パリ・オペラ座バレエ団出身の振付家ピエール・ラコットは、早くからロマンティック・バレエの研究を始め、まもなくマリ・タリオーニの魅力にとりつかれました。タリオーニ版「ラ・シルフィード」を、当時の資料をもとに復活させ見事成功を収めた彼は、やがて「ドナウの娘」にも着手。1978年、南米最大の歌劇場、アルゼンチンのコロン劇場でこれを初演します。主演は「ラ・シルフィード」と同じく、パリ・オペラ座のエトワール、ギレーヌ・テスマーとミカエル・ドナールという美しく才能溢れるペアでした。
 ラコットは以後、バレエ団の芸術監督を歴任すると同時に、「オンブル(影)」「マルコ・スパダ」「妖精の湖」などロマンティック期の作品を次々に蘇演。近年はパリ・オペラ座バレエ団で「パキータ」、ボリショイ・バレエ団で「ファラオの娘」を上演し、世界各地でロマンティック・バレエ旋風を巻き起こしています。限られたクラシック・バレエのレパートリーを繰り返し上演するバレエ界にとって、バレエの幸福な時代の作品の復活は刺激的な現象とも言え、多くの支持を得ているのです。