イタリア・オペラの殿堂によるヴェルディ・オペラの神髄 ミラノ・スカラ座 TEATRO ALLA SCALA 2009年日本公演
イントロダクション 「アイーダ」 「ドン・カルロ」 最新情報 来日特別演奏会 公演概要
解説 Story・聴きどころ スタッフ・CAST 動画
「ドン・カルロ」新世代の巨匠ガッティの指揮のもと、当代最高のヴェルディ歌手陣が、絢爛たる声の饗宴にいざなう!

Story・聴きどころ

登場人物

フィリッポ二世(バス)
スペインの国王。息子カルロの婚約者を妃に迎えたが、彼女に愛されたことはなかったと嘆き、王としては政治的困難、カトリックの権威との緊張関係の苦悩を抱えている。

ドン・カルロ(テノール)
フィリッポ二世の息子として生まれたスペインの王子。かつての婚約者エリザベッタが王妃となった後も思い続ける。最後に、ようやく現世での愛を諦めた彼を捕らえようと現れた父王と宗教裁判長を、先帝カルロ5世が遮る。

ロドリーゴ(バリトン)
ポーザ侯爵。国王の腹心であり、カルロの親友。理想をもった祖国への愛と親友への熱い思いを、死をもって成就させる。

宗教裁判長(バス)
90歳の盲目の聖職者。鋭い直感力によって、ロドリーゴがプロテスタントに好意を寄せていることを見抜く。

エリザベッタ(ソプラノ)
フランス王家に生まれ、政治的事情でスペイン王妃となった。若いけれど思慮深い女性。かつての婚約者カルロへの複雑な想いを抱える。

エボリ公女(メゾ・ソプラノ)
カルロに想いを寄せる絶世の美女。カルロのエリザベッタへの愛を知り、嫉妬から王妃を陥れようとする。

人物相関図

あらすじ

第一幕

第一場
サン・ジェスト修道院の中庭

修道士が一人、カルロ五世の墓の前で祈っている。一方、スペイン王子ドン・カルロは愛するエリザベッタ・ディ・ヴァロアと初めて会ったときのことを思い出す。彼女は王子と婚約していたのだが、今は父王フィリッポ二世の妻であり、スペイン王妃である(アリア「あの人を見た。そしてその微笑が」)。ロドリーゴが登場し、スペイン王家の圧制に苦しむ地方が蜂起したと告げると、カルロは一転して歓喜にひたる。王子はいつも助けになってくれるこの友人に、エリザベッタへの愛を打ち明けるが、苦悩は忘れてフランドルへ赴き、新教徒への迫害を緩和するよう強く勧められる。最後にカルロとロドリーゴは友情を誓うが、その間に王と王妃が中庭を通り抜け、修道院へと入っていく(二重唱「主よ、われらの魂に」)

第二場
サン・ジェスト修道院の中庭の外。心地よい場所。

宮廷の女官たちが王妃を待つ間、エボリ公女が小姓テオバルドの伴奏で歌う(アリア「美しい宮殿の庭で」)。エリザベッタが登場。ロドリーゴに出会い、母親からの手紙を受け取るが、一緒にカルロの手紙もこっそり手渡される。その手紙にはロドリーゴを信頼するようにと書かれている。ロドリーゴは王妃に、王子に会い王の前で彼を弁護してくれるよう求める(アリア「私たちの愛するカルロ」)。心ひそかにカルロを愛するエボリ公女は、カルロの気持ちが乱れているのは自分を愛している証拠だと考える。王子は王妃の前に通されると、王がフランドルへの出発を許可してくれるよう、エリザベッタに仲介を頼む。しかし、ほどなく対話は愛の告白に変わる。エリザベッタはカルロをさえぎり、二人が結ばれることは不可能だと言う(二重唱「失われた恋人、たった一つの宝物)。若者は悲しみに打ちひしがれて立ち去り、ひとりになった王妃は神に助けを請う。王が登場し、王妃から離れた罪でアレンベルグ伯爵夫人を追放する。出発する女官に、エリザベッタは優しい言葉で別れの挨拶をする(アリア「泣かないで、わたしの友よ」)。フィリッポはロドリーゴにその場にとどまるように命じる。ロドリーゴはフランドルがおかれている悲惨な状況について語り、自治権を与えるよう進言する。王は受け入れず、宗教裁判長の恐ろしい権力のことを思い出させると、みずからの苦悩をロドリーゴに打ち明ける。王はカルロのエリザベッタへの気持ちに気づいており、ロドリーゴに若い二人を監視する任務を託す。ロドリーゴは喜んで引き受け、王はあらためて宗教裁判長の危険を警告して立ち去る(二重唱「陛下、私はフランドルから参りました」)。王妃主催の舞踏会。疲れたエリザベッタはエボリ公女に自分のマントと宝石、仮面をつけて身代わりになってくれと頼む。王妃に変装したエボリ公女はカルロへの求愛の手紙を小姓に渡す。

