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ポール・ハムリン・ホール <br>Photo:  Luke Hayes / ROH

2023/12/20(水)Vol.484

NBSロンドン・レポート(2)
英国ロイヤル・オペラと『リゴレット』
2023/12/20(水)
2023年12月20日号
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オペラ

ポール・ハムリン・ホール
Photo: Luke Hayes / ROH

NBSロンドン・レポート(2)
英国ロイヤル・オペラと『リゴレット』

NBSのスタッフによるロンドン・レポート、第二弾は『リゴレット』と英国ロイヤル・オペラについて、現地スタッフの言葉も交えてご紹介します。

英国ロイヤル・オペラの『リゴレット』は"再開"の象徴?!

『リゴレット』の世界初演は1851年のフェニーチェ歌劇場です。英国ロイヤル・オペラでの初演は1853年に行われましたが、当時は「ロイヤル・イタリアン・オペラ」と改称された劇場での上演でした。この劇場は1856年に火事に見舞われてしまいます。劇場の再建後、2つの大戦を経て1946年に「英国ロイヤル・オペラハウス」は上演を再開。その翌年の1947年に『リゴレット』が上演されました(カール・ランクル指揮)。2021年9月のオリヴァー・ミアーズによる新演出版は、コロナ禍による劇場閉鎖からの再開を飾りましたが、英国ロイヤル・オペラにおける『リゴレット』が、困難な時期を経て再開されるときに上演されるという不思議な共通点を感じます。

オリヴァー・ミアーズは『リゴレット』幕開けにカラヴァッジオの「聖マタイの殉教」を思わせるの活人画を用いた
Photo: Ellie Kurttz / ROH

『リゴレット』の新演出初演にあたり、ミアーズが入念に準備をすすめたことはいうまでもありません。音楽監督のパッパーノが指揮をするのはもちろんのこと、作品の要となる装置・衣裳には英国ロイヤル・オペラ初登場となる実力派の2人のデザイナー、装置のサイモン・リマ・ホールズワース、衣裳のイローナ・カラスを起用し、自身の演出プランを綿密につくりあげました。このコラボレーションは『リゴレット』の成功に続き、2023年にはヘンデル作曲のオペラ『イェフタ』新制作にも起用され、ミアーズ演出のもと、鮮やかに作品を彩っています。

オリヴァー・ミアーズ演出、サイモン・リマ・ホールズワース装置、イローナ・カラス衣裳によるヘンデル作曲『イェフタ』
Photo: Photo: Marc Brenner / ROH

2021年9月のミアーズ演出『リゴレット』初演は、18カ月におよぶ劇場閉鎖からの再開ということもあり、公演初日前から話題が高まったのはいうまでもありませんが、公演を開催するスタッフにとっても強い印象を残したようです。
「待ちに待った公演ということだったのでしょう、初演の公演チケットは完売という盛況でした。あれから2年が経った今回(2023年10月)の再演にも、大きな注目が集まっていることを感じています。『リゴレット』は暗いストーリーの物語ではありますが、ヴェルディの音楽、特にパッパーノが生み出す音楽が素晴らしく、圧倒的な輝きを放っていること、加えてミアーズの演出が音楽によく寄り添ったものであることが、聴衆にとって大きな魅力になっているのです」と、英国ロイヤル・オペラの広報担当スタッフは語ります。
さらに、日本公演を視野に「日本ではネイディーン・シエラがジルダを歌いますね。彼女がまだ日本ではあまり知られていないなんて驚きです。こちら(ロイヤル・オペラ)ではスターですから!」とも。
そういえばネイディーン・シエラは、2023年9月に英国ロイヤル・オペラへのデビューを飾りましたが、その際には"ようやく!"という声しきりだったと報じられました。ロンドンではまだ実現していない、シエラ演じるジルダが登場する日本公演での『リゴレット』には、ロンドンの聴衆のうらやむ声が聞こえてきそうです。

英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演公式サイト
https://www.nbs.or.jp/stages/2024/roh/index.html