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Photo: Koujiro Yoshikawa

NEW2024/04/17(水)Vol.492

東京バレエ団『ロミオとジュリエット』
秋山瑛インタビュー
2024/04/17(水)
2024年04月17日号
バレエ
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Photo: Koujiro Yoshikawa

東京バレエ団『ロミオとジュリエット』
秋山瑛インタビュー

一昨年、東京バレエ団が『オネーギン』に続く2作目のクランコ作品として、全幕『ロミオとジュリエット』を初演した際には、主役からソリスト役までの充実が大きな評判を呼びました。再演を望む声に応えて、この5月の公演で、前回に続いてジュリエット役を演じる秋山瑛は、いま最も輝きを放っているダンサーの一人。あらためて今回のジュリエット役について聞きました。

振付が感情を伝えるための言葉になる。前回以上にジュリエットの役柄に入り込めたらと思います。

2022年4月にプリンシパルに昇進して以来、『ドン・キホーテ』『ラ・バヤデール』『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』『かぐや姫』(いずれも主演)とめざましい躍進が続き、2023年のオーストラリア公演『ジゼル』では国際的な評価を得た秋山瑛。2024年2月には芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞し、新世代のスター・ダンサーとして将来を嘱望されている。
(芸術選奨受賞は)本当に有難く感じていて『私でいいのかな』という気持ちにもなったのですが、受賞理由なども読ませていただいて(『かぐや姫』と『ジゼル』に対する評価)これからも頑張ろうと、背中を押していただいた気持ちになりました」

2022年クランコ版『ロミオとジュリエット』初演より
Photo: Shoko Matsuhashi

5月のクランコ版『ロミオとジュリエット』はプリンシパル昇進直後の2022年に踊って以来、二度目の主演となる。
「当時はコロナ禍で、リハーサルではマスクをして踊っていました。バレエは身体表現なのでもちろん踊りで見せていくのですが、表情の半分以上が見えなかったり、なるべく人との距離をとって過ごさなければならない中でのリハーサルは、やっぱり寂しかったです。好きなシーンは、自分は出ていないのですが、2幕の広場のシーン。ロミオを取りまく環境が大きく変わるドラマティックなシーンで、リハーサルを見るのも大好きでした」

舞台での凛とした華やかなオーラとは対照的に、普段の本人はとても天然で柔らかいムード。『ロミオとジュリエット』という物語についても、独特の解釈を語る。
「この作品を踊ってみて感じたのは、二人の相手への気持ちや、大人になっていく心の成長が、二人で踊るシーンだけでなく、むしろそれ以上に周囲の人たちへの接し方の変化や、行動の変化によって浮き出てくる演出の面白さです。ジュリエットはファミリーとの葛藤があったり、パリスや乳母との関係など、人間関係の表現が多い役だと思います。ロミオとジュリエットの物語でありながら、二人は別々の場面で内面の変化を見せていく。だからこそ、『最後にもう一度』と生きて会おうとするラストシーンが感動的なのですね」

2022年クランコ版『ロミオとジュリエット』初演より
Photo: Shoko Matsuhashi

ロミオ役によってもジュリエットの演じ方は大きく変わっていくと語る。
「2022年の相手役は池本祥真さんで、池本さんは普段結構クールな感じなので.....とても愉快で優しい方なんですが.....どういう風にロミオをやるのかな?と思っていたら、とても熱いハートが燃えているロミオでした。踊りはもちろん、爆発的な魅力を持っているダンサーだということは皆さん御存じだと思うのですが、池本さんの熱いロミオみたいな役をそれまで見たことがなかったので、『こういう表情もされるんだな』と。役を大切に作っていて「好き」という気持ちをこんなふうに表すのか.....と感動したり、キャッチボールみたいなのが凄かったです。今回のロミオ役の大塚卓さんとのお稽古はまだ始まっていませんが、リハーサルの時間外でも二人で役作りを始めていこうと話しているところです」

ジュリエットは妖精でもお姫様でもない生身の女性。それゆえの難しさも多い。
「テクニック的にはパ・ド・ドゥも難しいし、リフトもたくさんあります、寝室のシーンも難しいし、バルコニーのシーンも難しいのですが、その振付が感情を伝えるための言葉になるので、これからのリハーサルの中で二人の感情の流れや高まりをお伝えできるように練習していきたいです。精神面では、お母さんからもお父さんからも自分の気持ちに寄り添ってもらえず、本当に孤独になって、そこで愛を選ぶシーンは特別なものがあります。前回、全幕通してリハーサルしたときに驚いたのですが、あの場面は本当にたくさんの気持ちが溢れてくるのです。踊りというよりも走ったり歩き回ったり、考え込んだりという演技の多い場面なのですが、そこでジュリエットのいままでの出来事が蘇ってきて.....音楽も素晴らしいですし。今回は、前回踊って得た経験から試してみたいこともたくさんありますし、前回以上にジュリエットの役柄に入り込めたらと思います。相手役が変わると自分のジュリエットも変わると思いますし、どんなふうになるかとても楽しみにしています」

2022年クランコ版『ロミオとジュリエット』初演より
Photo: Shoko Matsuhashi

取材・文:小田島久恵(フリーライター)

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東京バレエ団
ジョン・クランコ振付『ロミオとジュリエット』全3幕

公演日

5月24日(金)18:30
5月25日(土)14:00
5月26日(日)14:00
6月7日(金)18:30
6月8日(土)14:00
6月9日(日)14:00

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

入場料[税込]

S=¥14,500 A=¥12,000 B=¥9,000
C=¥7,000 D=¥5,000 E=¥3,000
U25シート=¥2,000
*ペア割引[S,A,B席]あり
*親子割引[S,A,B席]あり

※ロミオ&ジュリエットplus ¥20,000(S席+特典)
(ロミオとジュリエットとの撮影会へのご招待特典付きチケット)
対象公演:5/25(土)、5/26(日)、6/8(土)、6/9(日) 各公演終演後

[予定される出演者]
ジュリエット: 沖 香菜子(5/24,6/9)、 秋山 瑛(5/25,6/7)、 足立 真里亜(5/26,6/8)
ロミオ:柄本 弾(5/24,6/9)、大塚 卓(5/25,6/7)、池本 祥真(5/26,6/8)