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photo: Mary Brown

2023/04/05(水)Vol.467

オペラ座ガラ ─ヌレエフに捧ぐ─
‟ヌレエフの子供"が率いる、まるでパリ・オペラ座プチ・カンパニー公演
2023/04/05(水)
2023年04月05日号
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バレエ

photo: Mary Brown

オペラ座ガラ ─ヌレエフに捧ぐ─
‟ヌレエフの子供"が率いる、まるでパリ・オペラ座プチ・カンパニー公演

桜の開花の華やかさにふさわしく、7月の〈オペラ座ガラ〉、2024年2月の日本公演と、日本のバレエ・ファンにはパリ・オペラ座バレエ団に関する嬉しいニュースが続いています。今回は、まず7月開催の〈オペラ座ガラ〉について、パリ在住の大村真理子さんにその魅力、見どころをご紹介いただきます。

パリ・オペラ座の今を背負うダンサーたちの登場に
新・黄金時代到来の予感!

バレエの公演が世界のどの国よりも多彩に開催される日本にあって、〈オペラ座ガラーヌレエフに捧ぐー〉は待ってました! と思わず膝をたたきなる素晴らしい企画である。パリ・オペラ座のレパートリーを豊かにし、バレエ団の歴史に名を残す素晴らしいダンサーを育てたルドルフ・ヌレエフが亡くなって今年で30年が経つ。それを記念して、7月26日から30日まで東京で開催されるこの公演のアーティスティック・ディレクションを務めるのは、ヌレエフがオペラ座バレエ団の芸術監督だった時代に活躍したエトワール(1978~1992年)のフロランス・クレールだ。

往年のバレエファンには懐かしい名前だろう。彼女はシルヴィ・ギエム、ノエラ・ポントワ、エリザベット・プラテル、マニュエル・ルグリ、ローラン・イレールたちと同様、''ヌレエフの子供たち''と呼ばれるダンサーの一人で、ヌレエフとも数多くの舞台を共にしている。オペラ座の黄金時代と形容されるヌレエフ時代に活躍し、彼の薫陶を受けた彼女はパリ・オペラ座や海外のカンパニーでヌレエフ作品が踊られるときにはリハーサルコーチに招かれる存在である。

彼女がダンサーを選び、演目を選んだ日本でのこの公演に参加するのはパリ・オペラ座のダンサー14名。日頃から彼女と師弟関係にあるダンサーたちだという。彼女が自身の身体と精神に染み込んでいるヌレエフの教えを継承したいと願うダンサーであり、その彼女に教えを請いたいと願うダンサーたち。仕事への情熱を共有するダンサーたちなので横のつながりも強い。そう、これは彼女が率いるミニ・カンパニーの来日公演のようなプロジェクトなのだ。

その顔ぶれがとにかく素晴らしい。マチアス・エイマン、ジェルマン・ルーヴェ、ポール・マルク、パク・セウンに加え、3月2日に任命されたばかりの最新エトワールであるオニール八菜とマルク・モローという魅力溢れるエトワールが6名。今年プルミエ・ダンスールに昇格したブルーエン・バティストーニとアントワーヌ・キルシェールというフレッシュな二人、そしてスジェからは中堅どころの男女それぞれ3名が加わり、合計14名が踊るステージとなる。オペラ座内での位置は異なれど、クラシック・バレエの素晴らしいテクニックを持ち、ステージ上でスター性を発揮する若いダンサーばかりだ。ジョゼ・マルティネス芸術監督が率いるパリ・オペラ座の今を背負う彼らのステージに、新・黄金時代の到来を感じることができるかもしれない。

オニール八菜&マチアス・エイマン
photo: Kiyonori Hasegawa

プログラムを見てみよう。パリ・オペラ座のためにヌレエフが振付けた作品と彼自身が踊った作品で主に構成されているのだが、パ・ド・ドゥがメインの従来のガラと大きく異なっている。

Aプロの開幕作品は『眠れる森の美女』第1幕"花のワルツ"。エトワール2名を含む合計10名がステージを繰り広げる。Bプロは主役のカップルと6名のダンサーという構成の『ゼンツァーノの花祭り』で開幕。この中のパ・ド・ドゥがガラではよく踊られるが、今回は作品全編を見られるらしい。明るく華やかにスタートする両プログラムは、『ライモンダ』第3幕のグラン・パ・ド・ドゥで10名のダンサーが豪華絢爛に締めくくる。『ライモンダ』は1983年にヌレエフが4名のエトワールを配役して振付けた作品で、主役ライモンダに彼が選んだのはフロランス・クレールだった。その創作ダンサー直々による指導の下、A プロはパク・セウンがポール・マルクと組み、Bプロはオニール八菜がジェルマン・ルーヴェと踊るとなれば、どちらも見逃したくはないのでは?

ジェルマン・ルーヴェ
photo: Kiyonori Hasegawa

また両方のプログラムにヌレエフのレパートリーから選ばれた『薔薇の精』が入っているのだが、それぞれ実に心憎い配役の薔薇の精なのだ。Aプロがマチアス・エイマン、Bプロがマルク・モロー。ニジンスキーの当たり役であるこの作品をニジンスキーの再来との誉れ高いマチアスで見るか、オペラ・ガルニエでの公演〈パトリック・デュポンへのオマージュ〉のトリプルビルでジョン・ノイマイヤーがニジンスキーの人生にインスパイアーされて創作した『ヴァスラフ 』でニジンスキー役に抜擢されて好評を博したマルクで見るか......。

ポール・マルク
photo: Kiyonori Hasegawa

〈オペラ座ガラーヌレエフに捧ぐー〉のプログラムのほんの一部の紹介にすぎないけれど、これだけで見どころがぎっしりと盛り込まれた2つの魅力的なプログラムであると察することができるだろう。この夏、ダンス界に話題を残す公演となりそうだ。

取材・文 大村真理子 パリ在住、エディター

公式サイトへ チケット購入

ルドルフ・ヌレエフ 没後30年記念
〈オペラ座ガラ〉―ヌレエフに捧ぐ―

公演日

【Aプロ】
7月26日(水)19:00
7月27日(木)19:00

【Bプロ】
7月29日(土)13:30
7月29日(土)18:00
7月30日(日)14:00

会場:東京文化会館(上野)

入場料[税込]

S=¥18,000 A=¥16,000 B=¥14,000
C=¥10,000 D=¥7,000 E=¥5,000
U25シート=¥3,000
*2演目セット券[S,A,B席]あり
*ペア割引あり[S,A,B席]
*親子割引[S,A,B席]あり

NBS WEBチケット先行発売 4/12(水)18:00まで
★先行特典
先行発売期間中のチケット購入者は、2024年パリオペラ座バレエ団日本公演のチケットを優先的にご購入いただけます。

一般発売 4/14(金)10:00より