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昔むかし、美しいけれど、残酷で、豊かさとその権力にうぬぼれている王子がいた。王子が夢中になっていたのは、狩猟だけだった。
ある日、王子は友人たちと狩に行き、獲物を追っているうちに森の奥深くに迷い込んだ。赤い雌狐を仕留めようとした瞬間、木こりが止めに入った。木こりは雌狐を自分のマントに隠し、炎のような髪の少女へと変えた。たじろぐ王子と友人たちから少女は逃げ出し、怒った木こりは王子を野獣に、友人たちを獣へと変えてしまった。彼らの心はまるで野獣ようだったからだ。 |
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ベルの父親は商人だが、持ち船が遭難してしまい、借金が返せなくなった彼は、差し押さえ執行官が家具や家財を持ち出すのになすすべもなかった。ベルは父親を慰めようとするが、自惚れでわがままな姉たちが余計に混乱させてしまう。姉たちに求愛している金持ちの町人コション(豚の意)が登場し、これ見よがしに執行官に金を握らせる。父親は不本意ながらコションの助けを受けるが、コションは自分に借金があることを父親に恩にきせる。
商人の船が発見されたという知らせが届く。父親は出かける支度をしつつ、娘たちにお土産は何が良いか聞く。2人の姉はドレスや宝石をねだるが、ベルは薔薇の花だけを頼む。 |
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大嵐に遭遇し、父親と召使たちは道に迷い、盗賊に襲われて金品を奪われる。盗賊から逃げ、嵐を避けるため、父親は暗く不気味な無人の城に逃げ込む。目に見えない手によって、彼は食事と飲み物をご馳走される。翌朝目覚めると、盗まれた旅行鞄が手元に戻っており、中は美しいドレスや宝石で一杯になっていた。城を後にしようとした瞬間、ベルの願いを思い出し、彼女のために庭の薔薇を手折る。すると、恐ろしい野獣が現れ、感謝の気持ちを持たず薔薇を盗んだことを怒る。しかし、娘が3人いると知ると、一番若い娘が彼の元に来て一緒に住めば、商人の命は見逃してやると言う。商人はしぶしぶ同意し、おびえながら城を去る。 |
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帰宅した商人が起こった出来事すべてを語ると、愚かな姉たちはわれ先にと旅行鞄を開ける。しかし、ドレスや宝石はかびだらけのぼろきれや灰に変わってしまっていた。商人はベルを野獣のところに送ることを約束してしまったことをベルに詫びるが、姉たちは、ベルが愚かにも薔薇などを頼んだから自業自得だと言う。
ベルは自分の運命に思い悩むが、父親を助けるためにと決意して、野獣のもとに向かう。意外な助けを得て城まで導かれ、城主に会う。時計が9時を知らせると、野獣が現れる。 |
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数月の間、野獣は毎晩ベルに求婚していた。ベルはそのたび毎に断ったが、すでに野獣の恐ろしい風貌にも慣れ、彼の優しい心しか見えなくなっていた。
今まで目に見えなかった城の住人たちが野獣の命令で舞踏会に集まる。王子を野獣に変えた呪いが、宮廷人たちも皆、獣に変えてまったのだ。舞踏会は様々な生き物の魅惑的な集まりとなる。
野獣はベルと踊り、改めて彼女に結婚を申し込むが、彼女は彼の優しい心を認めながらも、愛してはいないので、結婚はできないと応える。野獣の苦悶のうめきに、獣の宮廷人たちは隠れ散る。
父親を恋しがり、父親に会いたいと願うベルに、野獣は折れる。彼はベルに薔薇を渡し、花が枯れるまでに戻らなければ、彼は絶望のうちに死んでしまうと告げ、必ずそれまでに戻ってくるようベルと約束交わす。 |
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ベルが家に戻ると、コションと姉の結婚式の準備が行われている。 |
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一方、城では野獣がベルに恋焦がれている。時間が経つにつれ、彼女は二度と戻らないのではと絶望し、彼は衰弱していく。意地悪な姉たちに騙され、家を出ることがなきなかったベルは、野獣の死の間際にやっと城に戻る。
必死になって彼の意識を戻らせようとしているうち、ベルは野獣をずっと愛しており、結婚の申し込みも受けると告げる。すると恐ろしい野獣は、美しい王子に姿を変える。木こりが現れ、呪いが解かれ、王子の召使たちも、再び人間に戻った自分達の姿に呆然としながら現れてくる。
炎のような髪を持った少女も元の姿に戻り、すべてのおとぎ話がそうであるように、皆いつまでも幸せに暮らしたという。 |
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