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フランチェスカ・ヘイワード <br>Photo: NBS

2023/01/04(水)Vol.461

英国ロイヤル・バレエ団2023年日本公演
フランチェスカ・ヘイワード インタビュー
2023/01/04(水)
2023年01月04日号
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バレエ

フランチェスカ・ヘイワード
Photo: NBS

英国ロイヤル・バレエ団2023年日本公演
フランチェスカ・ヘイワード インタビュー

英国ロイヤル・バレエ団日本公演を前に、主演プリンシパルのインタビューをお届けします。まずトップバッターは演技派として知られるフランチェスカ・ヘイワード。マクミラン振付の『ロミオとジュリエット』ジュリエット役は彼女の持ち味が存分に発揮されます。どのように役に取り組んでいるのか、フリーライターの小田島久恵さんのインタビューに応えてくれました。

「マクミランはバレリーナとして踊るのではなく、つねに本当の人になってほしいと思って振付をしたと思います」

――フランチェスカさんはウィリアム・トレヴィット監督の映画『ロミオとジュリエット』でもジュリエット役を演じられています。撮影の経験は舞台に生かされましたか?

ヘイワード:ふだんの舞台にも立派なセットがあるわけですが、映画は場面ごとにセットが変わって、庭であったりボールルームだったり、それから墓場であったりと、背景がとても具体的です。舞台ではそういうものを想像しながら、脳の中で「これはベッドネーム」「これはバルコニー」と言い聞かせて踊るので、その違いがとても刺激的でしたね。監督からは、編集で声は消えるので、声を出してもいいよと指導されました。キャピュレット夫人もティボルトが死んだときに大声で泣いていました。舞台に戻って撮影での声が蘇り、感情面で色々なことを気づかされたと思います。

『ロミオとジュリエット』フランチェスカ・ヘイワード&セザール・コラレス(2022年〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉より)
Photo: Kiyonori Hasegawa

――とてもエモーショナルな経験だったのですね。

ヘイワード:ラストシーンを撮り終えた後、ホテルに深夜の2時頃戻ったのですが、その夜は変な気分でしたね。墓場のシーンは暗くて冷たくて、本当にロミオと二人きりでいたような時間でしたし、あまりにもリアルでした。なかなか眠れなかったし、朝になっても一度死んだような感覚が抜けませんでした。

――ステージではこれまで何人ものロミオと踊られてきたと思います。

ヘイワード:ロールデビューのときは、マシュー・ゴールディングがロミオでした。背が高くて力強くて、そうした意味では支えられましたね。セザール・コラレスは私のボーイフレンドなので、彼とは本物の恋人役として演じます。マルセリーノ・サンベやスティーヴン・マックレーとも踊りましたが、それぞれのロミオによってジュリエットの役作りも自然に変わってくるんです。誰と踊るのも楽しいですね。恋人役を踊るときは、相手に本当に恋するような、光る部分を見つけなければならないんです。それが出来ないときもあるんですけど。目を見つめたとき、感じるものがあれば......情熱的なロミオもいれば、落ち着いたロミオもいるし、シリアスなロミオもいます。

『ロミオとジュリエット』 フランチェスカ・ヘイワード&セザール・コラレス(2019年英国ロイヤル・バレエ団公演より)
Photo: 2019 ROH. Helen Maybanks

――バルコニーのシーンは技術的にも演劇的にも大変なハイライトだと思います。ダンサーはどのような準備をするのですか?

ヘイワード:バレエの中でもアイコニックなシーンで、相手役によって私のジュリエットも変わってきます。 全幕のことを考えるとそれほど難しい技術が詰まったバレエではないんですが、バルコニーのシーンではロミオが大変なのです。パ・ド・ドゥの前にソロで回転やピルエットを見せますから、疲れ果ててしまって、あるダンサーは「君を見つけるまでに僕はたくさん回転をしなければならないから、君が二重に見えて二人のうちどちらをつかんだらいいのかわからなくなる」と言っていました。他のバレエだと、女性ダンサーのほうで男性ダンサーがリフトしやすいように工夫できたりするのですが、マクミランの振付にはそうした余裕がなく、本当に男性ダンサー次第という感じです。

――特にお気に入りのシーンはありますか?

ヘイワード:第3幕でジュリエットが急に独りになってしまう場面が好きですね。家族が去ってしまったり、薬を飲んだりする場面です。たくさん人がいた後の一人の演技は、踊り甲斐があります。

――フランチェスカさんはマクミランが亡くなった年に生まれているのですね。

ヘイワード:1992年生まれなので、そうですね。マクミランは天才だと思います。インテリジェンスがあるし、ダンサーが自分を自由に解き放つことを教えてくれる。ステップが巧妙に考えられていて、ストーリーテリングもうまいのです。他の振付家の『ロミオとジュリエット』も素晴らしいですが、つい「マクミランだったらこうするのにな」と思うことがあります。私は『マノン』を先に踊っているので、その後の役は楽に踊れたんです。『ロミオ...』では若い女性の心に戻していくことが大変かも知れません。マクミランはバレリーナとして踊るのではなく、つねに本当の人になってほしいと思って振付をしたと思います。

英国ロイヤル・バレエ団2023年日本公演公式サイト
https://www.nbs.or.jp/stages/2023/royalballet/

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英国ロイヤル・バレエ団2023年日本公演

公演日 [東京公演]

〈ロイヤル・セレブレーション〉
2023年
6月24日(土)13:00
6月24日(土)18:00
6月25日(日)13:00

【上演予定作品】
「ジュエルズ」より"ダイヤモンド" [全編](ジョージ・バランシン振付)
「田園の出来事」(フレデリック・アシュトン振付)
「FOR FOUR」(クリストファー・ウィールドン振付)
「プリマ」(新作)(ヴァレンティノ・ズケッティ振付)

ケネス・マクミラン振付「ロミオとジュリエット」
【公演日時と予定される主な配役】
2023年
6月28日(水)18:30
 ジュリエット:サラ・ラム
 ロミオ:スティーヴン・マックレー
6月29日(木)13:30
 ジュリエット:ヤスミン・ナグディ
 ロミオ:マシュー・ボール
6月29日(木)18:30
 ジュリエット:フランチェスカ・ヘイワード
 ロミオ:セザール・コラレス
6月30日(金)18:30
 ジュリエット:ナターリヤ・オシポワ
 ロミオ:リース・クラーク
7月1日(土)13:00
 ジュリエット:アナ・ローズ・オサリヴァン
 ロミオ:マルセリーノ・サンベ
7月1日(土)18:00
 ジュリエット:マリアネラ・ヌニェス
 ロミオ:ウィリアム・ブレイスウェル
7月2日(日)13:00
 ジュリエット:高田 茜
 ロミオ:平野 亮一

会場:東京文化会館(上野)

入場料 [東京公演](税込)

S=¥26,000 A=¥23,000 B=¥20,000
C=¥16,000 D=¥12,000 E=¥9,000
U25シート=¥5,000
*2演目セット券[S,A,B席]あり
*ペア割引[S,A,B席]あり
*親子割引[S,A,B席]あり

[大阪公演]

「ロミオとジュリエット」
7月5日(水)18:30 
 ジュリエット:金子扶生
 ロミオ:ワディム・ムンタギロフ

会場:フェスティバルホール

[姫路公演]

〈ロイヤル・バレエ・ガラ〉
7月8日(土) 14:00

会場:アクリエひめじ 大ホール