2024/10/16(水)Vol.504
| 2024/10/16(水) | |
| 2024年10月16日号 | |
| TOPニュース バレエ |
|
| シュツットガルト・バレエ団バレエ |
Photo: Shoko Matsuhashi
日本公演を前に、主要ダンサーのインタビューをご紹介するシリーズ3回目はシュツットガルト・バレエ団の若手ダンサーの2人。マッケンジー・ブラウンとガブリエル・フィゲレドです。期待されるダンサーとなるまでの経緯や思いなどをフリーライターの小田島久恵さんが聞きました。
シュツットガルト・バレエ団の新世代プリンシパルとして頭角を表している若手ダンサーが、米国出身のマッケンジー・ブラウンと、ブラジル出身のガブリエル・フィゲレドだ。ともに20代で躍進めざましく、世界バレエフェスティバルでは『黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ』と、ノヴィツキー振付の『ア・ダイアローグ』で異なる魅力を観客に披露した。素顔は元気いっぱいで笑いが絶えないマッケンジーは、『オネーギン』でタチヤーナの妹オリガ役(11/2)を演じ、『椿姫』ではプリュダンス(11/8、11/10)を演じる。内気でシャイなフィゲレドは『オネーギン』のレンスキー(11/2)と『椿姫』のデ・グリュー(11/9)と、こちらも重要な役を踊り、主役ダンサーとの濃厚な掛け合いを見せてくれる。
――マッケンジーさんは2016年のユース・アメリカ・グランプリのニューヨーク・ファイナリストで、2019年のローザンヌ国際バレエコンクールでは第1位とコンテンポラリー賞を得ています。いろいろな選択肢がある中でシュツットガルト・バレエ団を選んだ理由は?
ブラウン:ローザンヌでは優勝しましたが、実はバレエだけをやっていたわけではなかったので、普通ならオペラ座に行きたいとかロイヤル・バレエ団に入りたいという夢があると思うんですが、まだよく分かっていなかったんです。自分が行ってみてホームとして心地よく感じられるところに入りたいと思っていました。オーディションで訪れたシュツットガルト・バレエ団は理想的な場所だったんです。
――バレエ以外では、例えばどんなことに夢中になっていたのですか?
ブラウン:私が生まれたバージニア州スタッフォードは大きい街ではなく、それほどバレエが盛んではなかったんです。体操やサッカーに夢中でしたし、ジャズダンスやヒップホップに手を出してからバレエに辿り着いたんですけど、実際やってみると可能性としてバレリーナになるというのは、ありえると思えなかった(笑)。その後モナコのプリンセス・グレース・アカデミーに留学したことで、『バレエ、いいかも!』と思えたんです。生徒が50人くらいしかいない小さな学校なんですが、先生方が親身になってプロになるための手助けをしてくれるのです。リハーサルへの取り組み方や、身体のメンテナンス、バレエだけでなく日常についても人間らしい生活を送るよう助言をいただきました。基本的な人間性を養ってくれる場所でしたね。
――それは大切なことですね。シュツットガルト・バレエ団には2020/2021シーズンに入団し、次のシーズンにはソリスト、プリンシパルとスピーディーに昇格を果たしました。芸術監督のタマシュ・デートリッヒ氏は7月に東京で開催された、日本公演のための記者会見のときもマッケンジーさんを期待の星として紹介されていました。
ブラウン:タマシュは大変サポーティヴで、クランコのレガシーを引き継ぐことに心血を注いでいますし、ダンスだけでなくて、カンパニーの一体感を大切にしていますね。彼から期待されていることはとても光栄に思います。
――『オネーギン』では明るい性格のオリガを踊りますが、役作りはしやすいですか?
ブラウン:私自身ハッピーでエネルギー溢れるバブリーな感じの人間なので、オリガに共鳴できるんです。大きな役をやるのはオリガが初めてだったし、何より『オネーギン』は大好きなバレエでしたから。タチヤーナほどではなくてもドラマ性もあって「ああ、なんてことを!」という後悔もある役なので、明るさとシリアスさの両面があって踊り甲斐があります。
――オリガがふざけてオネーギンと踊るシーンは見ていてとてもハラハラするのですが、どういう心境で踊っていますか?
ブラウン:実はあのダンスはとてもトリッキーなステップで、オネーギンの足を踏まないように注意しなければならないのです。ただシーンとしてはとても楽しいモーメントで、『私のお姉さんの彼氏と踊っているのよ!』といったはしゃいだ気分もプラスしています。
――レンスキー役のガブリエル・フィゲレドとの相性はいかがですか?
ブラウン:実はガブリエルとはデビュー役がそれぞれ違う相手だったので、『オネーギン』での共演は今回が初めてになります。リハーサルでお互いにどうアプローチできるか楽しみにしています。タマシュの意図としては、今後もいろいろな演目で組ませたいと思っているようです。
――生年月日をお聞きしていいですか?
ブラウン:2002年5月9日です。
――目の前でお話をしていても、毎日がキラキラ輝いていて眩しい人生を送られているように見えます。
ブラウン:(笑)でも、大変なことも多いですし、人生にはいろいろなことがあります。神を信じていますし、神の導きを信じています。幸いなことに私の人生に関わってくれた人々は私にいろいろなことを教えてくれ、いろいろなものを与えてくれました。今の私があるのはそうした方々にがいたからで、とても感謝しているんです。
――カンパニーで将来踊ってみたい役は?
