどに情熱に溢れ、ユーモラスでありながら、崇高なプロ意識を持ち合わせたプロデューサーに、私はいまだかつて出会ったことがありません。彼はバレエを愛していました。私との友情を深めてくれました。さらには、私が指揮をしたフィレンツェとミュンヘンの歌劇場、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団をも愛してくれました。おかげで、私たちはいつだって佐々木さんがいらっしゃる日本を訪れ、日本の素晴らしい聴衆の前で演奏したい、という思いに駆られていました。

ワルトラウト・マイヤー (歌手)

Waltraud Meier

 佐々木様は芸術の偉大なパイオニアでいらっしゃり、日本の観客の皆様に私たちのオペラ公演を見て頂く素晴らしい可能性を与えてくだいました。心から感謝しているのは、私だけではありません。そして素晴らしい国日本、そして日本の人々を私たちにより近く紹介してくださいました。偉大な人が私たちから去られました-私は彼を決して忘れません...


ジル・ロマン
(モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督)

Gil Roman

 佐々木氏はつねに芸術のために尽くしていました。故モーリス・ベジャールと志を同じくする人でした。「ザ・ショー・マスト・ゴー・オン」、すなわち、いかなる時も公演の幕を上げなくてならないのです。
 私は何年もの間、佐々木氏とモーリス・ベジャールの傍らで、二人がかわす魔法のように素敵な会話に耳を傾けてきました。彼らは鋭敏な知性の持ち主で、なおかつ優しさあふれる友情で結ばれていました。まったく別個の人格なのに、双子のように似ていると感じることもありました。二人には共通点がありました。自分の領域で、つねに最高のものを追求する姿勢です。
 NBSとモーリス・ベジャール・バレエ団の友情の端緒を開いたのは、佐々木氏とモーリス・ベジャールでした。遺された私たちの使命は、二人の先達にならって未来を切り開いていくことです。

その他のメッセージを下さった方々

リード・アンダーソン
(シュツットガルト・バレエ団芸術監督)

Anthony Dowell

カラン・アームストロング
(歌手)

Karan Armstrong-Friedrich

アグネス・バルツァ
(歌手)

Agnes Baltsa

フィリップ・バランキエヴィッチ
(ダンサー)

Filip Barankiewicz

ダニエル・バレンボイム
(指揮者)

Daniel Barenboim

アレックス・ベアード
(英国ロイヤル・オペラ総支配人)

Alex Beard

デヴィッド・ビントリー
(英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団芸術監督)

David Bintley

フェリックス・ブラスカ
(振付家)

Felix Blaska

ロベルト・ボッレ
(ダンサー)

Roberto Bolle

タマシュ・ディートリヒ
(シュツットガルト・バレエ団副芸術監督)

Tamas Detrich

マリア・ディ・フレーダ
(ミラノ・スカラ座ゼネラル・ディレクター)

Maria Di Freda

ジャン=マリー・ディディエール
(ダンサー)

Jean-Marie Didière

オルガ・エヴレイノフ
(振付指導)

Olga Evreinoff

カルロ・フォルテス
(ローマ歌劇場総裁)

Carlo Fuortes

デヴィッド・ガーフォース
(指揮者)

David Garforth

メイナ・ギールグッド
(オーストラリア・バレエ団芸術監督、バレエ指導者)

Maina Gielgud

マルセロ・ゴメス
(ダンサー)

Marcelo Gomes

シルヴィオ・グァルダ
(パーカッショニスト)

Sylvio Gualda

マチアス・エイマン
(ダンサー)

Mathias Heymann

ローラン・イレール
(ダンサー)

Laurent Hilaire

イオアン・ホーレンダー
(前ウィーン国立歌劇場総監督)

Ioan Holender

ニコライ・ヒュッベ
(デンマーク・ロイヤル・バレエ団芸術監督)

Nikolaj Hübbe

ギネス・ジョーンズ
(歌手)

Gwyneth Jones

ジュリー・ケント
(ダンサー)

Julie Kent

マリア・コチェトコワ
(ダンサー)

Maria Kochetkova

ブリジット・ルフェーブル
(前パリ・オペラ座バレエ団芸術監督)

Brigitte Lefèvre

マニュエル・ルグリ
(ウィーン国立バレエ団芸術監督)

Manuel Legris

アニエス・ルテステュ
(ダンサー)

Agnès Letestu

モニク・ルディエール
(ダンサー)

Monique Loudières

ジャン=クリストフ・マイヨー
(モンテカルロ・バレエ団芸術監督)

Jean-Christophe Maillot

モニカ・メイスン
(前英国ロイヤル・バレエ団芸術監督)

Monica Mason

デヴィッド・マッカリスター
(オーストラリア・バレエ団芸術監督)

David McAllister

エヴァン・マッキー
(ダンサー)

Evan McKie

スティーヴン・マックレー
(ダンサー)

Steven McRae

ロベルト・マイヤー
(ウィーン・フォルクスオーパー総監督)

Robert Meyer

ドミニク・マイヤー
(ウィーン国立歌劇場総裁)

Dominique Meyer

リッカルド・ムーティ
(指揮者)

Riccardo Muti

レオ・ヌッチ
(歌手)

Leo Nucci

ケヴィン・オヘア
(英国ロイヤル・バレエ団芸術監督)

Kevin O’Hare

ワレリー・オブジャニコフ
(指揮者)

Valery Ovsyanikov

エリザベット・プラテル
(パリ・オペラ座バレエ学校校長)

Elisabeth Platel

マライン・ラドメーカー
(ダンサー)

Marijn Rademaker

タマラ・ロホ
(ダンサー、イングリッシュ・ナショナル・バレエ芸術監督)

Tamara Rojo

エリザベット・ロス
(ダンサー)

Elisabet Ros

ポリーナ・セミオノワ
(ダンサー)

Polina Semionova

ガリーナ・ステパネンコ
(ダンサー)

Galina Stepanenko

ニコライ・ツィスカリーゼ
(ダンサー)

Nikolay Tsiskaridze

ウラジーミル・ウリン
(ボリショイ劇場総裁)

Vladimir Urin

タマーシュ・ヴァルガ
(ウィーン室内合奏団メンバー)

Tamás Varga

ウラジーミル・ワシーリエフ
(振付家)

Vladimir Vasiliev

フリーデマン・フォーゲル
(ダンサー)

Friedemann Vogel

セバスティアン・ヴァイグレ
(指揮者)

Sebastian Weigle

イーゴリ・ゼレンスキー
(モスクワ音楽劇場バレエ及びノヴォシビルスク・バレエ芸術監督)

Igor Zelensky

佐々木忠次・お別れ会のご案内

これまで観客として佐々木忠次を支持してくださった皆さまのご臨席を歓迎いたします。

日時:2016年6月12日(日)正午より
会場:東京バレエ団本館スタジオ (東京都目黒区目黒4丁目26番地4号)

※故人の遺志によりご香料・ご供花の儀はご辞退申し上げます。
※当日は平服にてお越しくださいますようお願い申し上げます。
※駐車場のご用意はありませんので、公共交通機関をご利用ください。