ミラノ・スカラ座2013年日本公演

 今回のミラノ・スカラ座日本公演で上演される2つのオペラは、かたや殺し屋に娘を殺され、“呪い”の恐怖に見舞われる悲劇『リゴレット』、かたや悪だくみを仕掛けたはずの太っちょ騎士が、逆に懲らしめられてしまう喜劇『ファルスタッフ』と、一見すると対照的です。しかし、ヴェルディがイタリア・オペラの巨匠と呼ばれるのは、”素晴らしい音楽”や、“面白いドラマ”でオペラをつくったということだけではありません。ヴェルディの最大の興味は「人間」に向けられていました。人間の本質を音楽劇で表したいという信念ともいえるものは、どの作品にも共通しているのです。
 今回の2作でみると、まず『リゴレット』では、普段は社会のアウトロー的存在として、皮肉を言い、嫌われ者として振る舞っている宮廷の道化リゴレットが、娘のためにはすべてをかなぐり捨てる強い父性愛の持ち主であることを描き出しています。一方の『ファルスタッフ』では、主人公が”古き良き時代”の騎士としての誇りをもって生きていることを、ある種の哀愁として描いています。そして、ヴェルディは、最後にファルスタッフ自身に彼が誇りとしているものを笑い飛ばさせることによって、それは誰の人生にもあてはまるものだのだということを表します。ファルスタッフが示すのは、人生への寛い心、すなわち“愛”なのです。
 オペラに愛はつきもの、ではありますが、この2作にあるのは、男女間の愛ではありません。父が娘に向ける愛、人生そのものに向けられた愛は、単なる感情の動きではない、人間の普遍的なテーマといえるものです。
 「演出自体が舞台の目的であってはならない。歌手たちがつくりあげる人間と人間の関係が演劇として説得力をもつべき」と考えるのは『リゴレット』の演出家ジルベール・デフロ。また、『ファルスタッフ』の演出を手がけたロバート・カーセンも、「『ファルスタッフ』は、悲喜劇的なシチュエーションの面白さに興じるだけのものではなく、人間の心を奥底まで掘り下げることによって、滑稽なストーリーに深みを与えている」と、このオペラの本質を語っています。ヴェルディの思いを深く理解する二人の演出家による2作は、〈ヴェルディ生誕200年祭〉に相応しい舞台といえます。

7月20日(土) 10:00a.m.より 第2次発売
NBSチケットセンターとイープラスのみで発売

          

ミラノ・スカラ座2013年日本公演
「ファルスタッフ」

会場:東京文化会館

2013年
9月4日(水) 6:30p.m / 9月6日(金) 6:30p.m / 9月8日(日) 3:00p.m. /
9月12日(木) 3:00p.m. / 9月14日(土) 3:00p.m.

指揮:ダニエル・ハーディング
演出:ロバート・カーセン

【予定される主な配役】
サー・ジョン・ファルスタッフ:アンブロージョ・マエストリ
フォード:ファビオ・カピタヌッチ (9/4,8,14)、マッシモ・カヴァレッティ (9/6,12)
フェントン:アントニオ・ポーリ
アリーチェ:バルバラ・フリットリ
ナンネッタ:イリーナ・ルング
クイックリー夫人:ダニエラ・バルチェッローナ

入場料[税込]
S=¥62,000 A=¥55,000 B=¥48,000 C=¥38,000 D=¥29,000

ミラノ・スカラ座2013年日本公演
ヴェルディ作曲「リゴレット」

会場:NHKホール

2013年
9月9日(月) 6:30p.m. / 9月11日(水) 3:00p.m. / 9月13日(金) 6:30p.m. / 9月15日(日) 1:00p.m.

指揮:グスターボ・ドゥダメル
演出:ジルベール・デフロ

【予定される主な配役】
マントヴァ公爵:ジョセフ・カレヤ (9/9, 13) /ジョルジョ・ベッルージ (9/11, 15)
リゴレット:レオ・ヌッチ (9/9, 11, 15) /ゲオルグ・ガグニーゼ (9/13)
ジルダ:エレーナ・モシュク (9/9, 13) /マリア・アレハンドレス (9/11, 15)
スパラフチーレ:アレクサンドル・ツィムバリュク
マッダレーナ:ケテワン・ケモクリーゼ

入場料[税込]
S=¥62,000 A=¥55,000 B=¥48,000 C=¥38,000 D=¥29,000

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