『アンナ・ボレーナ』アンナの聴かせどころ

オペラ『アンナ・ボレーナ』には数々の聴かせどころが並びますが、ここでは、グルベローヴァ演じるアンナ・ボレーナに焦点を絞ってご紹介! 

第1幕ではまず、夫である国王エンリーコの愛の薄らぎへの不安と悲しみを抱くアンナの姿が表される。スメトンの純真な恋の歌をさえぎり、アンナは〈純真だった若いころのように〉と、初恋の思い出を語り、いまの自分が栄光と恥辱にまみれてしまったことを嘆く。そして侍女ジョヴァンナに向かって〈わたしの悲しい心にまでしみこむまなざしはありません〉と歌いはじめる。「もし国王に誘惑されたら、私のこの姿を思いおこすように」という忠告だ。アンナは心を許すジョヴァンナに本音を語り、一方ジョヴァンナは自分がアンナを裏切る存在であることへの自責の念に駆られる。

かつて愛したパーシー卿との再会の場面では、変わらぬ愛を訴えるパーシー卿との二重唱で、アンナも心を動かされていくことが表されるが、国王の恐ろしさを知るゆえに、アンナはパーシー卿に決別を告げる。彼女の言葉に絶望したパーシー卿が自害しようとするのをスメトンが止めるが、それが悲劇に火をつけることとなる。

第1幕フィナーレは、パーシー卿とともにスメトンも巻き込んでアンナの裏切りを非難するエンリーコの怒りと、捕らわれるアンナたち4人、さらにあまりに不幸な運命の成り行きに自身の死を予感するジョヴァンナによる六重唱が、ドラマティックな緊張感を盛り上げる。

第2幕、前半の聴きものはアンナとジョヴァンナの二重唱。ジョヴァンナはアンナに罪を認め、謝罪すれば命は助かると言い、「エンリーコに愛され王座に就こうとしている女の願いです」と言葉を加える。アンナははじめ、「その女の心も私と同じように引き裂かれるがよい」と怒りを表すが、その勢いにのまれたジョヴァンナは、アンナの前に跪き、自分がその女であることを告白してしまう。怒り心頭のアンナだが、ジョヴァンナがエンリーコへの愛を切々と訴えるのを聞き、次第に同情と憐れみを覚える。そして、「あなたを赦します」と別れを告げて去って行く。二人の女の心の動き、葛藤と苦悩が迫る場面だ。

いよいよフィナーレ。囚われたアンナは錯乱状態でとりとめもないことを口走る。やがてパーシー卿との幸せだった日々を〈わたしの生まれたあのお城に連れて行って〉と歌い、しばし正気を取り戻すが、スメトンが王の策略により偽証してしまったことを聞き、再び錯乱状態へ。エンリーコとジョヴァンナの婚礼を祝う音が聞えると、〈よこしまな夫婦よ、わたしは復讐を求めはしない〉と寛大な慈悲をもてるようにと祈り、倒れる。この作品最大の聴きどころとなる長大なフィナーレでは、錯乱と正気が交錯する。狂乱のなかでの美しさ、正気に戻っての嘆きと当惑、激しく動く感情がドラマティックに描き出される。

ウィーン国立歌劇場2012年日本公演
9月8日(土)10:00a.m.より
第2次発売

各前売り所からの回収分等を集めて、NBSとイープラスのみで第2次発売いたします。(公演日、券種によりご用意できない場合があります)

G.ドニゼッティ作曲『アンナ・ボレーナ』

指揮:エヴェリーノ・ピド/演出:エリック・ジェノヴェーゼ

会場:東京文化会館

10月27日(土)3:00p.m.
10月31日(水)6:30p.m.
11月 4日(日)3:00p.m.

入場料[税込]

S=¥59,000 A=¥52,000 B=¥45,000
C=¥38,000 D=¥29,000


R.シュトラウス作曲『サロメ』

指揮:フランツ・ウェルザー=メスト/演出:ボレスラフ・バルロク

会場:東京文化会館

10月14日(日)3:00p.m.
10月16日(火)4:00p.m.
10月19日(金)7:00p.m.

入場料[税込]

S=¥59,000 A=¥52,000 B=¥45,000
C=¥38,000 D=¥29,000


W.A.モーツァルト作曲『フィガロの結婚』

指揮:ペーター・シュナイダー/演出:ジャン=ピエール・ポネル

会場:神奈川県民ホール

10月20日(土)3:00p.m.
10月23日(火)5:00p.m.
10月28日(日)3:00p.m.

入場料[税込]

S=¥59,000 A=¥52,000 B=¥45,000
C=¥38,000 D=¥29,000


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