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エディタ・グルベローヴァが着用した『ロベルト・デヴェリュー』エリザベッタの衣裳 <br>Photo: Wiener Staatsoper / Michael Poehn

2021/07/07(水)Vol.425

ウィーンのオークションハウスに
オペラのあの衣裳が!
2021/07/07(水)
2021年07月07日号
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オペラ

エディタ・グルベローヴァが着用した『ロベルト・デヴェリュー』エリザベッタの衣裳
Photo: Wiener Staatsoper / Michael Poehn

ウィーンのオークションハウスに
オペラのあの衣裳が!

5月中旬、コロナウイルス感染状況の改善を受けて約7カ月ぶりに街に活気が戻り始めたウィーン。ウィーン国立歌劇場も入場者数の制限を設けたうえでの公演が再開したことは、NHKでも報じられました。6月24日からはオーストリアへの日本人観光客も陰性証明により隔離無しでの入国が可能になったとのこと。オペラ・ファンにとって、以前のようにウィーン国立歌劇場に行ける日への期待が膨らみます。

さて、ウィーン国立歌劇場の2020/21シーズン終盤のトピックスをご紹介しましょう。ウィーン国立歌劇場の上演で使用された衣裳がドロテウムに出品されました。ドロテウムは、ウィーンにあるヨーロッパ最古のオークションハウスです。オークションと聞くと縁遠いような感覚を抱くかもしれませんが、ドロテウムはいわば"アンティークのデパート"のようなもの。オークションは年間600ほど行われていて、基本的には誰でも参加が可能。また、デパートのように商品が並んでいるので、その場で購入できるものもあるとか。ウィーン国立歌劇場から近い場所、つまりウィーンの街中にあることから、観光名所の一つにもなっているようです。
去る6月後半、ウィーン国立歌劇場のオペラで使用された衣裳の76点が初めてドロテウムに出品されました。エディタ・グルベローヴァやアンナ・ネトレプコ、エリーナ・ガランチャ、アグネス・バルツァ、ジュゼッペ・タッデイ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス、ニール・シコフ、ピョートル・ペチャーラなど、ビッグ・スターが着用した衣裳が含まれています。

それぞれの衣裳にはデザイナーの名前や上演のデータはもちろん、素材やデザインの特徴などの説明が付けられていて、たとえばエディタ・グルベローヴァが着用した『ロベルト・デヴェリュー』エリザベッタの衣裳には、デザイナー:ヘルムート・シュトゥルマー、初演は2000年12月7日のほか、真珠の首飾り、クリノリン(スカートを膨らませるための枠)、2つのラインストーンアームブレスレットで構成、素材はシルバーペイントで加工されたシルクであると記されています。ドレスの素材について知ることができるのは面白いところ。この衣裳は、1,500ユーロの開始価格から最後の29回目の入札9,000ユーロといった結果となりました。オンラインによるオークションに世界中からの入札が行われたようです。

エディタ・グルベローヴァが着用した『ロベルト・デヴェリュー』エリザベッタの衣裳

プラシド・ドミンゴが着用した『ランメルモールのルチア』エドガルドの衣裳
ディミトリー・ホロストフスキーが着用した『仮面舞踏会』アンカーストレムの衣裳
アンナ・ネトレプコが着用した『カルメン』ミカエラの衣裳

Photos: Wiener Staatsoper / Michael Poehn

このオークションの収益は、ウィーン国立歌劇場における若い才能のためのプロジェクトに充てられるとのことです。