ショルティ、バレンボイム時代を経て、
ムーティ+シカゴ響、いま最高潮!

1891年創設のシカゴ交響楽団は2016年に125周年を迎える。オーケストラの輝かしい歴史には数々の名指揮者の薫陶の積み重ねがあった。創設から60年ほどで「全米随一」の評価を不動のものにしたが、一挙に世界のトップ・レベルへと飛躍をみせたのは1970年代のこと。立役者は1969年に音楽監督に就任したゲオルク・ショルティだった。ショルティは、シカゴ響の強靭なアンサンブルとパワフルなサウンドによりいっそうの磨きをかけ、ベルリン・フィルやウィーン・フィルに勝るとも劣らない力量を発揮させた。ショルティは初の欧州ツアーや日本公演も実現させたが、当時、オーケストラ音楽といえば、真っ先にショルティ+シカゴ響が挙げられるほどの人気ぶりを、懐かしく思い起こす日本のファンも少なくないだろう。ショルティの功績は、クラウディオ・アッバードやカルロ・マリア・ジュリーニなど、自分とは異なるタイプの指揮者を積極的に迎えたことにもあった。それがメンバー一人ひとりがソリスト級の腕前をもつシカゴ響に、柔軟性と機能美を備えさせることにつながった。ショルティの後を受けたダニエル・バレンボイムが音楽監督を務めた時代も、さらに「世界の三大オーケストラ」としての存在感を高めることに成功した。

そして現在、リッカルド・ムーティを音楽監督に迎えたシカゴ響は、その「世界三大オーケストラ」のなかでも、最も充実し安定感があるとの評価を得ている。就任から5シーズンの間に、ムーティはシカゴ響を率いて、初のロシア公演を含む海外ツアーを重ねているほか、デジタル時代に対応したライブ中継を行うなど、映像を通しても世界中のファンを魅了している。かつてショルティ+シカゴ響の凱旋を大パレードで迎えたシカゴ市民は、いまムーティ+シカゴ響を、そのとき以上に誇らしく今回の日本・アジア・ツアーに送り出すに違いない。

Photo:Todd Rosenberg

◆予定されるプログラム

2016年
1月18日(月)7:00p.m.

ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 op.67「運命」
マーラー:交響曲 第1番 ニ長調「巨人」

2016年
1月19日(火)7:00p.m.

プロコフィエフ:交響曲 第1番 ニ長調 op.25「古典交響曲」
ヒンデミット:弦楽と金管のための協奏音楽 op.50
チャイコフスキー:交響曲 第4番 ヘ短調 op.36