G.ヴェルディ作曲「椿姫」全3幕

Photo: Yasuko Kageyama / TOR
オペラと恋に落ち、純愛を貫きたいなら――。
誰もが満足、2018年最大の話題!

2016年5月、ローマ歌劇場の『椿姫』公演には、いつもに増して華やかな人々が集いました。注目の女流映画監督ソフィア・コッポラの演出、イタリアを代表するファッション・デザイナー、ヴァレンティノ・ガラヴァーニによる衣裳、さらにハリウッドで数々の大作を手がけるネイサン・クロウリーの美術となれば、オペラ界だけでなく、ファッション界、映画界が注目する一大イヴェントとなるのは当然のことでした。

ヴァレンティノによる美しい衣裳、クロウリーの空間を効果的に使った美術が、期待に応える素晴らしさであったことは言うまでもありません。たとえば冒頭のパーティの場面はオペラ『椿姫』の見どころの一つですが、シャンデリアが輝く広間に緩やかな曲線をもつ大階段が設えられ、シックな色あいの本物のオートクチュール・ドレスをまとった男女が集うパリ社交界は、大人の、そしてヴィオレッタが生きる“裏社交界”の翳をも感じさせる深みあるものとなっています。

ソフィア・コッポラは、日本で全編を撮影した「ロスト・イン・トランスレーション」や「マリー・アントワネット」など、女性をテーマとした映画で手腕を発揮している人気映画監督。これが初めてのオペラ演出ですが、彼女がオペラ演出を引き受けた決め手は、女性の物語であること、悲劇の極上ラブ・ストーリーだったからだそうです。ヴィオレッタだけでなく、彼女を取り巻くすべての人にまで細やかな演出が施されているのは、ヴィオレッタの物語をより深く描き出すため。すでにこの『椿姫』は映画としても公開されています。キャストもヴィオレッタ役とアルフレード役は映画と同じフランチェスカ・ドットとアントニオ・ポーリ、そして指揮者も同じくヤデル・ビニャミーニです。ドットは躍進めざましい若きスター。ポーリはおなじみの気鋭テノール。ジェルモン役は“レジェンド”レオ・ヌッチと、贅沢な配役が組まれています。演出や衣裳だけが話題になっているのではありません。オペラ最大の人気演目『椿姫』で、総合芸術であるオペラの、総合点が高いからこそ話題になっているのです。


スタッフ・キャスト

指揮:
ヤデル・ビニャミーニ

photo: Nora Roitberg

北イタリアのクレーマ生まれ。ピアチェンツァ音楽院で学んだ。1998年にリッカルド・シャイーからミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団のクラリネット奏者に選ばれ、音楽家としてのキャリアをスタートした。その後同楽団で指揮台に立つようになり、副指揮者、アソシエイト・コンダクターを経て、2016年からはレジデント・コンダクターとなった。同楽団のほか、数多くのコンサート、オペラでも活躍している。

近年のオペラ指揮では、2013年パルマ歌劇場シーズン開幕の『シモン・ボッカネグラ』をはじめ、フェニーチェ歌劇場『ボエーム』、『蝶々夫人』、ボローニャ歌劇場『トスカ』、ヴェルディ音楽祭『運命の力』と『オテロ』、トリノ王立劇場『チェネレントラ』、フランクフルト歌劇場『オベルト』、『トロヴァトーレ』などがある。北米デビューはサンタ・フェ・オペラ『リゴレット』だった。

日本には、2012年びわ湖ホールジルヴェスター・コンサートで初来日、2016年には東京の新国立劇場『アンドレア・シェニエ』を指揮、またアンナ・ネトレプコの来日コンサートの指揮も務めた。

ローマ歌劇場では、2015/16シーズン『アイーダ』に続き、ソフィア・コッポラ演出『椿姫』を指揮した。

演出:
ソフィア・コッポラ

photo: Andrew Durham

ニューヨーク生まれ。映画監督のフランシス・フォード・コッポラを父に、映画のセットデザイナーだったエレノア・ニールを母にもつ。カリフォルニア芸術大学で美術を学んだ。

