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シュツットガルト・バレエ団公演「ロミオとジュリエット」より<br> Photo: Stuttgart Ballet

2022/01/05(水)Vol.437

東京バレエ団初演に向けて
クランコ振付「ロミオとジュリエット」の魅力
2022/01/05(水)
2022年01月05日号
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東京バレエ団

シュツットガルト・バレエ団公演「ロミオとジュリエット」より
Photo: Stuttgart Ballet

東京バレエ団初演に向けて
クランコ振付「ロミオとジュリエット」の魅力

2022年4月から5月にかけて、東京バレエ団が挑むジョン・クランコの「ロミオとジュリエット」。初演に向け、その魅力を舞踊評論家の新藤弘子さんに紹介してもらいました。

とりわけ豊かな魅力を持つクランコ版「ロミオとジュリエット」

この春、東京バレエ団がジョン・クランコ振付の「ロミオとジュリエット」を初演すると知って、胸が躍った。名版の多い「ロミオとジュリエット」の中でも、クランコ版はとりわけ豊かな魅力を持つものの一つ。黒と金色で統一された衣裳をまとう人々が厳かに踊るキャピュレット家の舞踏会。カーニバルの広場で踊る芸人たちのはつらつとした動き。少し振り返っただけで、さまざまな場面が鮮やかに蘇る。

クランコ版をシュツットガルト・バレエ団が初演したのは1962年(ちなみにロシアのラヴロフスキー版は1940年、英国のマクミラン版は1965年、ノイマイヤー版は1971年に登場している)。シュツットガルト・バレエ団の日本公演でもたびたび上演されており、躍動感のある踊りや、独特の明るさや温かみにあふれた舞台は、日本の観客にも馴染みが深い。第1幕のモンタギューとキャピュレットの争いや、娘ジュリエットの部屋を訪れるキャピュレット公夫妻の表情に重苦しい運命の影は薄く、むしろ誰もが共感する人の"情"にあふれているように見える。

シュツットガルト・バレエ団公演「ロミオとジュリエット」より
Photo: Stuttgart Ballet

その中で主人公の2人ももちろん、生き生きと輝いている。冒頭の広場でロミオは、まるで隠れんぼをするようにマントの陰から現れてロザラインを口説く。ジュリエットはといえば、初めての舞踏会で踊る姿も、バルコニーからロミオに向かって身を乗り出す姿も、明るく無邪気そのものだ。そして演劇的バレエの醍醐味とも言えるのが、要所に置かれた2人の見せ場。混じり気のない喜びにあふれたバルコニーのパ・ド・ドゥ、逸る気持ちを抑えきれないロミオの仕草に笑みを誘われる結婚式の場面、新婚の喜びと別れの悲しみが混じり合うジュリエットの寝室での踊り。一つひとつが恋人たちの心情を細やかに写し出して、見る人の胸を打つ。

シュツットガルト・バレエ団公演「ロミオとジュリエット」より
Photo: Kiyonori Hasegawa

そして踊りと並ぶもう一つの見どころが、東京バレエ団公演にも受け継がれるユルゲン・ローゼの衣裳と美術だろう。家と家の対立を抱えた中世イタリアの都市という設定に、ローゼがデザインしたのは優美かつ風が通り抜けるような解放感のある美術。ジュリエットの部屋やバルコニーの場を彩る樹木はみずみずしい生命力を感じさせ、広場や舞踏会、バルコニーなどほとんどの場面で使われるアーチを連ねた回廊のような装置は、雰囲気や人の動きをダイナミックに変化させる。終幕、このアーチ越しにジュリエットが地下納骨堂へと降ろされる演出は印象的だ。白、黒、朱赤などを巧みな配分で使った衣裳は、物語の時代にふさわしい華やかさと軽やかさを持ち、それぞれの役柄とダンサーの動きを引き立てる。
東京バレエ団は2010年にクランコ振付の「オネーギン」を初演。この時は経験豊かな3組の主演キャストが成熟した演技と踊りを見せ、目の肥えた観客を魅了した。2015年初演のノイマイヤー版「ロミオとジュリエット」では、振付家自身によるキャスティングや指導を経て細部まで磨かれた舞台を実現し、主役に抜擢されたダンサーたちも見事に期待に応えた。いまバレエ団は、古典で磨かれた高度な技術と演劇的バレエの経験を併せ持ち、しかもこの作品にうってつけの、勢いのあるダンサーを豊富に擁している。クランコ版を念頭に、ロミオとジュリエットを誰が踊るか、誰に踊ってほしいか、ファンの脳裏にはすでにいく通りもの予想や希望があるのではなかろうか。そして脇を固めるティボルトは、パリスは、マキューシオは...... 活気ある舞台がありありと目に浮かぶ。 今から開演が楽しみでならない。

新藤弘子 舞踊評論家

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東京バレエ団初演
クランコ振付
「ロミオとジュリエット」

公演日

2022年
4月29日(金・祝)16:00
4月30日(土)14:00
5月1日(日)14:00

会場:東京文化会館

予定される演目&配役

ジュリエット: 沖香菜子(4/29)
足立真里亜(4/30)
秋山瑛(5/1)
ロミオ: 柄本弾(4/29)
秋元康臣(4/30)
池本祥真(5/1)

指揮:ジェイムズ・タグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

入場料[税込]

S=¥13,000 A=¥11,000 B=¥9,000
C=¥7,000 D=¥5,000 E=¥3,000
U25シート=¥1,500
※ホリデイファミリーシート(S、A、B、C席)
※ペア割引あり(S、A、B席)