プロローグ

海賊の首領コンラッドと彼の奴隷のアリや仲間のビルバントを乗せた海賊船が、トルコに向かって航行している。

第1幕 賑やかな市場(バザール)

商人や買い物客が賑やかに行き交うバザールに、奴隷の女達が連れ出され、競りにかけられようとしている。コンラッドと彼の仲間達が到着すると、バザールの所有者であるランケデムが競りを始めた。コンラッドは、競りにかけられた奴隷の少女メドーラを一目見るなり、彼女と恋に落ちた。ファンファーレが鳴り響き、一帯を統治するセイード・パーシャが現れた。ランケデムは3人の娘を売りつけようとするが、パーシャは気に入らない。続いてギュルナーラが差し出された。パーシャは、この愛らしい奴隷の少女を買い取った。最後にメドーラが競りにかけられた。彼女の美しさに、誰もが夢中になった。メドーラもまた、パーシャに買われていった。コンラッドは、メドーラを取り戻すよう、奴隷のアリに命じる。海賊達は村を襲撃し、ランケデムを連行した。

第2幕 海賊が潜む洞窟

コンラッドは、再会したメドーラを、海賊達の隠れ家である洞窟に案内する。ビルバントは仲間の海賊を呼び寄せ、略奪してきた財宝を洞窟に運び込むように指示した。奴隷の娘達とランケデムも連れてこられた。メドーラとコンラッド、海賊達は踊りに興じて、仲間を楽しませた。宴が終わると、メドーラはコンラッドに懇願した。自分を愛しているのなら、奴隷の娘達を解放してほしい、と。コンラッドはメドーラの願いを受け入れるが、ビルバントは納得しない。他の海賊達をそそのかして、コンラッドに歯向かった。しかし、コンラッドは威厳に満ちた様子で圧倒的なパワーを見せつけて、海賊達に畏敬の念を抱かせた。彼らは反旗を翻すことを断念した。しかしビルバントは諦めず、新たな陰謀を講じた。ランケデムを仲間に引き入れ、眠り薬を振りかけたバラの花をメドーラに受け取らせた。ビルバントの魂胆を知らないメドーラは、バラの花をコンラッドにあげてしまう。かぐわしい花の香りをかいだとたん、コンラッドは昏倒した。洞窟に戻ってきた海賊達が、メドーラを拉致しようとする。メドーラは気丈にもビルバントに抵抗し、奪い取ったナイフで彼の腕を切りつけた。この騒ぎに乗じて、ランケデムはメドーラを奪い返し、洞窟から逃走する。ビルバントはコンラッド を殺害しようとするが、すんでのところで海賊達に阻止される。目を覚ましたコンラッドは、メドーラが失踪していることにショックを受ける。ビルバントは自分が悪事を働いたことはお首にも出さず、コンラッドに忠誠を誓った。

第3幕、第1場 パーシャの宮殿

ギュルナーラがパーシャと戯れていると、ランケデムが、ベールをかぶったメドーラと共に現れた。パーシャはメドーラが自分の許に戻ってきたことを大喜びし、彼女を自分の第一夫人として寵愛する、と宣言した。

第3幕、第2場 踊る花園

麗しい女性達に囲まれて上機嫌になったパーシャは、彼女達が美しい花園で踊る夢を見る。

第3幕、第3場 パーシャの宮殿

巡礼者に変装したコンラッドとビルバント、仲間の海賊達が宮殿を訪れる。夢から覚めたパーシャは、巡礼者達を宮殿のなかに招き入れた。メドーラは、巡礼者の一行がコンラッド達であることに気付く。すると彼らは身に着けていたマントを脱ぎ捨て、正体を明かした。宮殿は大混乱に陥る。コンラッドと彼の仲間達は、パーシャや護衛兵、妻達を追い払い、勝利を祝って乱舞する。ギュルナーラのあとを追いかけて、ビルバントがそこに飛び込んできた。二人は、コンラッドとメドーラ と鉢合わせになる。メドーラは、ビルバントが裏切り者であることをコンラッドに明かした。コンラッドはビルバントに銃口を向け、引き金を引いた。奴隷アリの手引きで、メドーラとギュルナーラはコンラッドと共に宮殿から抜け出し、海賊船に乗り込んだ。

第3幕、第4場 嵐

海賊船は、穏やかな海を航行している。舵を操るコンラッドのかたわらには、メドーラが寄り添っている。突然、嵐が吹き荒れ、かき曇った空に稲妻が光る。突風が帆を切り裂き、帆柱は落雷で真っ二つに折れてしまう。海賊船は荒れ狂う海のなかに沈んでいった。

エピローグ

嵐がおさまり、海はふたたび穏やかになった。夜空には、月が輝いている。月光が、岩にしがみついたコンラッドとメドーラの姿を映し出した。彼らは奇跡的に嵐を生き抜いた。二人の愛は、試練に打ち勝ったのだった。

Photos: Kiyonori Hasegawa

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