スペインのあるところにアロンソ・キハーナという夢見がちな老人がいました。かれはむかしの騎士物語をむちゅうになって読みすぎて、自分をほんものの騎士“ドン・キホーテ”だと思いこんでしまったのです。“ドン・キホーテ”は召使いでおっちょこちょいのサンチョ・パンサと馬のロシナンテをつれて、あこがれの姫ドゥルシネアをさがしに旅に出ることにしました。
ところでバルセロナの町には、宿屋の美人の娘キトリと床屋のハンサムな青年バジルというカップルがいましたが、キトリのお父さんの宿屋のロレンツォは娘をお金持ちのガマーシュと結婚させたいので、かれらがつき合うことには大反対です。
ひろばにはキトリとバジルの友人たちや闘牛士たちも集まって、たいへんなにぎわい。そこにドン・キホーテの一行がぎょうぎょうしくあらわれ、町のひとびとをあぜんとさせます。ドン・キホーテのかっこうやふるまいは、どうみても時代おくれなのです。
ドン・キホーテはキトリを見ると、自分がさがしていたドゥルシネア姫だと思いこみます。うやうやしくかしづかれたキトリは、ちょっとうれしそう。そんなキトリを見て、バジルはやきもちをやきます。 でも、だいきらいなガマーシュと結婚させられそうになったキトリは、バジルといっしょに町を逃げ出して、旅まわりのジプシーの人形劇団にかくまわれます。かれらを追って、ロレンツォとガマーシュ、そしてドン・キホーテとサンチョもやってきます。キトリとバジル は人形劇にかこつけて逃げようとしますが、ロレンツォとガマーシュに見つかってしまいます。
人形劇で姫の危機を見せられたドン・キホーテがかれらのあとを追おうとすると、突然あたりは風が吹きあれ嵐になります。風車が からからと回りはじめると、ドン・キホーテは風車を巨人だと思い込み、戦いを挑んで突撃していきます。風車の羽にひっかかって振り落とされたドン・キホーテは、気を失い、夢を見ます。そこでは愛の妖精キューピッドと、憧れのドゥルシネア姫がほほえんでいました。姫はキトリにそっくりです。
いっぽう逃避行をつづけるキトリとバジルは、居酒屋にかくれています。でも、ロレンツォとガマーシュがここまで追いかけてきたのです! ドン・キホーテとサンチョ、ロシナンテも追いつきました。あわやキトリがつれもどされそうになったとき、バジルは「キトリと結婚できないならオレは死ぬ!」と床屋のナイフで自分の胸を刺してしまいます。なげくキトリはドン・キホーテに助けを求めます。ドン・キホーテはロレンツォをこらしめ、ふたりの結婚をゆるすようにせまります。ロレンツォがしかたなく承諾すると、なんとバジルが生き返って......。じつはバジルは、死んだとみせかけていただけだったのですが、とにかくみんなは大喜び!
キトリとバジルがめでたく結婚することになりました。結婚式にはみんなが集まって陽気に踊りを踊ります。みごとにさわぎをおさめたドン・キホーテは、新しい夢を求めて旅立ち、サンチョとロシナンテもおともをつづけていくのでした。