「ジゼル」全2幕
音楽:アドルフ・アダン
編曲:ジョゼフ・ホロヴィッツ
振付:マリウス・プティパ(ジャン・コラーリ、ジュール・ペローによる)
台本:テオフィル・ゴーティエ(ハインリッヒ・ハイネによる)
演出・追加振付:ピーター・ライト
美術:ジョン・マクファーレン
照明:デヴィッド・フィン(ジェニファー・ティプトンのオリジナル・デザインによる)
Photo:Bill Cooper
月明かりの夜、白い顔に魅惑的な笑みをうかべて踊るウィリたちは、抗いがたく誘惑的。けれどその狂気に取り巻かれた男は、死ぬまで踊り続けなければならない…。
婚礼を前に死んだ若い女性の霊ウィリの伝説をもとにした、ロマンティック・バレエ「ジゼル」は、19世紀に大ヒットを飛ばして以来、脈々と踊り継がれてきた傑作バレエです。
ヒロインのジゼルは、愛を誓い合った男性に裏切られ、まさに伝説のウィリの悲劇の運命をたどります。けれど彼女は魔性の存在となってなお、愛を貫き、同胞たちから彼を守るのです。ドラマティックな展開を見せる第1幕の現実世界と神秘的な霊界を描く第2幕の鮮やかな対比。その中で成長を遂げるジゼルの幽玄美と精神性は、時代を越えて観客の心をとらえてきました。
今回上演される「ジゼル」の演出は、英国における古典バレエの第一人者、ピーター・ライトによるもの。その特徴は、英国らしい演劇的な整合性や細部へのこだわりにあります。ジゼルの死を心臓の病のためではなく自殺とし、そのために正式な埋葬がされなかったことや、ジゼルの出生の謎を暗示する母ベルタの描き方など、細部へのこだわりが演劇的な厚みを生み、現代人にとって説得力をもつ展開となっているのです。
踊りと演技が一体となった高い表現力を求められる本作は、いまなお演じるダンサーたちにとっての試金石であり、これまで幾多の名演を生んできました。英国ロイヤル・バレエ団が誇るスターたちの競演は、その歴史に新たなページを刻むにちがいありません。
村娘ジゼルは、村人になりすましたアルブレヒト伯爵に恋をする。母ベルタは、婚礼の前に男に捨てられて死んだ娘たちの亡霊「ウィリ」の話をして、その恋をあきらめさせようとする。そんな時、貴族の一行がジゼルの村を訪れる。ジゼルは美しい貴族の女性バチルドをもてなすが、彼女はアルブレヒトの婚約者だった。ジゼルを愛する森番ヒラリオンは、恋敵アルブレヒトの素振りに怪しさを感じとり、皆の前で正体を暴く。ジゼルは衝撃のあまり狂気に陥り、アルブレヒトの剣で自らの命を絶つ。
夜、ヒラリオンとアルブレヒトが相次いで森の中の彼女の墓を訪れるが、彼女は「ウィリ」となっていた。ウィリたちはヒラリオンを踊らせて殺し、次の標的をアルブレヒトに定める。ジゼルは必死に彼を守り、いつしかウィリの魔力が失われる夜明けが訪れる…。
Photo:Bill Cooper
ピーター・ライト(振付家:1926~)
Peter Wright
ロンドン生まれ。1977年から95年までサドラーズ・ウェルズ・ロイヤル・バレエ団(90年より英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団、BRB)芸術監督を務めた(95年より名誉芸術監督)。「眠れる森の美女」「コッペリア」「白鳥の湖」などの古典作品の改訂で世界的な評価を獲得している。
6月22日(水)7:00p.m.
ジゼル:マリアネラ・ヌニェス | / | アルブレヒト:ワディム・ムンタギロフ |
6月24日(金)7:00p.m.
ジゼル:ナターリヤ・オシポワ | / | アルブレヒト:マシュー・ゴールディング |
6月25日(土)2:00p.m.
ジゼル:サラ・ラム | / | アルブレヒト:スティーヴン・マックレー |
6月26日(日)2:00p.m.
ジゼル:ローレン・カスバートソン | / | アルブレヒト:フェデリコ・ボネッリ |
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
※記載の配役は2016年2月5日現在の予定です。カンパニーの都合等で変更になる場合がありますので、ご了承の上、チケットをお求めください。配役変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の振替はいたしません。正式な配役は公演当日に発表いたします。
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