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Photo: Mary Brown

2023/07/05(水)Vol.473

〈オペラ座ガラ〉マルク・モローインタビュー 
エトワール任命後、初来日! 
2023/07/05(水)
2023年07月05日号
バレエ
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Photo: Mary Brown

〈オペラ座ガラ〉マルク・モローインタビュー 
エトワール任命後、初来日! 

〈オペラ座ガラ〉日本公演開催が目前に迫りました。今回がエトワールとしての初来日となるマルク・モローが、エトワールとしてあらためて思うこと、またこの公演の指導の担うフロランス・クレールのもと踊る喜びなどを語ってくれたインタビューをご紹介!

「ヌレエフと親しく、彼とも踊ったことがあるコーチと一緒に仕事ができるなんて! これは夢だ、って思いましたね」

3月2日に公演〈ジョージ・バランシン〉で『バレエ・インペリアル』を踊り、マルク・モローはオニール八菜と同時にエトワールに任命された。2009年4月16日、『オネーギン』でのイザベラ・シアラヴォラとマチアス・エイマン以来の久々のダブル任命である。その珍しさに加え、これはバランシンの作品が2つ踊られる公演の1つめを踊り終えた幕間前での任命だったので、この晩2作品に配役されていたマルクはプルミエ・ダンスールとして始めた公演をエトワールとして踊り終えるという、オペラ座の歴史上初のケースとなった。
「任命の瞬間を共に体験した八菜とは、引退後たとえ遠く離れた場所に暮らすことになっても特別な絆で結びついているでしょうね。この日は2作品踊る唯一の晩だったので、母が観に来ていたんです。だから任命の瞬間、何よりもまず彼女のことを思いました。ダンスのために僕は小さな時に家から離れたので、悲しい思いをさせてしまって......。任命は彼女が払った犠牲へのご褒美ともいえるんです。この晩は眠れませんでした」

エトワールというタイトルを得て踊りがすぐに変わるわけはないけれど、人生、良いニュースがあれば喜びで心が弾み、また心の平静も得られ、そんなことからディテールにしがみつくことがなく自由が感じられる。こう語る彼。その晩エトワールとして初めて踊ることになった『フー・ケアーズ?』に言えることだ。
「エトワールとして初めての舞台というだけではなく、ガーシュウィンの音楽で踊るという点でも僕には意味があったんです。というのも僕がダンスを始めることになったのは、隣人が『パリのアメリカ人』などハリウッドのミュージカルをみせてくれたことがきっかけだったから」

パリ・オペラ座バレエ団2017年日本公演「ダフニスとクロエ」より
Photo: Kiyonori Hasegawa

任命は昨年35歳を迎えたときからあまり期待しなくなっていたそうだ。プルミエ・ダンスールとして踊りたい役にアクセスがあることに満足し、配役されたコンテンポラリー作品では振付家たちとの出会いを楽しんで......精神的にアップダウンはあったにしても、仕事の手を抜くことは決してなく、常に全力投球。そして昨年末、『白鳥の湖』の公演に際してプリンス役に自ら名乗りを上げることにしたのだ。パトリック・デュポンとマリー=クロード・ピエトラガラが踊るこの作品をビデオで見て、ダンサーを志した彼である。一度は踊りたいという願いが受け入れられ、彼は配役された。この時彼をコーチしたのがフロランス・クレールだった。
「ヌレエフと親しく、彼とも踊ったことがあるコーチと一緒に仕事をできるなんて! これは夢だ、って思いましたね。僕への大きな信頼が感じられて、リハーサルではとても気持ちよい時間が過ごせて幸運でした。彼女がオペラ座の教師だった時代から知っていますが、アーティストとして、一女性としてすごい好奇心の持ち主の彼女を僕は崇拝しています。ダンサーとの間に通じ合うものを必要とする彼女。自分の大切な宝物を分かち合う相手を選んでいるような気がします。これが上手に継承できる秘訣なのでしょうね。〈オペラ座ガラ─ヌレエフに捧ぐ─〉に参加するメンバーに、彼女はよく〈ヌレエフ&フレンズ〉(フロランス・クレールも参加したグループ公演)の思い出を語るんですよ。偉大なヌレエフに捧げるこの夏のガラは、彼女にとって大きな意味を持つものです。Aプロで最初に踊られる『眠れる森の美女』の第1幕の花のワルツは、ヌレエフの振付における特徴を盛り込んで彼女自ら創作する、というように、精力を注いでいます」

心から日本が好きだと語るマルク。ダンスやダンサーに対して情熱を傾ける日本のバレエファンに、他の国の観客とは得られない結びつきを感じるそうだ。ダンスの喜びを分かち合えるのがとても楽しみと、エトワールとして初来日する日を心待ちしている。

取材・文 大村真理子 パリ在住、エディター

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ルドルフ・ヌレエフ 没後30年記念
〈オペラ座ガラーヌレエフに捧ぐー〉

公演日

【Aプロ】
7月26日(水)19:00
7月27日(木)19:00

【Bプロ】
7月29日(土)13:30
7月29日(土)18:00
7月30日(日)14:00

会場:東京文化会館(上野)

入場料[税込]

S=¥18,000 A=¥16,000 B=¥14,000
C=¥10,000 D=¥7,000 E=¥5,000
U25シート=¥3,000
*2演目セット券[S,A,B席]あり
*ペア割引[S,A,B席]あり
*親子割引[S,A,B席]あり