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2022/07/20(水)Vol.450

〈旬の名歌手シリーズ〉華麗なるオペラ・デュオ・コンサート
ルカ・サルシ メール・インタビュー
2022/07/20(水)
2022年07月20日号
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〈旬の名歌手シリーズ〉華麗なるオペラ・デュオ・コンサート
ルカ・サルシ メール・インタビュー

〈旬の名歌手シリーズ〉第3弾でリセット・オロペサとともに「華麗なるオペラ・デュオ・コンサート」に登場するルカ・サルシが、メール・インタビューに応えてくれました。優れたヴェルディ歌手として見つめるヴェルディ作品の魅力は説得力あるものです。

「ヴェルディのオペラの登場人物たちはリアルで、現代にも通じており、今の私たち自身の中にも自覚できます。音楽に裏打ちされたすべてのものが、聴く者の魂を震わせるのです」

――東京公演での2つのプログラムについてお聞かせください。リセット・オロペサさんとはどんな話し合いをされましたか?

サルシ:この素晴らしいコンサートのために東京に戻れることをとても楽しみにしています。リセットとマエストロ・ランツィロッタと話し合い、今回のプログラムはできるだけ統一感をもたせ、そして2人の声質に合ったものにしようと考えました。リセットとは、レパートリーを同じくするオペラがたくさんありますので、デュエットを選ぶのも難しくありませんでした。最もクラシックなものから、最も人気のある作品まで、皆さんにきっと喜んでいただける美しいプログラムになっていると思います。

――プログラムの半分はヴェルディ作品ですね。ヴェルディのスペシャリストであるサルシさんにとって、ヴェルディ、そしてヴェルディのオペラとはどのようなものですか? ヴェルディを歌うのと、ほかのイタリア・オペラを歌うのとでは何か違いはありますか?

サルシ:ヴェルディは間違いなく私が最も愛し、25年のキャリアの中で最も多く歌ってきた作曲家です。私にとりヴェルディは最も偉大で、なにより、歌手の芸術的資質のすべてを引き出してくれる作曲家です。レガート、台詞、アクセント、そして何より、シモン・ボッカネグラやマクベス、ファルスタッフ、ヤーゴといった多くの、見事なキャラクターたちの深い掘り下げは比類ないものです。ヴェルディと、彼の前後の他の作曲家たちとの大きな違いは、純粋な演劇にまで昇華された音楽の真理にあると私は思っています。ヴェルディのオペラの登場人物たちはリアルで、現代にも通じており、今の私たち自身の中にも自覚できますし、生きていますよね。音楽に裏打ちされたすべてのものが、聴く者の魂を震わせるのです。

――役を選ぶうえで大事なことは何ですか?

サルシ:初役に臨む際は、役の演劇的側面と声質の特徴がとても大事です。私は、心理的に深められた役が好きです。そうした役を解釈し、自分の声と性格を役にあわせて変容させるのが好きです。

――今後、歌ってみたい役はありますか?

サルシ:プッチーニの『外套』のミケーレはぜひやってみたいですね。アルベルト・フランケッティ作曲の『クリストフォロ・コロンボ』のクリストフォロ・コロンボ役も魅力的です。他にもたくさん、歌ってみたい役はありますが、一番の夢は、何といってもいつの日か、ヴェルディ・オペラ全27作品を歌いたい、ということです。

――どのようなお子さんでしたか? ご家庭は音楽的な環境だったのでしょうか? ご自身の音楽への思いや、プロになりたいと思われたのはいつごろだったのでしょうか?

サルシ:私のうちは、音楽一家ではありませんでした。父は会計士、母はずっと三人の子供の母親であり、いまだにそうあり続けていますから!! 両親に感謝しなければなりません。というのも私が6歳のころにピアノの個人レッスンに送り出してくれて、そこから私の音楽への道が始まったのです。16歳で故郷パルマの合唱団に入ると、荘厳で、天使のような歌たちと恋に落ちました、モンテヴェルディからパレストリーナ......その後、アッリゴ・ボーイト音楽院でソプラノのルチェッタ・ビッツィ先生のもと声楽を学び、1997年に22歳で、ボローニャ歌劇場でのロッシーニ作曲『絹のはしご』でデビューしました。しかし人生の最大の転機は、2002年にカルロ・メリチアーニ先生に出会えたことでしょう。私が今日、自分の声についてやっていることのすべては、メリチアーニ先生のおかげです。残念ながら今年93歳で亡くなられましたが、先生のことはこれからもずっと忘れませんし、私の心にあり続けてくれるでしょう。

――プライベートでは何をするのがお好きですか?

