今、世界のバレエ界で、その芸術性とスターの光輝がともに比類なきものと絶賛されるマニュエル・ルグリとウラジーミル・マラーホフ。この2人の貴公子が、古典バレエの傑作『ジゼル』を日替わりで演じるという、夢の競演が実現します!
 バレエの殿堂パリ・オペラ座のエトワールとして22年間君臨したルグリは、今シーズンをもってパリ・オペラ座の引退を迎えるものの、オペラ座はじめ各地から相変わらず出演依頼が殺到するスター。精緻な技術と音楽性の上に築き上げた、抑制のきいた表現は、真のダンスール・ノーブルと呼ぶにふさわしいものです。2年前、久々の本作の舞台でも、誇り高い貴族の若者ゆえの内奥から込み上げる苦悩と愛が、深い余韻を残しました。
 ロシアから世界を股にかける国際スターとして羽ばたき、いまやベルリン国立バレエ団の芸術監督兼プリンシパルとして君臨するマラーホフは、天性のしなやかな身体と両性具有的な魅力で20年もの間日本でも愛されてきました。彼が早くから熱心に取り組み、独特の熱情溢れる演技スタイルを築き上げたアルブレヒト役は、後進ダンサーにも多大な影響を与えています。その都度渾身の感情が溢れる演技は、何度見ても感動を呼びます。
 タイトルロールのジゼルには、東京バレエ団が誇る3人のプリマ・バレリーナが扮します。本役ではロシアをはじめ海外でたびたび客演、作品への深い造詣のもと香り高い幽玄世界を表現する斎藤友佳理。繊細かつ研ぎ澄まされた表現で、人知を超えた優美を生み出す吉岡美佳。さらに今回、抜群の音楽的感性に緻密な役作りを重ねる小出領子が初挑戦します。定評ある2人のロマンティック・バレリーナと新たなジゼルが、世界の貴公子たちを相手に繰り広げる華麗なる競演は、見比べるほどにご堪能いただけるはずです!

Photo:Kiyonori Hasegawa
PageTop