眠れる森の美女 プロローグ付き 全3幕

振付:マリシア・ハイデ
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ

色彩豊かな洗練された美術と、歌舞伎のように華麗な演出。こんなドラマティックな「眠り」は観たことがない!?

フランス宮廷ふうの瀟洒な中庭で、さざめくロイヤル・ブルーの宮廷服に身を包んだ貴族たち。色とりどりの衣裳をまとった妖精たちが登場し、王国に誕生したオーロラ姫を祝福します。しかしとどろく雷鳴を合図に悪の精カラボスが登場! 黒いドレスをまとい力強く旋回するその姿が、祝宴に招かれなかった激しい憎悪を放ちます。「姫は呪われる。16歳になったら死ぬのだ」......。

シュツットガルト・バレエ団の伝説のプリマであり、20余年もの間、芸術監督を務めたマリシア・ハイデが在任中に発表した「眠れる森の美女」は、現在でも大きな人気を誇るレパートリーの一つです。

特筆すべきはドイツの名舞台美術家、ユルゲン・ローゼによる美術。三方を回廊で囲んだ舞台上に人物が登場するたび配色を加えながら目にも綾な色彩が広がっていく様子は、まさに夢のようなマジック!

また、歌舞伎の女形に想を得てハイデの名相手役だったリチャード・クラガンのために創作されたのが、ダイナミックにして妖艶なカラボス。ハイデは、古典バレエの最高峰である本作の演出にあたってそこに人間的な要素を見出し、カラボスを強調することでポジティヴ/ネガティヴな感情の葛藤を鮮やかに描き出しました。他に類をみない華麗にしてドラマティックな「眠れる森の美女」をどうぞお楽しみに!


Story

プロローグ

長いこと子どもを待って女王様に、やっと女の子が授かりました。たくさんのお客さまを招いて、オーロラ姫の命名式が行われることになりました。儀典長のカタラビュットは、7人の妖精のうち6人しか招いていなかったことに気がつきましたが、時すでに遅し。カラボスが見当たりません。招かれなかったことに腹を立てたカラボスは、式を邪魔します。他の妖精たちがオーロラにバラの木を贈り、お祝いを述べているとき、カラボスはオーロラに呪いをかけます。オーロラは16歳の誕生日に死ぬ、という予言をするのです。運よくリラの精はまだ、オーロラへの願いをかけていませんでした。カラボスの呪いを打ち消すだけの力はありませんが、それを和らげることは出来ます。そしてオーロラはただ眠りにおちるだけだ、と約束します。100年経ったら、素敵な王子様が現れてくちづけをすれば、姫は目を覚ます、というのです。

幕間

年月が過ぎていきます。オーロラはリラの精の力で守られています。オーロラの16歳の誕生日が近づきました。呪いの計画を実行するチャンスを待っているカラボスは、オーロラから目を離しません。

第1幕

オーロラの命名式でプレゼントされたバラの木々は大きく成長しています。今日はオーロラの16歳の誕生日のお祝いです。四人の王子が「ローズ・アダージオ」でオーロラに求婚します。老婆に変装したカラボスも、招待客の中にまぎれこんでいます。カラボスはオーロラにバラの花束をプレゼントしますが、その中には“つむ”が隠されています。この花を手に持って「ローズ・アダージオ」を踊っていたオーロラは、つむで指を刺して倒れます。そこに再びリラの精が現れます。今度もまた呪いを和らげ、宮廷中に眠りの魔法をかけます。魔法の力は何年もの眠りの間、皆を護ります。その間にバラの木々は、成長を続け、ゆっくりとお城を包み込みます。

第2幕

100年が経ちました。王子は供を連れて近くの森へ鹿狩りに出かけます。遠くからリラの精がそれを見ています。仲間と離れて王子がひとりになると、リラの精は王子に、オーロラの幻を見せます。王子はその美しさの虜となり、リラの精に導かれて、オーロラを探しに出かけます。とうとうオーロラを見つけた王子は、口づけをして目を覚まさせます。この口づけで呪いが解け、お城中が目を覚まします。

第3幕

お城では再びお祝いの宴です。オーロラの婚礼にあたって、お城の人たちは、有名なおとぎ話の登場人物に変身して現れます。カラボスの予言は当たらなかったのです。リラの精が若いカップルに祝福を与えているのを、カラボスは遠くから羨ましげに見ています。婚礼はオーロラと王子のグラン・パ・ド・ドゥでクライマックスを迎えます。二人の愛はカラボス呪いより強かったのです。

Photos: Stuttgarter Ballett

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  • 2024/06 会場:神奈川県民ホール、NHKホール