〈東京バレエ団創立45周年記念公演 ?〉旬の輝きに満ちた夢のプリンスが魅せる、渾身のアルブレヒト!フリーデマン・フォーゲル主演 ジゼル全2幕
CAST

Friedemann Vogel アルブレヒト:フリーデマン・フォーゲル
Friedemann Vogel アルブレヒト:フリーデマン・フォーゲル

シュツットガルト・バレエ団プリンシパル。
ドイツのシュツットガルトに生まれる。ジョン・クランコ・バレエ学校を経て、モナコのマリカ・ベゾブラゾワに師事。1997年ローザンヌ国際バレエコンクールに入賞。98年シュツットガルト・バレエ団に入団し、02年プリンシパル昇格。「椿姫」「ロミオとジュリエット」「オネーギン」のレンスキーなど物語バレエ、「ジゼル」「眠れる森の美女」など古典バレエ、現代物にも多数主演。英国はじめ海外でも度々客演している。

[日本語訳]

ジゼルのアルブレヒトは僕の大好きな役のひとつです。また日本でこの役を踊ることができるのを楽しみにしています。「ジゼル」はとてもドラマティックなバレエです。この作品のラスト--アルブレヒトは恋に破れるのか、それともハッピーエンドに終わるのか、それは誰にもわかりません。自分でこの舞台をご覧になって感じていただければ。ぜひ観にいらしてください!


ジゼル:上野 水香(6/11,6/14)、ジゼル:吉岡 美佳(6/13)

ヒラリオン:後藤晴雄(6/11,6/14)、ヒラリオン:木村和夫(6/13)、ミルタ:田中結子(6/11,6/13)、ミルタ:高木綾(6/14)

甘く芳しい香りと無限の可能性を湛えた旬のダンサー、フォーゲル 決闘の前にその青年は、悲哀に満ちたソロを踊る。友の裏切り。霧散した理想。深い悲しみ。そして絶望。彼は死を覚悟している。いや、純真な彼の魂こそが、死へと自らその足を踏み入れたのではないか。昨年暮れのシュツットガルト・バレエ来日公演『オネーギン』初日、その青年、レンスキーを踊ったフリーデマン・フォーゲルに身震いするほどの感動を覚えた。悲劇へと向かう一人の若者の心のうちが手に取るように伝わってきたのだ。しかも彼の踊りには、悲痛な叫びと同時に、あふれんばかりのロマンティシズム、詩情までもが漂っていた。言葉のないバレエで、人の感情を伝えることは難しい。けれどそれ以上に困難なのは、その人が誰かを伝えることだろう。あのときのフォーゲルは、まさに詩人レンスキーとして舞台の上にいたのだ。 世界バレエフェスティバルへの鮮烈なデビューのあと、フォーゲルは常に注目を浴び、期待されてきた。瑞々しいロミオ、甘く爽やかなジークフリート王子、期待に違わぬ活躍も記憶に新しい。なかでも、ここ数年の活躍ぶりには目を見張る。エレガントな踊り、柔軟な演技力、作品に呼応する豊かな感性、天性の華。そのいずれもが、いま、たわわに実って、甘く芳しい香りを放っている。それなのに、なお無限の可能性を感じさせるのだ。 オネーギンに先立ち上演された『眠れる森の美女』でも、そんなフォーゲルの存在感に圧倒された。オーロラが百年の眠りについた森は色を失い冬の気配に凍えている。だが、舞台に彼が飛び込んできた瞬間、まさに春がやってきたのだ。フォーゲルのまとう空気は雪をも溶かすほど暖かく、その踊りは冬を蹴散らし生命を再び呼び覚ますほど若々しい。 そのフォーゲルが今度は『エチュード』と『ジゼル』を踊るという。テクニックがなければ踊れない。けれどテクニックだけではつまらない。そんな『エチュード』を彼はどんなふうに踊るのだろう。一方『ジゼル』は、2007年に一度踊り、急な代役とは思えない血の通った人物造形で深い感動を残した作品である。満を持して臨む今回は更なる飛躍が期待できるはず。今年もフォーゲルから目が離せそうもない。柴田明子 (バレエ評論)〜NBSニュースvol.264より転載〜
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