創立3年目のソ連公演、その4年後には欧州へも進出、と世界への第一歩を踏み出した東京バレエ団。国内でもその後、海外から優れた指導者や共演者を迎え、次々と大きな公演を成功させていきます。その一つが、1973年5月の「眠れる森の美女」。世紀の舞姫とうたわれた大スター、マーゴ・フォンテインが東京バレエ団と初共演、日本のファンを魅了しました。こうして当時の世界三大バレリーナ(マーゴ・フォンテイン、マイヤ・プリセツカヤ、アリシア・アロンソ)との共演を経験したのち、同年8月には第4次海外公演となるヨーロッパ・ツアーに出発。翌1974年1月までの半年にわたる長期ツアーで、10万人近くもの観客を動員し、そのアンサンブルの美しさ、芸術性が絶賛されました。同ツアーの帰国報告を兼ねた大規模な公演が開催されたのは、この年の5月から8月。プリセツカヤ、アレクサンドル・ゴドゥノフをはじめ5人のボリショイ・バレエのスター、さらにフォンテインを迎えての創立10周年記念公演が開催され、プリセツカヤ主演の「白鳥の湖」全幕や〈バレエ・コンサート〉、フォンテイン主演の「眠れる森の美女」全幕など華やかな舞台が話題に。
 さらに、翌1975年にもロンドン、ウィーン、ヴェネツィア等を巡る第5次海外公演を実施。100日間に87公演という過密スケジュールをこなしたこのツアーでは、モーリス・ベジャール率いる20世紀バレエ団の本拠地、ブリュッセルの王立モネ劇場への出演も果たしています。そして1976年夏。世界のスターダンサーが一堂に会する3年に一度の祭典、世界バレエフェスティバルの記念すべき第1回が、東京バレエ団の主催により開催されます。エヴァ・エフドキモワ、カルラ・フラッチらが主演した全幕作品(「白鳥の湖」、「ジゼル」)のほか、〈グラン・ガラ・パフォーマンス〉では20名以上のスターたちの豪華な競演が実現。
 こうして世界水準の舞台に触れる数々の機会を創出しながら、1979年の第7次海外公演では、ついにモスクワのボリショイ劇場への出演がかなったのです。200年以上の伝統を誇る世界最高峰の劇場への出演は、日本のバレエ団初の快挙として注目され、「レ・シルフィード」「タムタム」を含む〈ミックス・プロ〉、「眠れる森の美女」全幕、さらに、アレクセイ・ワルラーモフに振付を委嘱、ボリショイのスタッフと共同制作し、前年に初演した「かぐや姫」を上演。連日超満員、カーテンコールでは客席総立ちという大成功を収め、その大いなる発展を強く印象づけたのでした。

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