東京バレエ団 カリアリ公演 魅惑的な雰囲気による“魔法のひととき” 東京バレエ団第30次海外公演イタリア、サルディーニャ島のカリアリ公演。 大成功の模様を報じる現地の批評とともに、この成功の“ルーツ”をご紹介。 劇場に掲げられた公演広告東京バレエ団公演は5月25日から29日の全7回公演 街中でのスナップ

カリアリ歌劇場における東京バレエ団公演
ノイマイヤー、キリアン、ベジャール振付による魅惑的な雰囲気
(ANSA SARDEGNA イタリア共同通信社 サルデーニャ版)

東洋を暗示する魅惑的な雰囲気で昨夜のカリアリ歌劇場は盛大なる拍手に包まれた。素晴らしい舞踊の夕べの主役は東京バレエ団で20世紀の三大振付家による作品が上演された。評価の高い日本のバレエ団は30年ぶりにカリアリに戻って来て、舞踊の世界の傑作である並外れた振付による作品を披露した。プログラム始めの2作品であるジョン・ノイマイヤー振付、ドヴォルザークの弦楽作品セレナーデによる「スプリング・アンド・フォール」とイリ・キリアン振付、武満徹作曲の「ドリーム・タイム」はイタリア初演である。
プログラム最後は1910年にストラヴィンスキーが作曲し、1959年にモーリス・ベジャールが振付けた著名なる「春の祭典」で締めくくられた。東京バレエ団はベジャールからこの作品の特別な上演権を与えられている。

 東京バレエ団TwitterやFacebookでご紹介している通り、去る5月25日から29日に行われた東京バレエ団の第30次海外公演、イタリアのサルディーニャ島カリアリ歌劇場での公演は、全7公演がほぼ完売、先にご紹介した公演評からもうかがわれる通り、大喝采を浴びる成功をおさめました。
 海外公演はすでに30回目、公演数も750回を超えるものとなっていますが、東京バレエ団の創設者である佐々木忠次の死去後1ヵ月弱というなかで行われた今回公演は、佐々木忠次が東京バレエ団に果たした功績を、あらためて感じさせるものでもありました。というのも、今回の3作品を東京バレエ団のレパートリーとして取り入れたのは、ほかでもない、佐々木忠次だったのです。「時節の色」の創作中、ノイマイヤー氏から佐々木忠次にカップリング上演する演目として提案されたのが「スプリング・アンド・フォール」、キリアンの「ドリーム・タイム」は、2000年に東京バレエ団の〈キリアンの夕べ〉に際して、佐々木忠次自身が選んだ作品でした。
 そして「春の祭典」。モーリス・ベジャールは東京バレエ団のための2作目の創作「M」の初演終了後に、当時は自身のバレエ団以外では許さなかった「春の祭典」の上演権を東京バレエ団に特別プレゼントすると、佐々木忠次に告げたのでした。
 今回の公演の喝采を浴びながら、団員、スタッフたちは、佐々木忠次から見守られていることを感じたと言います。