映画「ヴァージン・スーサイズ」脚本・制作・演出家としてデビュー。2004年公開の映画「ロスト・イン・トランスレーション」ではアカデミー賞のオリジナル脚本賞を受賞、また監督賞とプロデューサーとして作品賞にノミネートされ、一躍女流監督として注目を集める。脚本・演出・制作を手がけた3作目の映画「マリー・アントワネット」は、アカデミー賞の衣装デザイン賞を受賞。2010年「Somewhere(サムウェア)」では、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。

さらに、2017年の第70回カンヌ国際映画祭では、「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」で、女性監督として56年ぶりに監督賞を受賞。(同作は2018年2月に日本でも公開される)

2016年、ローマ歌劇場の『椿姫』で、オペラ演出家としてデビュー。プレミエ公演の収録は、彼女自身の編集により、映画「ソフィア・コッポラの椿姫」としても公開された。

衣装:
ヴァレンティノ・ガラヴァーニ

1932年北イタリアのヴォゲーラ生まれ。1949年ミラノのサンマルタ専門学校のファッションスケッチ課程に入学。またミラノでフランス語を勉強し、エコール・ドゥ・ラ・シャンブル・サンディカル・ドゥ・ラ・クチュール・パリジェンヌでファッションデザインを学んだ。卒業後、ギ・ラロッシュのアシスタントを経て、1959年にローマのコンドッティ通りにオートクチュールのアトリエを開く。

1960年、ジャンカルロ・ジアメッティとともに自身のブランド〈ヴァレンティノ〉を創業。1962年に最初のコレクションを発表した。1984年サラエボ オリンピックおよびロサンゼルス オリンピックのユニフォームを手がける。

1985年イタリア政府より「グランデ・ウフィッチャーレ」勲章、1996年「カヴァリエレ・ディ・グラン・クローチェ(功労騎士)」の勲章を授与された。

2008年1月のパリ・オートクチュールコレクションを最後に、ヴァレンティノ・ガラヴァーニは〈ヴァレンティノ〉のデザイナーから引退した。

ローマ歌劇場の『椿姫』新演出で、衣裳を手がけることになった際、彼自身「『椿姫』を新たに表現することは長年の夢だった。スペシャルな作品に仕立てる夢がかなった」と語り、ヴァレンティノ・ガラヴァーニが再びアトリエに立つことはファッション界においても大きなニュースとなった。

予定されるキャスト

ヴィオレッタ・ヴァレリー:
フランチェスカ・ドット

イタリアのトレヴィーゾ生まれ。ボローニャ音楽院でフルートを学び、2006年に卒業。その後、カステルフランコ・ヴェネト音楽院で声楽を学び2011年に卒業。翌2012年にはフェニーチェ歌劇場『ボエーム』のムゼッタでデビューを果たした。優れた才能が認められ、パドヴァのヴェルディ劇場『ルクレツィア・ボルジア』のルクレツィア、サッサリとバーリでの『椿姫』のヴィオレッタと、活躍の場を広げる。

2014/15シーズンには、ギリシャ国立オペラとフェニーチェ歌劇場で『ドン・ジョヴァンニ』のドンナ・アンナ、バーリで『ボエーム』のムゼッタを歌った。2016年12月ウィーン国立歌劇場へのデビューもムゼッタ役だった。

オペラ・デビューを飾ったムゼッタ役と同様に、フランチェスカ・ドットにとって重要なレパートリーとなっているのが『椿姫』のヴィオレッタ。ローマ歌劇場のほか、フィレンツェ歌劇場、ナポリのテアトロ・サン・カルロ(2018年2月)でも、彼女を迎えての新演出制作が行われている。

