追悼 宮﨑 勇氏 公益財団法人日本舞台芸術振興会 理事長

 新聞等で報じられましたので、訃報記事に目をとめられた方も多いかと思いますが、元経済企画庁長官で公益財団法人日本舞台芸術振興会(NBS)の理事長だった宮﨑勇が、1月3日、心不全のため92歳で亡くなりました。宮﨑氏は1997年にNBSの理事に就任され、2008年から坊秀男(元大蔵大臣)、澄田智(元日本銀行総裁)に次いで、3代目の理事長をつとめていました。
 早くからオペラやバレエなど舞台芸術を愛好され、2008年にNBS理事長に就任してからは、昨年11月のシュツットガルト・バレエ団公演に至るまで主催公演のほとんどに足を運ばれ、12月に入院されてからも、2月初旬の東京バレエ団のブルメイステル版「白鳥の湖」の初演を観るのを心待ちにされていました。東京バレエ団のダンサーたちに対して愛情深い声をかけてくださるなど、その温かい人柄が敬愛されていました。
 宮﨑氏は、1947年に経済安定本部(後の経済企画庁)に入り、79年より同庁の事務次官。池田内閣下の「所得倍増計画」の策定で中心的役割を果たすなど、歴代政権の経済政策の立案に携わってこられました。のちに大和総研理事長を経て、95年に発足した村山内閣では民間より起用されて経済企画庁長官に就任。戦後を代表する経済界人として長く活躍された方でもあります。
 葬儀の際も喪主であるおいの宮﨑洋氏から「おじはいつもNBSのことを気にかけていました」と言葉をかけられましたが、NBSにとってもかけがえのない人でした。
 ここに謹んで哀悼の意を捧げるとともに、ご冥福をお祈りしたいと思います。