第二幕

第一場
マドリード。王妃の庭園

カルロは夜の逢引に誘う手紙にだまされ、エリザベッタと会うつもりでいる。しかし、現れたのはベールで顔を覆ったエボリ公女で、カルロは彼女に向かって愛を告白する(二重唱「もし君が、美しき愛する人」)。若者は誤解に気づくが、驚きを隠せない。そこでエボリ公女はカルロと王妃の関係を理解し、激しい嫉妬にかられて仕返しを決意する。ロドリーゴが間に入って友人カルロを弁護し、エボリ公女をおろすとおどすが効き目はない(三重唱「私の怒りを逃れてもむだです」)。ロドリーゴはカルロに、フランドルからの文書を渡すように促す。

第二場
アトーチャ聖母マリア教会前の大広場

人々が歓喜を歌う。一方、修道士たちは宗教裁判所で有罪とされた人々を火刑台に連行する(合唱「さあ、大いなる喜びの日だ」)。王と廷臣たちが入場すると、カルロに先導されたフラマン人の一団が王の前にひれ伏し、祖国への正義を求める。父王フィリッポは聞こうともせず、反逆者たちを追い出せと命じる(コンチェルタート「陛下、陛下、まだ最後の時は」)。そこでカルロは、父にフランドルに行く許可を求めるが拒絶され、剣を抜いてフラマン人たちの横に並ぶ。この無礼な振る舞いに、王は息子の武器を取り上げるよう命じるが、誰も王子に近づこうとしない。ロドリーゴが間に入り、かろうじて直接対決は避けられる。ロドリーゴは王子から剣を取り、王に差し出す。行列はふたたび歩き進め、異端者たちの処刑に向かう。天からの永遠の平和を願う声が聞こえてくる。

第三幕

第一場
マドリードの王の執務室

フィリッポは、王として生きることの苦難について瞑想する(アリア「ひとり寂しく眠ろう」)。さらに宗教裁判長に息子を罰するように求めるが、宗教裁判長はカルロを反逆させた罪でロドリーゴの処罰を提案する。しかし王はその解決策に反対し、激しいやりとりの後、ふたたび一人になる。エリザベッタが来て、宝石箱のひとつがなくなったと報告する。王妃の知らぬ間に、エボリ公女が王に渡していたのだが、その中にはカルロの肖像画がしまわれていた。不倫を非難された王妃は、自らの貞節を主張するが、信じてもらえない。エボリ公女とロドリーゴがやってくる。エボリ公女は後悔に苛まれ、ロドリーゴはカルロを救うには自分の命を犠牲にするしかないと覚悟している(四重唱「ああ、呪われよ、この宿命の疑惑」)。エボリ公女は自分の罪を王妃に告白し、王妃は宮廷から去るように命じる。エボリ公女は自分の美貌がもたらした結果を嘆き、危険にさらされているカルロを救うことを誓う(アリア「おお、醜い運命よ」)

第二場
ドン・カルロの牢獄

ロドリーゴは、父によって牢獄に閉じ込められたカルロに、まもなく自由になれると告げる。ロドリーゴはカルロから預けられていた文書を所持しているところを発見されたが、それは王子の無罪を証明するためわざと仕組んだことだった(アリア「私の最後の日が来た」)。火縄銃で肩を撃たれ、瀕死のロドリーゴは、まもなくサン・ジェスト修道院でエリザベッタに会えるだろうとカルロに告げ、フランドルを託す。フィリッポが息子を自由にしようと牢獄に来ると、逆にロドリーゴを殺したと非難される。さらにカルロはロドリーゴが自分のために犠牲になったと言う。フィリッポも友人ロドリーゴの死に涙し、その勇気ある高貴な精神を惜しむ。一方、スペイン王国を嫌悪し、腹を立てた人々が、王子を称えながら牢獄に押し入ってくる。突然、宗教裁判長が登場し、やっと人々は怒りをおさえて、王の前にひざまずく。

第四幕

サン・ジェスト修道院の回廊

エリザベッタに、少女時代の喜びとカルロへの愛が蘇る(アリア「人間の虚栄心を知るあなた」)。再会した恋人たちは最後の別れを告げる。王子はスペインを捨ててフランドルへ行き、自由のために戦うのだ(二重唱「天国で会いましょう」)。しかし、フィリッポと宗教裁判長が、宗教裁判所の衛兵たちと駆けつけ、別れは中断される。カルロが逮捕されようとしたとき、カルロ五世が現れ、一同が恐怖におののくなか、孫をつかまえて連れ去る。


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