ローマ歌劇場では、『椿姫』のヴィオレッタのほか、新演出『コシ・ファン・トゥッテ』のフィオルディリージ、『ランスへの旅』のコルテーゼ夫人も歌っている。

今回が初来日。

アルフレード・ジェルモン:
アントニオ・ポーリ

photo: Schneider Fotografi

ローマの北に位置するヴィテルボに生まれ、ローマで声楽を学んだ。2010年にウィーンのハンス・ガボール・ベルヴェデーレ国際コンクールで優勝。

2011年、ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭で、リッカルド・ムーティ指揮、メルカダンテ作曲『二人のフィガロ』のアルマヴィーヴァ伯爵を歌い、若手イタリア人テノールとして一躍注目を集める存在となった。

以後、フェニーチェ歌劇場、英国ロイヤル・オペラ、ミラノ・スカラ座、グラインドボーン音楽祭、ボローニャ歌劇場、ベルリン国立歌劇場、シカゴ・リリック・オペラほか、世界の著名な歌劇場に出演し、『椿姫』のアルフレード、『魔笛』のタミーノ、『愛の妙薬』のネモリーノ、『ファルスタッフ』のフェントン、『ドン・ジョヴァンニ』のドン・オッターヴィオ、『ジャンニ・スキッキ』のリヌッチョ、『オテロ』のカッシオなど、数々のレパートリーで成功をおさめ、現在では人気・実力ともに世界のトップと認められている。

日本には英国ロイヤル・オペラ、ローマ歌劇場ほか、海外の歌劇場の日本公演、また東京の新国立劇場への出演など、来日を重ねている。

ローマ歌劇場では、いずれも新演出で、『マクベス』のマクダフ、『ナブッコ』のイズマエーレ、『椿姫』のアルフレード、『コシ・ファン・トゥッテ』のフェッランドを歌っている。

ジョルジョ・ジェルモン:
レオ・ヌッチ

photo: Roberto Ricci

イタリアのボローニャ生まれ。数々のコンクールで優れた成績を獲得し、1967年にスポレートで『セビリャの理髪師』のフィガロでオペラ・デビュー。10年後に同役でミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場にデビューした。メトロポリタン歌劇場には1980年に『運命の力』のドン・カルロでデビュー。以後、ロッシーニ、ヴェルディ、プッチーニ、ドニゼッティ、モーツァルトなど、60以上におよぶ幅広いレパートリーをもち、世界中の舞台で活躍。世界屈指の名バリトンと認められている。なかでも、『リゴレット』『ナブッコ』『オテロ』をはじめとしたヴェルディ・オペラにおいては‟当代最高“の呼び声も高い。『椿姫』のジェルモン役も、自身が備えた声と技術に加え、深い探求によって磨き上げた表現力が発揮される代表的なレパートリーとなっている。

1981年にミラノ・スカラ座の初の日本公演に登場し、後に2013年の同オペラ日本公演『リゴレット』でも東京の舞台に立った際、スカラ座の歴史において30年以上にわたって第一線で活躍していることは類をみないといわれたが、すでにキャリア50年におよぶ現在、その存在は世界中のオペラ界における‟レジェンド“と呼ぶにふさわしい。


指揮: ヤデル・ビニャミーニ
演出: ソフィア・コッポラ
美術: ネイサン・クロウリー
衣裳: ヴァレンティノ・ガラヴァーニ
照明: ヴィニーチョ・チェーリ
ビデオ: イゴール・レンツェッティ、ロレンツォ・ブルーノ
振付: ステファン・ファヴォラン
合唱監督: ロベルト・ガッビアーニ

[予定されるキャスト]
ヴィオレッタ・ヴァレリー: フランチェスカ・ドット
フローラ・ベルヴォワ: アンナ・マラヴァーシ
アルフレード・ジェルモン: アントニオ・ポーリ
ジョルジョ・ジェルモン: レオ・ヌッチ


ローマ歌劇場管弦楽団
ローマ歌劇場合唱団
ローマ歌劇場バレエ団

※表記の出演者は2018年1月15日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は当日発表とさせていただきます。