ドラマティック・バレエの最高峰、 天才振付家ジョン・クランコの伝統を今に受け継ぐ名門、4年ぶり来日!
シュツットガルト・バレエ団
2012年日本公演
悩める王子と悲劇の姫。 「白鳥の湖」の物語の本質を突くクランコ版、日本初演!
「白鳥の湖」 Swan Lake
古典版に基づくジョン・クランコ振付の全4幕のバレエ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー 装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
Alicia Amatrian,Friedemann Vogel
ドラマティック・バレエの伝統を生み出した、20世紀屈指の天才振付家 ジョン・クランコJohn Cranko
言葉のないバレエで生き生きとした人間の物語を描き続けた天才ジョン・クランコの演出による、古典の名作「白鳥の湖」が、ついに日本で初演されます。 クランコがこの古典の新演出を発表したのは、シュツットガルト・バレエ団に着任後まもなくの1963年。彼は、失敗に終わったと言われるロシアでの「白鳥の湖」初演の経緯や、チャイコフスキーの音楽を綿密に調べ、古典の様式に基づきながらも、クラシック・バレエが陥りがちだった“ダンスの羅列”を超えた、人間的な生命を本作に吹き込みました。 それはジークフリート王子の心理や人間性に焦点を当て、魔力に彩られた神秘の物語を王子の物語として描くことでした。たとえば冒頭の城の庭園の場面。幕が開くとすでに王子の物語が始まっており、自由を求める若くロマンティストな青年である彼の性格や、置かれた状況が明らかになっていきます。もっとも特徴的なのは第4幕。愛の裏切りによって湖に大洪水が起こり、王子は溺死。オデットは白鳥の姿に戻って飛んでいくというドラマティックな結末が待っています。チャイコフスキーの音楽の悲劇的な基調とそれまでの物語の自然な帰結として考案されたこの演出は、発表当時大きな反響を呼び、のちのヌレエフ版やブルーン版、ノイマイヤー版をはじめ多くの振付家の演出に影響を与えました。 荘重ななかに鮮やかな色彩を放つ、屈指の舞台美術家ユルゲン・ローゼによる美しい装置。その中で克明に描写されるジークフリート王子と悲劇の姫オデット、文字通りの悪魔的存在感を放つオディールとロットバルト。古典作品の登場人物が新たによみがえる、クランコ版「白鳥の湖」にどうぞご期待ください!
CAST
2012年 6月5日(火) 6:30p.m. オデット/オディール:アリシア・アマトリアン ジークフリート王子:フリーデマン・フォーゲル
アリシア・アマトリアン Alicia Amatriain
フリーデマン・フォーゲル Friedemann Vogel
6月6日(水) 6:30p.m. オデット/オディール:マリア・アイシュヴァルト ジークフリート王子:マライン・ラドメイカー
マリア・アイシュヴァルト Maria Eichwald
マライン・ラドメイカー Marijn Rademaker
あらすじ
第1幕:王子の城近く ジークフリート王子が成人を迎える前夜。翌日王子は祝宴に招かれた姫君の中から花嫁を選び、王位に就かなければならない。しかし、若くロマンティストの王子は、空疎な宮廷儀礼が大嫌いだ。老家庭教師や従者、若い娘たちと一緒に過ごす方が楽しい。今日は自由を謳歌できる最後の日ということで、宮殿から離れたところにみんなで集まって浮かれ騒ぐ。しかし、摂政である母の王妃に居場所を発見され、高貴な身分にふさわしくない振る舞いは辞めるよう言い渡される。王子は、自由の身である最後の日を邪魔されたことを怒り、要求に従う覚悟はできているが、それは今日ではないと、王妃を非難する。王妃は引き下がるが、楽しい気分を害された王子はこれから自分を待ち受けている生活を思い、憂鬱な気持ちを隠せない。頭上を野の白鳥の群れが飛んでいく。不思議な予兆を感じた王子は、白鳥を追って森に入っていく。心配した王子の仲間も数人、王子に危害がないようにと後を追う。
第2幕:湖畔 野の白鳥たちが湖の上を滑るように飛んでいく。群れを率いるのは冠をかぶった一羽の白鳥。それが、邪悪な魔術師ロットバルトに魔法をかけられた王女オデットだ。他の白鳥たちも魔法をかけられた娘たちだ。薄明りがさす頃、みな白鳥の姿に戻らなければならない。王子はオデットを見つけ、二人は恋に落ちる。オデットは、もし王子の愛が純粋で不変のものなら、自分にかけられた魔法は解けると、王子に告げる。王子は、オデットに永遠の愛を誓う。
第3幕:玉座の間 貴族たちが王子の成人・婚約・戴冠のお祝いに集まっている。王子はどの国の王女を王妃に選ぶのだろうか?ポーランド、スペイン、ロシア、それともナポリ?王子は気乗りしない様子で華やかな式を眺める。何しろ、王子はオデットの野育ちで気高い姿に恋していたのだから。そのとき突然、見知らぬ男が娘を連れて入ってくる。それは変装したロットバルトで、「娘」というのは、実はオデットにそっくりな魔女オディールだった。この怪物が自分の愛するオデットだと信じた王子は、結婚を誓う。しかし、二人が祝福を受けようと跪くと、あざけりの高笑いが宮殿を揺るがすように響き渡る。オディールの姿は消え、ロットバルトが勝ち誇っている。王子はオデットを裏切ってしまったのだ。
Alicia Amatrian,Jiri Jelinek
第4幕:湖畔 王子はあわててオデットを探しに行く。ロットバルトはオデットを王子から永遠に引き離す前に、二人に束の間の逢瀬を許す。湖が氾濫し、翌朝、王子の遺体が湖の端で発見される。溺死だ。白鳥の群れが湖の上を滑るように横切って飛んでいく。群れの中にはオデットがいる。オデットは、変わることのない真実の王子が現れるのを待たねばならない。そうでなければ、白鳥の姿のまま永遠に時を過ごす運命なのだ。
Alicia Amatrian,Friedman Vogel
photos:stuttgart Ballet