貴族と妖精とゆかいな職人たち。
シェイクスピアの言葉の魔法の世界を
三つのスタイルで表現する、夢幻的な祝祭バレエ!

「真夏の夜の夢」プロローグ付全2幕(休憩1回)

原作:ウィリアム・シェイクスピア
音楽:フェリックス・メンデルスゾーン、リゲティ・ジェルジュ、及び伝承音楽
振付・演出:ジョン・ノイマイヤー
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ

Photo:Holger Badekow

ジョン・ノイマイヤーが35歳の時に創作した「真夏の夜の夢」は、英国の文豪シェイクスピアの名高い戯曲の世界を、若き日の振付家が溢れんばかりの創意と瑞々しい感性をもって創り上げた、美しく輝くばかりの祝祭的なバレエです。

同名の作品にはアシュトンやバランシンなどバレエ界の偉大な先達の作品がありますが、このノイマイヤー版の特出すべき点は、シェイクピアが言葉で描き出した本作の世界観を、より忠実に表出する仕掛けが施されていることです。

ここでは原典に登場する写実的な人間たち、喜劇的な職人たち、神秘的な妖精たちという三つの世界の住人たちが、まったく異なる音楽とダンスで表現されています。─婚礼を控えたアテネの貴族シーシアスとヒッポリータ、および二組のカップルには、晴れやかなメンデルスゾーンの音楽と堂々たるクラシック・ダンス。その婚礼で劇を上演しようとしているボトム以下のゆかいな職人たちには、素朴な手回しオルガンの演奏と、コントを交えたコミカルな演技。そして森の住人である妖精の王と女王、そのしもべたちには、リゲティのミステリアスな電子音楽と、跳躍やダイナミックなリフトを駆使したダンス。

最後の婚礼の場は、廷臣たちのダンスや職人たちの笑劇につづいて、シーシアスとヒッポリータの晴れやかなパ・ド・ドゥで締めくくられ、あたかも古典バレエの大団円を見るよう。しかしその後のオベロンとタイターニアによるエピローグは、その晴れやかな現実が“夢”の力で支えられていることを如実に語っているのです。異なる劇形式を合わせて一つの夢幻的なタペストリーを織りなすシェイクスピアの世界が、みごとにバレエによって展開する傑作を、どうぞお見逃しなく!

あらすじ

アテネ公爵シーシアスとヒッポリータの婚礼前夜。ヘレナとかつての婚約者で今はハーミアを愛するデミトリアス、そしてハーミアと、彼女と相思相愛のライサンダーが恋の駆け引きをしている。職人たちが祝宴で上演する芝居の台本を献上する。ヒッポリータはシーシアスの心を疑いながら眠りにつく。

いっぽう森では妖精の王オベロンと女王タイターニアが諍いを起こしている。オベロンは魔法の花をパックに渡し、タイターニアにお仕置きをしようと目論む。そこに逢引きをするハーミアとライサンダー、彼らを追うデミトリアスとヘレナが現れる。パックは勘違いから魔法の花で4人の若者たちの関係を混乱させ、いたずら心から職人ボトムの頭をロバに変える。眠りから覚めたタイターニアは、魔法のせいでロバのボトムに恋をする。4人の若者の関係を収拾するようオベロンはパックを叱責し、夜明けとともにすべての混乱は収まる。ヒッポリータとシーシアスは愛を深め、2組のカップルも結婚の許しを得て祝福される。

Photo:Holger Badekow

キャスト

3月11日(金)6:30p.m.

ヒッポリータ・タイターニア:エレーヌ・ブシェ シーシアス・オベロン:エドウィン・レヴァツォフ
ヘレナ:シルヴィア・アッツォーニ デミトリアス:アレクサンドル・リアブコ
ハーミア:アンナ・ラウデール ライサンダー:クリストファー・エヴァンス

3月12日(土)2:00p.m.

ヒッポリータ・タイターニア:アリーナ・コジョカル シーシアス・オベロン:カーステン・ユング
ヘレナ:レスリー・ヘイルマン デミトリアス:カレン・アザチャン
ハーミア:フロレンシア・チネラート ライサンダー:ヤコポ・ベルッシ

3月13日(日)2:00p.m.

ヒッポリータ・タイターニア:エレーヌ・ブシェ シーシアス・オベロン:エドウィン・レヴァツォフ
ヘレナ:カロリーナ・アグエロ デミトリアス:アレクサンドル・リアブコ
ハーミア:アンナ・ラウデール ライサンダー:クリストファー・エヴァンス

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団