音楽:ピョートル・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ/レフ・イワーノフ/ピーター・ライト
演出:ピーター・ライト
装置・衣裳:フィリップ・プラウズ オリジナル照明:マーク・ジョナサン
王と王妃は、生まれたばかりのオーロラ姫の命名式に妖精たちを招くが、ただ一人カラボスを忘れていた。憤慨したカラボスは“姫はやがて針で指を刺して死ぬ”と呪いをかける。だがリラの精は、姫は死ぬのではなく眠り続け、百年後に王子のキスで目覚めると告げる。時が過ぎ、姫の誕生日。4 人の王子が求婚に来るが、カラボスのたくらみによって姫は呪いのとおり針で指を刺し倒れてしまう。リラの精の魔法によって、城全体は100 年後王子が現れるまで眠りにつく…。
英国の香りに満ちた、ロイヤル・バレエ・ファミリーの“十八番”
チャイコフスキーの優美で洗練された音楽にのせ、古典バレエの様式美を余すところなく具現化した19世紀ロシアのクラシック・バレエの最高峰「眠れる森の美女」。英国ではロイヤル・バレエ団創設当初から本作が上演され、代々の振付家たちによって磨かれてきました。
このたび上演するのは、戦後英国バレエ界の巨匠のひとりで、芸術監督として英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団(BRB)を18年にわたり牽引したピーター・ライトによる、ロシア=英国の伝統に連なる正統派のヴァージョン。煌びやかな舞台装置に彩られたなかで、技巧的にもアップデートされた繊細な振付が役柄や心理を細やかに表現しています。ライトは、カラボスと対となるリラの精をロシアの古い上演にのっとりマイム役にすることで貫録を与え、ドラマティックな演出に仕上げました。2018年に続き、変わらぬ愛らしさと観る者の感情を深く揺さぶる圧倒的な演技力でバレエ・ファンの心をとらえて離さないアリーナ・コジョカルのゲスト出演は、日本公演だからこそのキャスティング。コジョカルとともに、観客を物語の世界に取り込む豊かなテクニックと表現力をもつBRBのダンサーたちが贈るロイヤル・バレエ・ファミリーの“十八番”の舞台をどうぞご堪能ください!
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:デヴィッド・ビントリー
美術:ジョン・F・マクファーレン
照明:デヴィッド・A・フィン
台所に住まわされているシンデレラは、継母と義理の姉たちの世話に明け暮れていた。お城で王子のお妃選びのために舞踏会が開かれると知った義理の姉たちは準備に大忙し。台所のシンデレラは、寒さに凍えて忍び込んだみすぼらしい身なりで裸足の老女に出会う。シンデレラは食べ物を分け与え、唯一の宝物、母の形見の舞踏会用の靴も与えた。舞踏会の日、一人残されたシンデレラの前にあの物乞いの老女が現れる。彼女はシンデレラの母の慈愛の心を持つ仙女だったのだ。魔法で美しいドレスを纏ったシンデレラは舞踏会で王子と出会い、二人は踊り続けるのだが、時計が真夜中を告げると、魔法は解けてしまい…。
現代の観客が共感できる、夢と希望にあふれたファンタジー
英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団(BRB)が上演するもう一作は、英国の演劇的バレエの伝統を継承する振付家であり、20年以上にわたり芸術監督として同団を率いてきたデヴィッド・ビントリーによる、観るものをファンタジーの世界に誘う「シンデレラ」です。
ビントリー版の物語のキーとなるのは“靴”。第1 幕、継母や義理の姉たちから虐げられながらも懸命に生きるシンデレラにとって、亡き母の形見の舞踏会用の靴は唯一の宝物ですが、シンデレラはこれを家に迷い込んだ物乞いの裸足の老女に差し出します。彼女の内面の美しさをきっかけにして魔法がはじまります。 童話の中であっても“現代の観客が共感できる生身のキャラクター”を生み出すことにこだわったビントリーは、第1 幕ではシンデレラの苦しみに、第2 幕では魔法によって見出す夢と希望に焦点を当て、そのコントラストを鮮やかに表現。特に、星空でできた大広間での舞踏会シーンは幻想的でまばゆく、シンデレラ、そして観客の目にまさに“ひと時の夢”かのごとく映ります。“リアリティに基づいたユーモア”たっぷりの義理の姉たちに加え、仙女の魔法で登場するカエルの御者やネズミの小姓など、愛くるしい着ぐるみたちのコミカルな踊りも、英国バレエならではの楽しい見どころです。
このたびの日本公演では、ゲストとしてBRB 出身で現在英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルのウィリアム・ブレイスウェルが、ノーブルで伸びやかな踊りで以前の仲間たちと久しぶりの共演を果たします。
2015 年日本公演で好評を博した本作の10 年ぶりの上演にご期待ください。