ぶどう狩りの季節を迎えた美しい山間の村。美しい娘ジゼルが母親とともに住んでいる。立派な服装をした青年が、ジゼルの家の近くにある小屋に入っていく。それと入れ違いに若い森番ヒラリオンがやってきて、今朝も射止めた鳥を愛するジゼルの家にそっと置いて帰っていく。間もなく、小屋から村人風の服装に着替えた青年が出てくる。彼こそ城主クールランド公爵の子息アルブレヒト伯爵で、ジゼルを見初め、変装してはたびたび村を訪れて彼女との逢瀬を楽しんでいる。今日も狩りの途中でそっと抜け出し、人目を忍んでジゼルに会いにきたのである。アルブレヒトは、たしなめる従者の言葉も聞かず、彼を立ち去らせるとジゼルを呼び出す。ジゼルはアルブレヒトの愛を花占いで確かめる。凶と出たため、慌てたアルブレヒトは花びらを一片そっと捨てて吉と出るよう細工し、ジゼルを安心させる。二人の様子をうかがっていたヒラリオンは、自分こそが本当の愛を捧げているのだとジゼルに訴え出るが、アルブレヒトは命令するかの如く、この純朴なヒラリオンをその場から立ち去らせる。このときヒラリオンは、ジゼルと戯れるこの男が何者であるかを暴く決心をする。 ぶどう狩りの若者たちが集まってきて踊りが始まるが、ジゼルの母親は彼女が心臓の弱いのを理由に踊りをやめさせ、家の中に入れる。
そのとき、角笛が鳴って、貴族たちが狩りにやってきたことを告げる。慌てたアルブレヒトは森に隠れる。
アルブレヒトの慌てぶりをいぶかしみ、ヒラリオンはアルブレヒトの小屋に入ってアルブレヒトの剣を発見する。村人に変装しジゼルに愛を誓っている男が、実は伯爵であることを確信したヒラリオンは、狩りの角笛が近づいたのを聞き、ひとまず小屋に隠れる。クールランド公爵はバチルド姫らとジゼルの家で休息することにし、飲み物の接待をジゼルの母に頼む。バチルド姫のドレスの美しさに目を奪われたジゼルは、思わずその裾に手を触れてしまう。その純真さに打たれたバチルド姫は、自分のしていた首飾りをジゼルに贈ることにし、手ずからジゼルの首にかけてやる。公爵は、出発するときは角笛で合図するよう従者たちに言いつけ、角笛をジゼルの家の戸口にかけ、休息のため中へ入る。
ヒラリオンは剣と角笛の紋章が一致することを確認し、アルブレヒトが伯爵であることを確信する。やがて収穫から帰ってきた若者たちの踊りが始まる。
貴族の一行が去ったと思い込んだアルブレヒトが戻ってきてジゼルと踊っていると、ヒラリオンがそれに割って入る。そしてジゼルに向かって、アルブレヒトが実は伯爵であることを知らせる。アルブレヒトはヒラリオンを剣で倒そうとするが、ヒラリオンは身をかわし角笛をとって吹き鳴らす。家から出てきた公爵とバチルド姫はアルブレヒトが村人の服装をしていることに驚く。アルブレヒト伯爵はバチルド姫の婚約者だったのだ。全てを知ったジゼルは混乱のあまり気を失ってしまう。
意識を取り戻したジゼルはもはや正気ではなく、花占いどおり凶であったという仕種をし、皆の涙を誘う。ヒラリオンに強く呼びかけられて一瞬正気に戻ったジゼルは、母親の胸にとびこみ、続いて一度は愛したアルブレヒトに駆け寄るが力尽き、息絶えてしまう。
ジゼルの死に取り乱したアルブレヒトはヒラリオンに襲いかかるが、村人たちに押し止められる。ジゼルを死に追いやったのは、ヒラリオンではなく偽りの愛でジゼルを騙したアルブレヒトであることを、村人たちは知っているのだ。
森の中の沼のほとり。巨木のもつれあった枝や、垂れ下がったつるが妖気迫る雰囲気を醸し出している。夜更け。月光に照らされ、ヒラリオンがジゼルの墓に近づいてくるが、鬼火が飛び交うのを見て、恐ろしさのあまりその場を逃げ去る。おごそかな静寂の中、ウィリの女王ミルタが現れる。ウィリは婚礼前に死んだ娘の霊で、彼女たちは通りかかる男たちを誘い込み、息絶えるまで踊らせるのだ。
ミルタはジゼルの霊を呼び出して蘇らせ、ウィリたちは新しい仲間を取り巻いて輪舞を踊りはじめる。そのとき誰かの近づく足音が聞こえ、ウィリたちは墓地へ隠れる。
アルブレヒトが白百合の花を抱えてジゼルの墓にやってくる。悔恨の情に苛まれるアルブレヒトの姿に、今は偽らぬ愛を見たジゼルは、彼をウィリたちの目につかぬよう森の奥に誘う。
そのあとへ、怯えたヒラリオンが走り込んでくる。ウィリたちに捕らえられたのだ。ヒラリオンは許しを乞うがかなわず、息も絶え絶えになるまで踊らされ、ついには沼に突き落とされてしまう。やがてアルブレヒトもウィリたちに捕らえられ、沼地に追い込まれてくる。ジゼルはアルブレヒトを救おうと、ミルタに懇願するが彼女は冷たく、踊り続けることを命ずる。必死にかばうジゼル。最後の力を振り絞って踊るアルブレヒト。
アルブレヒトの命の灯火がまさに消えようとする寸前、夜明けを告げる鐘の音が響き、彼は救われる。ウィリたちは朝霧のなかに静かに消え、次第に明るさを増す森に二人の永遠の別れの時が訪れる。やがてジゼルは墓の中へと消えていき、アルブレヒトは朝の光のなかに一人虚しく佇むだけだった。