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2022/05/18(水)Vol.446

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉に向けて
気になるあのダンサーの活躍は?
2022/05/18(水)
2022年05月18日号
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バレエ

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉に向けて
気になるあのダンサーの活躍は?

7月に東京で開催される〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉は、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルを中心に選りすぐりのダンサーを迎えます。2シーズンにわたったコロナ禍を経て、昨年秋より、通常の公演開催が可能となった英国ロイヤル・バレエ団の今シーズンから、来日ダンサーたちについて、ロンドン在住の舞踊ライター實川絢子さんに総括していただきました。気になるあのダンサーの活躍は?

英国ロイヤル・バレエ団、パンデミック以降初のフルシーズン

パンデミック以降初のフルシーズンとなった英国ロイヤル・バレエ団の2021/22シーズンは、カンパニーにとってひとつの転機となる、変化と挑戦の一年だった。

長らく延期されていたウェイン・マクレガーによる新作『ダンテ・プロジェクト』の上演が10月に漸く実現したほか、3月にはアメリカの注目振付家カイル・アブラハムによる『ザ・ウェザリング』を初演。6月には、クリストファー・ウィールドンによる新作全幕バレエ『赤い薔薇ソースの伝説』が控えており、規制緩和とともに創造性が一気に開花した感がある。

さらに、エドワード・ワトソンとフェデリコ・ボネッリの引退というひとつの時代の終わりを告げる出来事を経て、英国ロイヤル・バレエ団は今まさに新たな時代に足を踏み入れたところだ。今季はそれを象徴するかのような、お馴染みの演目のフレッシュな配役にも注目が集まった。

アレクサンダー・キャンベル(マキューシオ)
「ロミオとジュリエット」(2015)より
Photo: Alice Pennefather

シーズン開幕を飾った『ロミオとジュリエット』では、映画版でも主演したウィリアム・ブレイスウェルが主演デビューの金子扶生と共に見せてくれた瑞々しいロミオが忘れ難い。アレクサンダー・キャンベルは、ジュリエットを当たり役とするヤスミン・ナグディを相手に35歳で念願のロミオ役デビューを果たし、個性の強い役で本領を発揮する演技派の平野亮一は、ロミオ、ティボルト、パリスの3役で大活躍。〈生きた〉ジュリエットで魅了した女優バレリーナ、フランチェスカ・ヘイワードと、エネルギッシュなマキューシオ役から夢見がちなロミオ役へと華麗なる変身を見せつけたマルセリーノ・サンべは、ウィールドンの新作の主役にも抜擢されており、その情熱的な演技に期待がかかる。

(左)ヤスミン・ナグディ
「ロミオとジュリエット」(2019)より
Photo: Helen Maybanks
(右)平野 亮一(ベアトリス・スティックス=ブルネルと)
「ロミオとジュリエット」(2019)より
Photo: Helen Maybanks

(左)フランチェスカ・ヘイワード
「ロミオとジュリエット」(2019)より
Photo: Helen Maybanks
(右)マルセリーノ・サンベ
「ロミオとジュリエット」(2019)より
Photo: Helen Maybanks

『ジゼル』では、繊細なラインとうちに秘めた強さを滲ませる演技でタイトルロールを当たり役とする高田茜と、魔力で踊らされているとしか思えない、超人的な跳躍で鮮烈なアルブレヒト役デビューをしたセザール・コラレスの新鮮な組み合わせが記憶に新しい。

(左)高田 茜
「ジゼル」(2016)より
Photo: Tristram Kenton
(右)セザール・コラレス
「ジゼル」リハーサル(2021)より
Photo: Andrej Uspenski

ワトソンの引退公演となった『ダンテ・プロジェクト』では、ダンテを天国に導くベアトリーチェ役のサラ・ラムがこの世のものならぬ透明感あふれる踊りで魅了。プリンシパルが総出演する第3幕の天国界の場面は、宇宙に浮かぶ天体を思わせる抽象画のような世界が圧巻だった。

サラ・ラム&エドワード・ワトソン
『ダンテ・プロジェクト』(2021)より
Photo: Andrej Uspenski

また先日5月5日には、ウクライナ支援のための『白鳥の湖』特別公演で、ローレン・カスバートソン、サラ・ラム、マリアネラ・ヌニェス、ナターリャ・オシポワという4大プリンシパルがオデット/オディール役を競演。その他の役も複数のダンサーが入れ替わりで演じるという珍しい試みが行われた。第4幕でオシポワの相手役を務めたリース・クラークは最近活躍著しいダンサーの1人で、長身を活かしたしなやかなラインが美しく、ボネッリの系譜を次ぐ正統派ダンスノーブルとして期待されている。

ベテランは新境地を開拓してその芸術に磨きをかけ、次世代ダンサーたちは着々と新たな役に挑戦して経験を積み、伝統を未来に向けて紡いでいく。新時代に向かうロイヤル・バレエ団から、今ますます目が離せない。

實川 絢子(在ロンドン、舞踊ライター)

公式サイトへ チケット購入

ロイヤル・バレエ・ガラ

公演日

2022年
【Aプロ】
7/13(水) 18:30
7/14(木) 18:30
7/16(土) 13:30

【Bプロ】
7/17(日) 13:30
7/17(日) 18:00
7/18(月・祝)14:00

会場:Bunkamuraオーチャードホール(渋谷)

予定される出演者

エドワード・ワトソン
アレクサンダー・キャンベル
セザール・コラレス
フランチェスカ・ヘイワード
平野 亮一
サラ・ラム
ヤスミン・ナグディ
マリアネラ・ヌニェス
マルセリーノ・サンベ
高田 茜
ウィリアム・ブレイスウェル
リース・クラーク
佐々木 万璃子
※表記の出演者は6月29日現在の予定です。

入場料[税込]

S=¥19,000 A=¥17,000 B=¥15,000
C=¥13,000 D=¥11,000
U25シート=¥4,000
*2演目セット券[S,A席]
*ペア割引あり[S,A席]
*親子割引あり[S,A席]