これぞ究極のバレエの醍醐味。
夢のような陶酔と興奮が待っている「ドン・キホーテ」!

「ドン・キホーテ」

振付: ウラジーミル・ワシーリエフ(マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴールスキーによる)
音楽: レオン・ミンクス
美術: ヴィクトル・ヴォリスキー
衣裳: ラファイル・ヴォリスキー

3年に一度のバレエの祭典〈世界バレエフェスティバル〉の開催中に上演される〈全幕特別プロ〉。今回は古典バレエのなかでもとびきり楽しくて華やかな「ドン・キホーテ」が開幕を飾ります。

主演するのは二組の魅力的なペアです。

まずは昨年のパリ・オペラ座バレエ団公演などで、抜群の音楽性とパートナーシップをもってエレガントな至芸をみせてくれたミリアム・ウルド=ブラームとマチアス・エイマン。名実ともに“オペラ座”のトップペアといえるチャーミングな二人の「ドン・キホーテ」全幕は日本初披露です。

もう一組は円熟味を増してきたスターと新鋭の刺激的な組み合わせ。可憐な容姿と盤石な技術はもとより、定評のある表現力にますます磨きがかかるアリーナ・コジョカル。相手役は、昨年のイングリッシュ・ナショナル・バレエ公演で衝撃的なテクニックを披露して日本でプリンシパル昇進を勝ち取り、さらに来シーズンから英国ロイヤル・バレエ団への移籍が決まったセザール・コラレスです。この組み合わせが観られるのも、全幕特別プロならでは。

共演は東京バレエ団。「ドン・キホーテ」は、南欧スペインの光や空気を感じさせるカラフルな美術を背景に、街の群集のパワフルで個性的なエネルギーが舞台に横溢します。情熱的なスパニッシュやジプシー・ダンス、幻想シーンの優美なクラシック・ダンスなどあらゆる踊りが息つく暇もなく繰り広げられ、まさにダンスの洪水です。その興奮の頂点で踊られるのが、主役ペアによる華麗なグラン・パ・ド・ドゥ。もう、お祭りムードが止まらない!

〈世界バレエフェスティバル全幕特別プロ〉

〈世界バレエフェスティバル〉は、現在はスターダンサーたちが全幕の抜粋等を次々と踊るガラ・コンサート形式が本編となっていますが、1976年に開催された第1回では、「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「ジゼル」という全幕バレエの代表的な3作品に〈グラン・ガラ・パフォーマンス〉を織り交ぜた内容でした。ソリストや群舞の踊りに音楽・美術・衣裳を含めた総合芸術としてのバレエ本来の醍醐味と、スターがオーラと技を競うショーケース、その両面を一挙に味わっていただくプログラムだったのです。その後、〈全幕特別プロ〉は第4回から復活。本編とあいまって、さまざまな名演を残してきました。華やかな花火が次々に打ちあがるようなAプロBプロの興奮は、〈世界バレエフェスティバル特別全幕プロ〉を併せてご覧いただくことでいっそう盛りあがるはずです。

出演者

7月27日(金) ミリアム・ウルド=ブラーム/マチアス・エイマン

photo:Kiyonori Hasegawa

ミリアム・ウルド=ブラーム

パリ・オペラ座バレエ団 エトワール。波打つ金髪の美しい容姿と、抜群の音楽性を備える。同様の音楽性と柔らかな雰囲気をもつマチアス・エイマンとのエレガントなペアは、いまやパリ・オペラ座バレエ団を代表するものに。

マチアス・エイマン

パリ・オペラ座バレエ団 エトワール。恵まれた柔軟な身体から、歌うような音楽的なダンスとスーパーテクニックを繰り出し、見るものを陶然とさせる。古典からバランシン作品まで活躍の場は広い。

7月28日(土) アリーナ・コジョカル/レオニード・サラファーノフ

photos:Kiyonori Hasegawa

アリーナ・コジョカル

イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)リード・プリンシパル。英国ロイヤル・バレエ団で長年トップとして活躍し、ENBに移籍。独特のニュアンスで音と戯れる考え抜かれた演技は、華やかで奥深い世界を生み出し、バレエファンの絶大な支持を得ている。

レオニード・サラファーノフ

ミハイロフスキー・バレエ団プリンシパル。その踊りは優美でありながら、精密にして爆発力をもつ並外れたテクニックに支えられている。名門マリインスキー・バレエ団のプリンシパルだったが、幅広いレパートリーを踊るために移籍を決断した。