白い妖精たちが舞う、神秘の森にようこそ！
東京バレエ団自慢のロマンティック・バレエの傑作

photo: Kiyonori Hasegawa

結婚式を控えた青年ジェイムズのもとに姿を現したのは、無垢な愛らしさをたたえた“空気の精”ラ・シルフィード。彼女はジェイムズの周囲をふわふわと回り、森へ行こうと誘います。ラ・シルフィードはジェイムズに恋をしてしまったのです！　戸惑うジェイムズ。彼には美しい婚約者のエフィーがいるのですから。ところが婚礼の準備が始まろうとするときに魔女マッジが現れ、皆の前で「エフィーの夫になるのはジェイムズではない」と不吉な予言をするのです……。

「ラ・シルフィード」は、19世紀の前半にヨーロッパを席巻したロマン主義の潮流のもと、フィリッポ・タリオーニが原案・振付を担い、パリで初演されて大ヒットを飛ばしたロマンティック・バレエの代表作。スコットランドの深い森を白い妖精たちが舞う“バレエ・ブラン”（白いバレエ）と呼ばれる場面は、その後のバレエの歴史に大きな影響を与えました。
東京バレエ団が上演するピエール・ラコット版は、このタリオーニ版を復元しつつ現代の観客に訴えかける創意を加えたものです。東京バレエ団は本作を1984年に初演し、大切なレパートリーとして守り続けてきました。とくに芸術監督の斎藤友佳理にとっては代表作の一つであり、指導者としてもラコットの信認を得てきた大切な作品です。その斎藤が情熱をもって取り組み、二組の主役と自慢の群舞が美しく典雅なスタイルで舞う、創立55周年の掉尾を飾る舞台にどうぞご期待ください。