サルシ:自由な時間は少ないですが、趣味に捧げます。テニスにね! ロジャー・フェデラーの大ファンなんです。それにゴルフも始めました!! ゴルフにはとても夢中になれます、歌の勉強にたいへん似ていると思いますよ。

ルカ・サルシがタイトル・ロールを演じた
2014年ローマ歌劇場日本公演『ナブッコ』
Photo: Kiyonori Hasegawa

――2014年のローマ歌劇場日本公演での『ナブッコ』へのご出演以来、日本のファンたちがサルシさんを待ちわびてきました。9月の東京公演いついてひとことお願いします。

サルシ:東京、そして日本にまた行けることはとても嬉しく、ワクワクしています。日本、そして日本の習慣や伝統が大好きです。また東京ほどオペラに熱狂的な街はなく、マエストロ・ムーティのもとで演じた『ナブッコ』では、お客さまの心からの情熱を感じました。熱烈な拍手に加え、劇場の外でサインを求めて並んでくださるお客さまの長い列は忘れられません。聴いて、観てくださった舞台に、喜び、感激してくださる皆さんを実際に目にすることは、かけがえのないものでした。再びこうした雰囲気を味わえればと思っていますし、コンサートに来て下さる皆さんがハッピーになれるよう、私もベストを尽くしますよ!! 万歳ヴェルディ、万歳日本!

2014年ローマ歌劇場日本公演千秋楽カーテンコール
Photo: Kiyonori Hasegawa

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〈オペラ・フェスティバル〉特別企画
旬の名歌手シリーズ2022-III
リセット・オロペサ&ルカ・サルシ
華麗なるオペラ・デュオ・コンサート

公演日

2022年
9月23日(金・祝) 15:00
9月25日(日) 15:00

会場:東京文化会館(上野)

入場料[税込]

S=¥19,000 A=¥17,000 B=¥15,000
C=¥13,000 D=¥10,000
U25シート=¥3,500
*ペア割引あり[S,A,B席]

予定される曲目

9月23日

ヴェルディ: 歌劇『シチリア島の夕べの祈り』
 ありがとう、愛する友よ [オロペサ]
ヴェルディ: 歌劇『リゴレット』
 悪魔め、鬼め [サルシ]
 リゴレットとジルダの二重唱“いつも日曜日に教会で” [オロペサ&サルシ]
ヴェルディ: 歌劇『椿姫』
 ああ、そはかの人か〜花から花へ [オロペサ]
 プロヴァンスの海と陸 [サルシ]
ドニゼッティ: 歌劇『ランメルモールのルチア』
 ルチア 狂乱の場 [オロペサ]
ヴェルディ: 歌劇『ドン・カルロ』
 ロドリーゴの死“終わりの日がきた” [サルシ]
ドニゼッティ: 歌劇『愛の妙薬』
 アディーナとドゥルカマーラの二重唱“何という愛情〜やさしい流し目” [オロペサ&サルシ]

9月25日

ヴェルディ: 歌劇『マクベス』
 慈悲、敬愛、愛 [サルシ]
ヴェルディ: 歌劇『椿姫』
 ああ、そはかの人か〜花から花へ [オロペサ]
ヴェルディ: 歌劇『仮面舞踏会』
 お前こそ心を汚す者 [サルシ]
ヴェルディ: 歌劇『椿姫』
 ヴィオレッタとジェルモンの二重唱“ヴァレリー嬢ですか〜お伝えください、清らかなお嬢さんに”[オロペサ&サルシ]
ドニゼッティ: 歌劇『ランメルモールのルチア』
 ルチアとエンリーコの二重唱“ルチア、こちらに来なさい〜私は涙にくれ” [オロペサ&サルシ]
ジョルダーノ: 歌劇『アンドレア・シェニエ』
 国を裏切る者 [サルシ]
ベッリーニ: 歌劇『清教徒』
 エルヴィーラの狂乱の場“あの方の優しい声が” [オロペサ]
ヴェルディ: 歌劇『リゴレット』
 悪魔め、鬼め [サルシ]
ロッシーニ: 歌劇『セビリアの理髪師』
 ロジーナとフィガロの二重唱“まあ、それじゃ私じゃないの” [オロペサ&サルシ]

(順不同)ほかオーケストラ曲

指揮:フランチェスコ・ランツィロッタ
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団