ブラウン:ジュリエットでしたが、その夢はもう叶ってしまったので、今はタチヤーナです。とても高い目標ですが、将来踊れたら嬉しいですね。
――ガブリエルさんはこの7月にプリンシパルに昇格しました。特別な夏になりましたね。
フィゲレド:その事実をまだ消化しきれていないんです。すごく驚いているんですよ。まさか自分がプリンシパルになれるとは思っていなかったので。
――でもちゃんとカンパニーのホームページではプリシンバルのところに載っていましたよ。『オネーギン』ではレンスキーを踊られますが、ガブリエルさんは記者会見で「舞台でジェットコースターのような経験をする」とおっしゃっていました。
フィゲレド:役作りをするというより、自分自身がレンスキーになり切って、そのときのシチュエーションに身を置くということを心がけています。辛い役ですが、好きな役のひとつで、特に第2幕のソロは「自分が死ぬか、自分の友達が死ぬか」という場面で、決闘でどちらが死ぬかもうわかっているので、大変センチメンタルになります。死ぬ直前のソロを踊るわけですが......凄く好きな役です。
――日本でガブリエルさんのレンスキーを観られるのが楽しみです! プロフィールによると、ブラジルのお生まれで、ユース・アメリカ・グランプリのグランプリ受賞後にクランコ・バレエ・スクールの校長先生にスカウトされたというお話があるのですが、この時のことを詳しく教えていただけますか?
フィゲレド:グランプリをいただいたのは13歳のときで、大会に出てみたい、経験してみたいという本当にそれだけの動機だったので、まさかそういうスカラシップのオファーがあるとは思わなかったのです。幸いにもスカラシップを得て、まだとても若かったのですが一人でドイツに向かいました。
――13歳で単身ドイツに渡ったと。
フィゲレド:精神的にも大変な局面があったり、もうブラジルに戻りたいと思ったこともあったんですが、本当に自分がやりたい、叶えたい夢はこれだと思って、頑張りました。
――今何歳ですか?
フィゲレド:2000年の10月12日生まれで、23歳(取材時)です。
――ドイツに渡って10年が経ったのですね。ブラジルに戻りたいと思いながらドイツにとどまって、とても寂しかったのではないかと思います。
フィゲレド:同じような状況で一人で国を離れてきている生徒も結構多かったので、最終的にはファミリーのような感じになりました。
――学校ではどのようなことを学ぶのですか?
フィゲレド:もちろんバレエのレッスンがメインですが、私はドイツ語も学ばなければならなかったので、それとは別にドイツ語学校にも行きました。ダンスのセオリーやダンスの歴史を勉強して......本当に規律正しい生活をしていました。
――精神性が鍛えられたと思います。ガブリエルさんから見て、今のカンパニーはどのような状態ですか?
フィゲレド:カンパニーとしてすごく団結している感があります。本当に家族のようですし、タマシュもいろいろな手助けをしてくれますし、バレエマスターの皆さんもそうです。ともにクリエイティヴなプロセスを踏んでいこう、と心をひとつにする場ですね。
――なるほど。日々集中してバレエに打ち込む中で、プライベートの趣味などはありますか?
フィゲレド:読書が好きです。料理も好きですし、友達と過ごしたり、プールやサウナに行くことも好きです。料理は主にブラジル料理ですが、日本料理も好きなのでカツ丼も作れるんですよ。
*インタビューは2024年7〜8月に実施しました。
取材・文 小田島久恵 フリーライター
11月2日(土)14:00
11月3日(日・祝)14:00
11月4日(月・休)14:00
会場:東京文化会館(上野)
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
11月8日(金)18:30
11月9日(土)14:00
11月10日(日)14:00
会場:東京文化会館(上野)
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
[予定される出演者]
『オネーギン』
オネーギン:フリーデマン・フォーゲル(11/2)、 ジェイソン・レイリー(11/3)、 マルティ・パイシャ(11/4)
タチヤーナ:エリサ・バデネス(11/2)、 アンナ・オサチェンコ(11/3)、 ロシオ・アレマン(11/4)
オリガ:マッケンジー・ブラウン(11/2)、 ディアナ・イオネスク(11/3)、 ヴェロニカ・ヴェルテリッチ(11/4)
レンスキー:ガブリエル・フィゲレド(11/2)、 アドナイ・ソアレス・ダ・シルヴァ(11/3)、 ヘンリック・エリクソン(11/4)
グレーミン公爵:ロマン・ノヴィツキー(11/2)、ファビオ・アドリシオ(11/3)、クリーメンス・フルーリッヒ(11/4)
[予定される出演者]
『椿姫』
マルグリット:エリサ・バデネス(11/8)、 アンナ・オサチェンコ(11/9)、 ロシオ・アレマン(11/10)
アルマン:フリーデマン・フォーゲル(11/8)、 デヴィッド・ムーア(11/9)、 マルティ・パイシャ(11/10)
マノン:アグネス・スー(11/8、11/10)、 ヴェロニカ・ヴェルテリッチ(11/9)
デ・グリュー:マッテオ・ミッチーニ(11/8、11/10)、 ガブリエル・フィゲレド(11/9)
プリュダンス:マッケンジー・ブラウン(11/8、11/10)、ダイアナ・ルイズ(11/9)
S=¥26,000 A=¥22,000 B=¥18,000
C=¥15,000 D=¥12,000 E=¥9,000
U25シート=¥5,000