「リリオム─回転木馬」プロローグ付全7場(休憩1回)
原作:フェレンツ・モルナール
音楽:ミシェル・ルグラン
振付・衣裳・照明:ジョン・ノイマイヤー
装置:フェルディナンド・ヴェゲルバウアー
Photo:Holger Badekow
ジョン・ノイマイヤーの近作『リリオム』は、ロジャーズ/ハマースタインのブロードウェイ・ミュージカルの名作『回転木馬』の原作となった、フェレンツ・モルナールの戯曲をバレエ化した感動の舞台です。少年の頃に故国アメリカで『回転木馬』に感動したノイマイヤーは、原作を読んでさらに心打たれ、いつか本作に取り組みたいと念願していたと言います。
1930年代の大恐慌時代。威勢のいいならず者リリオムは、ジュリーとささやかな生活を営むものの、職を失い、生まれてくる子どものためにと盗みを犯し、その失敗と絶望から自殺。“あの世”から、一時、現世に戻ることが許された彼は、自分に似た息子がかつての自分と同じ状況にあることを知って動揺します。リリオムと妻のジュリーの不器用な愛と生き様が、次代へと受け継がれてしまうかに見えた時、リリオムが“あの世”から持ってきた「星」がひとすじの希望をもたらし、大きな感動を呼ぶのです。
本作の初演にあたってノイマイヤーが、『シェルブールの雨傘』などの名作で知られる映画音楽の巨匠ミシェル・ルグランに全編の音楽を委嘱したことも大きな話題。ジャズの楽想を取り入れたルグランの音楽は、時代の空気を濃厚に匂わせながら感動の瞬間を盛り上げます。初演から舞台上のセットでこれを演奏するのが、ハンブルクに拠点を置く北ドイツ放送協会(NDR)ビッグバンドで、日本でも彼らによる演奏が実現します。
そして本作でリリオムの妻ジュリーを初演したのが、元英国ロイヤル・バレエ団のトップ・プリンシパルのアリーナ・コジョカル。現在はイングリッシュ・ナショナル・バレエに籍を置きつつ、ノイマイヤーの厚い信頼の下、客演を重ねている実力派スターのコジョカルが全公演に出演予定です。涙と感動を約束する『リリオム』にどうぞご期待ください!
遊園地の客引きリリオムは、水兵にからまれたジュリーを助けたことから恋に落ち、ふたりはともに暮らし始める。雇い主で愛人でもあったマダム・ムシュカートに解雇されたふたりの生活は苦しく、また互いに気持ちを素直に伝えられない。リリオムは些細なことでジュリーを殴ってしまうが、彼女が子を宿していることを知ると未来に希望を抱く。しかしリリオムは悪人フィスカーにそそのかされて盗みを働き、失敗すると絶望して自殺する。
あの世で裁かれたリリオムは、煉獄にとどめ置かれる。16年後、束の間、地上に戻ることを許されたリリオムは、天国の星を土産に成長した息子のルイスに会う。しかし自分そっくりに荒ぶれた息子から拒絶され、失望と怒りから彼は息子を殴る。そこにジュリーが現れ、リリオムの気配を、そして彼の愛を感じ取る。
Photo:Holger Badekow
3月4日(金)6:30p.m.
リリオム:カーステン・ユング / ジュリー:アリーナ・コジョカル
3月5日(土)2:00p.m.
リリオム:カーステン・ユング / ジュリー:アリーナ・コジョカル
3月6日(日)2:00p.m.
リリオム:カーステン・ユング / ジュリー:アリーナ・コジョカル