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Photo: ワルトラウト・マイヤー提供

2022/01/19(水)Vol.438

ワルトラウト・マイヤー
イタリアの聴衆への"さよなら"
2022/01/19(水)
2022年01月19日号
TOPニュース
オペラ

Photo: ワルトラウト・マイヤー提供

ワルトラウト・マイヤー
イタリアの聴衆への"さよなら"

1月9日、メゾ・ソプラノのワルトラウト・マイヤーはミラノ・スカラ座でのリサイタルで、イタリアの聴衆に別れを告げました。折しもこの日はマイヤーの66歳の誕生日でした。ネット上でもニュースが報じられましたし、公演直前には、イタリア紙のインタビューでマイヤーの言葉も紹介されていましたが、「本当に?」「イタリア以外は?」と、詳しく知りたくなっているファンもいるはず。NBSによる招聘の際の通訳として、また個人的な親交ももつ松田暁子さんに、スカラ座でのリサイタルを終えたばかりのマイヤーさんに話を聞いてもらいました。

「惜しまれて舞台を去りたいと、前々から考えていたの」

まず、スカラ座でのリサイタルがイタリアでの最後の舞台となることは本当である、とのこと。そして、2023年の10月初旬のベルリン国立歌劇場でダニエル・バレンボイム指揮、パトリス・シェロー演出のオペラを最後に引退するのだと。 「惜しまれて舞台を去りたいと、前々から考えていたの」という言葉からは、マイヤーらしい潔さが感じられます。

スカラ座リサイタルでのワルトラウト・マイヤー
Photo: Marco Brescia & Rudy Amisano
ステージに登場したマイヤー総裁(一番手前)
Photo: ワルトラウト・マイヤー提供

スカラ座でのリサイタルは、前半はマイヤー一人で、後半はギュンター・グロイスベックと二人で、ジョセフ・ブラインルのピアノ伴奏で行われました。マイヤーのスカラ座といえば、1991年のリッカルド・ムーティ指揮『パルジファル』、2007年のダニエル・バレンボイム指揮『トリスタンとイゾルデ』などでの名演が思い起こされます。「イタリアに別れを告げるのに、ミラノ・スカラ座に勝る劇場はありません」と、イタリア紙のインタビューでマイヤーは語っています。
演奏が終わったところで、ミラノ・スカラ座のドミニク・マイヤー総裁がステージに登場。スカラ座におけるワルトラウト・マイヤーの功績を讃えるのはもとよりですが、マイヤー総裁は2017年に彼女がウィーン国立歌劇場の名誉会員になったときにはウィーン国立歌劇場の総裁でもありました。2つの世界的なオペラハウスで活躍した、時代に名を残す歌姫マイヤーを送るのが、両劇場の総裁を務めたマイヤーというのは、めぐり合わせの妙といったところでしょうか。

ミラノ・スカラ座の公式Facebookに紹介された
ワルトラウト・マイヤーのリサイタルの模様

ワルトラウト・マイヤーは、2023年のラストステージまでの間に、世界中のファンに"さよなら"を告げることでしょう。最も近いところでは、3月にサンクトペテルブルクで若手バリトンとともにリート・コンサートを開催するとのことです。