オペラ、バレエともに世界最高のレベルを誇る名門歌劇場
英国ロイヤル・オペラハウス
ロンドンでは、地名にちなんで“コヴェントガーデン”と呼ばれることも多い英国ロイヤル・オペラハウス。ここを本拠地として、世界のバレエ・ファン、オペラ・ファンからの熱い注目を集めているのが、エリザベス女王の裁可を得て“ロイヤル”の名を冠する「英国ロイヤル・バレエ団」と「英国ロイヤル・オペラ」です。
両者が一つの劇場を本拠地として活動するようになったのは、第二次大戦後の1946年のことですが、オペラの歴史は1728年ジョン・ゲイの『乞食オペラ』の上演からとされています。最初の劇場シアター・ロイヤルと二番目の劇場が火災に見舞われ、現在の劇場は1858年に建設されたものですが、二度の火災によって劇場が失われたいずれのときも、再建がほどなく行われたことに、この地におけるオペラを求める意識の高さを感じます。
こうしたオペラを愛する人々がいたことが、英国ロイヤル・オペラの質的向上や発展に結びついたともいえるでしょう。数々のオペラの英国初演を果たしたことや、時代とともに生み出される新作を紹介してきたこと、そしてそれらの上演とオーケストラの質は19世紀後半にはすでにヨーロッパのどの歌劇場にもひけをとらない水準であったことなどが歴史に記されています。
現在ロイヤル・オペラハウスは、1996年から4年をかけて行われた大改修によって、ヨーロッパ随一の近代設備が整った歌劇場へと変貌を遂げました。そして、英国ロイヤル・オペラの音楽監督に2002年に就任したアントニオ・パッパーノの指揮のもと、オーケストラ、コーラスの充実はここ数年目を見張るものがあります。幅広いレパートリーを持ち、オペラを愛する観客に恵まれた英国ロイヤル・オペラは今まさに円熟期を迎えているといえるでしょう。
一方、英国ロイヤル・バレエ団の歴史は、1926年にニネット・ド・ヴァロワによって設立されたヴィク・ウェルズ・バレエ団(活動の拠点としたサドラーズ・ウェルズとオールド・ヴィクの二つの劇場から取られた名前)を始まりとします。第二次世界大戦後、ロイヤル・オペラハウスの専属バレエ団となり、創立25周年を迎えた1956年に「ロイヤル」の冠称を得たバレエ団は、創設振付家としてフレデリック・アシュトンを擁しています。アシュトンは、英国ロイヤル・スタイルの代名詞ともいわれる振付家ですが、作品の質・量ともに、彼に比肩する英国の振付家はないといわれるほど、独自の創作を活発に行いました。1970年にアシュトンの後任として芸術監督に就任したケネス・マクミランも、7年間の在任中、多岐にわたる作品を発表しますが、海外からの振付家を招いたり、バランシンやロビンズ、クランコなどの作品を取り入れることによって、ロイヤル・バレエ団のレパートリー拡大にも功績を果たしたといえます。さらに、1986年に芸術監督となったアンソニー・ダウエルは、ド・ヴァロワの時代から受け継がれてきた伝統の上に現代の観客の期待と価値観を反映させるアイディアも実現させ、また次々と新しい才能を見いだし、育て、開花させることに成功。その姿勢は2002年からモニカ・メイスンが引き継いでいます。
伝統を受け継ぎ、理念を貫きながらも時代の潮流のなかに生きるパフォーマンスを目指す、これこそが英国ロイヤルの名を冠するバレエ団、そしてオペラの魅力といえるでしょう。そしてそこに繰り広げられる上演が、バレエもオペラも、世界に名を成す一流歌劇場としての充実をみせていることは、バレエ・ファン、オペラ・ファンなら異論を唱える者はないはずです。
3か月の間に、2年ぶりとなるバレエ団に続き、なんと18年ぶりにオペラの来日が実現する2010年は、まさに英国ロイヤル・オペラ日本シーズンの実現!存分にお楽しみください。
ほぼ18年の時を経て、2010年に「マノン」と「椿姫」を携えてロイヤル・オペラが、またロイヤル・バレエ団が「ロミオとジュリエット」、「うたかたの恋」、そして「リーズの結婚」の3作とともに再び日本を訪れることを大変嬉しく思っています。
我々は日本で常に大変熱心に歓迎していただいておりますが、この長きにわたる友情を新たなものとするのと同時に、このツアーによってまた新たな友人を得られることを大いに楽しみにしています。
今回の舞台を皆さまに楽しんでいただけることを願っています。
トニー・ホール
英国ロイヤル・オペラハウス総支配人
After nearly 18 years I am delight that The Royal Opera and The Royal ballet are returning to Japan with Manon, La Traviata, Romeo and Juliet, Mayerling and La Fille mal Gardeé in 2010.
We have always been made extremely welcome by our hosts in Japan, and we greatly look forward to renewing old friendship and making new friends with this tour.
I hope you all enjoy the productions.
Tony Hall
Chief Executive, Royal Opera House