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Photo: Yuji Namba

2023/05/03(水)Vol.469

〈オペラ座ガラ〉でエトワール凱旋!
オニール八菜インタビュー
2023/05/03(水)
2023年05月03日号
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バレエ

Photo: Yuji Namba

〈オペラ座ガラ〉でエトワール凱旋!
オニール八菜インタビュー

オニール八菜のパリ・オペラ座バレエ団エトワール任命は、日本でもビッグ・ニュースとして伝えられました。夏の〈オペラ座ガラーヌレエフに捧ぐー〉での"凱旋"を心待ちにしているファンも多いことでしょう。この公演を率いるフロランス・クレールとの信頼関係、エトワールとなったいまの心情などを、パリ在住の大村真理子さんのインタビューでご紹介します。

「このガラに参加するダンサーにとって一番大切なのは、これが楽しいグループ公演であることなんです」

3月2日にオペラ・ガルニエにおいて公演〈ジョージ・バランシン〉で『バレエ・インペリアル』を踊ってエトワールに任命されたオニール八菜。7月の〈オペラ座ガラ─ヌレエフに捧ぐ─〉は、長年の夢を叶えた彼女のエトワールとしての日本での初舞台となる。「このガラに参加するダンサーにとって一番大切なのは、これが楽しいグループ公演であることなんです。フロランスは"ヌレエフ&フレンズ"で踊りながら世界を回って、どれだけ楽しかったのかをよく私たちに話してくれていて、それにプログラムも普通のガラとは違っていて......。彼女の話を聞くたびに、私たちも同じように出来たらいいね!って、仲間のダンサーたちと語り合っていました。それがこの夏に実現することになったんです」

Photo: Yuji Namba

100パーセント信頼を置いているというフロランス・クレールに八菜が出会ったのは、ブリジット・ルフェーブル芸術監督時代に彼女がクラスレッスンの教師だったときだ。その後、八菜が『ラ・バヤデール』でガムザッティ役を踊ったときにドロテ・ジルベール、マチアス・エイマンの3名のコーチをフロランスが務め、それ以来、オペラ座で踊る作品のほぼすべてについて、オペラ座のスケジュールの合間を縫って週末返上も厭わず彼女はフロランスの指導を受けている。「突然『ドン・キホーテ』でキトリを踊ることになったときも、代役として劇場で待機する時間を利用してFace Timeでコーチしてもらいました。テクニックだけではなく表現の面も含めて、彼女は見てくれます。最初は足を置く位置からでしたが、今では長いこと一緒にやっているのでひと言で彼女のいわんとしていることがわかるように......。彼女はいつも良い雰囲気をスタジオに作ってくれるので、どんなに疲れていてもインスピレーションが得られて、踊ることがより好きになります」

第16回世界バレエフェスティバルより(2021年)
Photo: Kiyonori Hasegawa

ガラに参加するダンサーたちに、フロランスはルドルフ・ヌレエフから自分が直に学んだことを伝える。〈オペラ座ガラ─ヌレエフに捧ぐ─〉でその成果を観客は堪能することになるのだ。八菜が踊るヌレエフ作品は『白鳥の湖』と『ライモンダ』。前者のパートナーは、彼女と同日にエトワールに任命されたマルク・モローだ。
「ヌレエフ版で独特なロットバルトも含めたパ・ド・トロワです。語ることがあり、テクニック面だけでなく演劇的な面もお見せできます。見る方たちにもきっと楽しんでもらえることでしょう」

『ライモンダ』で組むジェルマン・ルーヴェとは、バランシンの『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』も踊る。これは二人の希望によるそうで、
「踊りたいね、って何年も前から二人で話していました。作品そのものが憧れなんです。でもオペラ座では機会がなかったので、今回が二人とも初めて。技術的にはハードかもしれないけれど、これも来日前にみっちりとフロランスにコーチしてもらいます」

今年30歳になった彼女。18歳から42歳までのオペラ座でのキャリアの後半を、エトワールとして踊ることになる。任命の翌晩の公演ではパ・ド・ドゥの相手役マチュー・ガニオが彼女のエトワールとしての初舞台が良いものであるよう気遣ってくれた、と笑顔を見せ、こう語った。
「ほっとしたというか、自由を感じたというか、余裕を持って踊れました。今後エトワールとして責任をもって仕事をしてゆきますが、その責任が重いとかプレッシャーを感じるということはないですね。7年間プルミエール・ダンスーズとして踊る中で大変なことを乗り越え、エトワールとしてふさわしい踊りを目指して日々鍛錬し、いつ任命されてもおかしくないという自信を作り上げてきたからでしょうか。今のところ夢が叶ったという実感はまだなくって......。今後、配役表に代役ではなく最初から自分の名前をみいだせるのが一番の楽しみです」

Photo: Yuji Namba

頼もしく、清々しい新エトワールの誕生だ。オペラ座のシーズン閉幕作品であるカロリン・カールソンの『シーニュ』を初役で踊ることが決まっている。7月14日の公演はオペラ座の新プラットフォームPOPでライヴ配信されるので、彼女の舞台は海外からも注目されるだろう。そして来日。
「エトワールとなって初めて参加する夏の国際的なガラが日本で開催される、そしてこれまで応援してくれた人々がそれを見にきてくださる......うれしいですね!」

取材・文 大村真理子 パリ在住、エディター

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ルドルフ・ヌレエフ 没後30年記念
〈オペラ座ガラーヌレエフに捧ぐー〉

公演日

【Aプロ】
7月26日(水)19:00
7月27日(木)19:00

【Bプロ】
7月29日(土)13:30
7月29日(土)18:00
7月30日(日)14:00

会場:東京文化会館(上野)

入場料[税込]

S=¥18,000 A=¥16,000 B=¥14,000
C=¥10,000 D=¥7,000 E=¥5,000
U25シート=¥3,000
*2演目セット券[S,A,B席]あり
*ペア割引あり[S,A,B席]
*親子割引[S,A,B席]あり