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菅井円加 <br>Photo:  Kiran West

2023/02/01(水)Vol.463

ハンブルク・バレエ団日本公演
菅井円加インタビュー
2023/02/01(水)
2023年02月01日号
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インタビュー
バレエ

菅井円加
Photo: Kiran West

ハンブルク・バレエ団日本公演
菅井円加インタビュー

ハンブルク・バレエ団5年ぶりの日本公演まであと1カ月余り。今回、日本では初の全編上演が実現するジョン・ノイマイヤー芸術監督による傑作『シルヴィア』に主演するのが、プリンシパルの菅井円加さんです。カンパニーの日本公演での待望の初主演を前に、作品の魅力、来年に芸術監督を退任するジョン・ノイマイヤーへの思いを聞きました。

負けず嫌いで男勝りのシルヴィアは、まるで私自身のよう。多くの方に共感していただけると思う。

――5年ぶりの日本公演を前に、いま、どんなお気持ちでいらっしゃいますか。

菅井 円加:もう、楽しみで仕方がないです! 2年前にコロナ禍で中止になった日本ツアーがやっと実現します。しかも、私自身にとってもすごく豪華なプログラムなので、本当に楽しみにしているんです。

――その一つが『シルヴィア』ですね。ヒロインのシルヴィア役を初めて踊られたのはいつのことでしたか。

菅井:一昨年の秋でした。シルヴィアという役は、実は、私自身かなりスムーズに取り組むことができた役なんです。というのも、私が思うシルヴィアという女性の性格は、私自身と共通点がとても多く──そう、負けず嫌いのところとか、男勝りであまり女らしくないところとか(笑)。特に第1部については、自分のままで臨むことができました。

――狩の女神ディアナに仕えるニンフで、弓の名手として活躍する勇ましい姿が印象的です。

菅井:アミンタとの出会いによってシルヴィアは大きく変化していきます。シルヴィアはアミンタと恋に落ちるけれど、その「恋に落ちる」ということの意味がわからない! 自分の感情をどう受け止めていいのかもわからないんです。また、シルヴィアをガイドし、いろんな世界を見せていくアムール(のちにティルシス、オリオンとなる)とも出会う。二人の人物との出会いは次第にシルヴィアに変化をもたらし、彼女はその繊細な部分を徐々に、徐々に見せていき、第2部では舞台装置も衣裳もヘアスタイルも全てがらりと変わった姿で現れます。シルヴィアには自分の変化に対する違和感もあるし、一方でその変化を求めている自分もいる──。そうやって少しずつ大人になっていくシルヴィアを演じることには、難しさを感じますし、毎回が挑戦です。でもまさにそこが、このバレエの見どころであり、魅力だと思っています。

「シルヴィア」より
Photo: Kiran West

――終盤には、たびたび抜粋で上演されるシルヴィアとアミンタのパ・ド・ドゥが登場しますね。

菅井:大好きなパ・ド・ドゥです。そこに至るまでの物語の中で作り上げてきた感情があるので、何も考えずに踊ることができます。ドリーブの美しい音楽も導いてくれます。お互いにいろいろなことを経験してきた二人が偶然に再会し、でも何から始めていいのかわからなくてもどかしく、複雑な、いろんな感情が一気に押し寄せる。本当に人間味あふれるパ・ド・ドゥなので、多くの方に共感していただけると思います。神話をベースとした物語ですが、この作品に限らず、ジョンのバレエは皆、現代感覚にあふれていて、身構えることなく観ることができます。

ジョン(ノイマイヤー)と一緒に仕事をできるのは貴重な体験。一日一日を大切に過ごしたい。

――〈ジョン・ノイマイヤーの世界〉にも出演されますが、このプログラムの魅力についてはいかがですか。

菅井:ジョンの代表作から厳選された名場面が次々とあらわれて、その繋がり方も見どころといえます。いつもジョン本人も舞台上に立つので、ジョン・ノイマイヤーとハンブルク・バレエ団の世界を存分に楽しんでいただけるはずです。実際、〈ジョン・ノイマイヤーの世界〉をご覧になって、「この作品を全幕で観たい」とあらためて公演に来てくださる方も増えています。日本のお客さまにも、このプログラムをきっかけにハンブルクに来ていただけたらな、って思っています!

「シルヴィア」より
Photo: Kiran West

――ノイマイヤーからはたくさんのものを受け取られたかと思います。

菅井:たくさんありますが、最も自信をもって言えるのは感情表現、ですね。ジョン自身、それは彼の作品を観てもよくわかりますが、本当に感情豊かで人間味あふれる人です。私はハンブルクに来て、自分をどう表現するかを学びました。私たちダンサーは、同じ役を繰り返し踊りますが、だんだん新鮮さがなくなってしまうのが私は残念だなと思っていて、私なりに、今日は少し違うスパイスを効かせてやってみよう、と取り組むことがあります。そんな時、ジョンに「今日は何か違う感じがして良かったよ」と言われることがあります。報われたな、今まで踊ってきて良かったなと感じる時ですね。

――2022/23年のシーズンは、ノイマイヤーの芸術監督就任50周年の特別なシーズンと聞いています。

菅井:ジョンのこの素晴らしい功績を記念して、今シーズンのプログラムはジョンの20もの作品で完全に埋め尽くされています。リハーサルが追いつかないくらい(笑)! 私たちは去年の10月末まで、彼が今シーズンで退任するものと思っていたのですが、幸運なことに、延長されることになりました。ジョンと一緒に仕事ができるなんて本当に貴重な体験ですし、1日1日を大切に過ごしていきたいなって思っています。

インタビュー・文 加藤智子(フリーライター)

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ハンブルク・バレエ団2023年日本公演
〈ジョン・ノイマイヤーの世界 Edition2023〉
「シルヴィア」

公演日

〈ジョン・ノイマイヤーの世界 Edition2023〉
2023年
3月2日(木)19:00
3月3日(金)19:00
3月4日(土)14:00
3月5日(日)14:00

会場:東京文化会館
*音楽は特別録音による音源を使用

「シルヴィア」
2023年
3月10日(木)19:00
3月11日(金)13:30
3月11日(土)18:00
3月12日(日)14:00

会場:東京文化会館
・指揮:マルクス・レティネン
・演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
*配役については公式サイトをご覧ください。

入場料[税込]

S=¥24,000 A=¥21,000 B=¥19,000
C=¥15,000 D=¥11,000 E=¥8,000
U25シート=¥4,000
*2演目セット券[S,A,B席]あり
*ペア割引[S,A,B席]あり
*親子割引[S,A,B席]あり