本年11月に上演される東京バレエ団『ドン・キホーテ』全2幕。今回は6キャスト7公演が組まれており、バレエファンの間では「全部の組み合わせが観たい!」と期待の声が飛び交っています。そんな綺羅星のごとき出演者の中で特に注目を集めているのが、ソリストながら主役に抜擢された中島映理子と二山治雄。かつてパリ・オペラ座バレエ団在籍時代に同僚だった2人は、偶然にも東京バレエ団で再会を果たしました。お互いを"ハル" "エリ"と呼び合うふたりは、インタビューでも息のあったところを感じさせます。
――中島さんは2023年の子どものためのバレエ『ドン・キホーテの夢』(以下、『子ドンキ』)で主演され、今回は初めて本公演でキトリを踊られます。そして二山さんは東京バレエ団での全幕初主演となりますね。キャストが発表されたときの気持ちをお聞かせください。
中島:嬉しい反面、ほかのキャストが豪華すぎるので「私で大丈夫?」という気持ちもありました。あと、これまで姫系の役が多くて、2年前に『子ドンキ』に出演したとき、キトリのような"はつらつ系"を踊るのが初めてだったんです。でも、(斎藤)友佳理さんから「飾りすぎず、そのままの映理子でいいよ」と言っていただいて、楽しんで踊れました。今回も楽しみたいと思います。
二山:僕は今年の3月半ばに入団して、次々と舞台があって怒涛の日々を過ごしていました。そんなとき、友佳理さんに「あなたに『ドン・キホーテ』(以下、『ドンキ』)で主役をやってもらいたいと思っているの」と声をかけていただき、驚きすぎて「は、はい......」としか答えられなかったほどです(笑)。入団して間もない僕を選んでくださったことに感謝して、プライドを持って頑張りたいです。
――主役として真ん中に立つ際は、どんな気持ちで踊られているのでしょうか?
中島:私は自分が主役だと思いすぎないようにしています。舞台はひとりで作るものではないので、周りのダンサーとの空気感を大切に「みんなで一緒に作り上げよう」という気持ちですね。ひとりきりで頑張らないといけないと思うと自分を苦しめるし、周りが見えなくなってしまいます。周りが見えていたほうが表現の幅も広がって、いい舞台になりますね。
二山:同感なんですが、3月に入団したばかりの僕はまだまだ新人。そこで主役を踊らせていただくには、やっぱり気を張らなきゃいけないなとも思っています。団員の皆さんと僕とではスタートラインが全然違うわけだから、それに負けないというか、追いついていけるように気を張って踊りたいです。
中島:もう練習してるもんね!
二山:うん。5月にキャストが発表された翌週には、パートナーの(涌田)美紀さんと空いている時間を使って、自主練を始めました。先日は自習していたら、(柄本)弾さんがアドバイスしてくれました! 東京バレエ団には素晴らしい先輩がたくさんいてアドバイスをしてくださるので、温かい環境ですね。
――おふたりが思うキトリとバジルはどんなキャラクターですか?
中島:キトリはバジルのことが大好きなのに、それを前に出すのが恥ずかしい"ツンデレ"さん(笑)。前回はパートナーが(生方)隆之介くんだったこともあって、友佳理さんから「バジルを引っ張るお姉さんみたいな感じも似合うよ」と言っていただいたのですが、今回は(宮川)新大さんでお兄さんだから、ちょっとツンデレ感を出してみてもいいかもしれません。
二山:バジルは「THE 男!」という感じなので、僕とはけっこう対照的で......どうしようかなと。自分では男っぽさを出しているつもりでも難しいので、これから研究していきたいです。でも、自分だけで「こうしなきゃ」と思わず、美紀さんとふたりでキトリとバジルというカップルを作り上げていけたらいいですよね。
――演技の面で、先生方からはどんなアドバイスがありますか?
中島:私はお芝居をやりすぎないようにと言われます。以前は大げさにやらないと遠くのお客さまに伝わらないのではと不安でオーバーにやっていたのですが、それだと表面的すぎて内面が見えないと言われてハッとしました。だから演技は最低限にして、動きのパターンを増やすように努めていますね。
二山:僕は逆で、やりすぎなくらいやれって言われる。今度、札幌で(秋山)瑛さんと『ディアナとアクテオン』のパ・ド・ドゥを踊るので、友佳理さんに見てもらったら「もっと男を見せて」と。アカデミックに踊るのは大切だけど、時にはそこを崩してもっと大胆にと教わりました。
中島:ハルはこれまで美しいラインを持ち味としてきたけれど、今後プラスアルファで違う味わいが出てきたらさらにすごい!
二山:新たな治雄をお見せできれば(笑)。
――おふたりは契約団員としてパリ・オペラ座バレエ団にいた期間が重なっているんですよね?
二山:初めて会ったのは、2016年7月に受けた入団コンクールのときです。僕は20歳そこそこで、エリはまだ10代でした。
中島:毎日のクラスも一緒で、週末も一緒にごはんを食べるという家族みたいな関係でした。ハルが日本に帰ったり、私がオーストラリアに行ったりしていた時期もずっと連絡は取り合っていて、変わらない関係のままで来て......気づいたらまた一緒に働いている、みたいな。
二山:クサい言い方かもしれませんが、親友ですね。
中島:私は異性の友だちって少ないんですけど......ハルの前では素でいられるんですよ。ハルのほうが年上なんですけど、気を遣わずに何でも話せます。
――ところで、最近ハマっているものはありますか?
中島:最近暑いので、毎日のようにアイスクリームを食べています。おいしかったのは祐天寺のアクオリーナというジェラート屋さんと、千駄ヶ谷のLAITIER(レティエ)というソフトクリーム屋さん。
二山:(写真を見て)おいしそう! このソフトクリーム屋さん、コーンはないの?
中島:あるんだけど、私はカップ派。この日はマスカルポーネのソフトを食べたよ。
二山:僕は昔からソフトクリームが大好物です。先日も地方公演に行くとき、羽田空港で朝9時から朝ごはん代わりにソフトクリームを2種類食べました(笑)。あと最近はカレーばっかり食べてますね。
――最後に、これからの目標を教えてください。
中島:私は怪我をしていたこともあって、ベジャールさんの『ザ・カブキ』にまだ出られていないんです。東京バレエ団といえば『ザ・カブキ』なので、ぜひ出演したいです!
二山:僕はとにかくレパートリーを増やしたいと思っています。今回の『ドンキ』に次いで、12月の『くるみ割り人形』でも主役の王子を踊らせていただくことになりました。挑戦しつつ、でも欲張らず、着実に進んでいければと思います。
取材・文:富永明子(編集者・ライター)
11/18(火)13:00 *
11/19(水)19:00
11/20(木)19:00
11/21(金)19:00
11/22(土)14:00
11/23(日・祝)14:00
11/24(月・振休)14:00
* 1階に学校団体が入ります。
会場:東京文化会館(上野)
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
S=¥15,000 A=¥12,000 B=¥9,000
C=¥7,000 D=¥5,000 E=¥3,000
U25シート=¥2,000
*ペア割引[S,A,B席]あり
*親子割引[S,A,B席]あり
[予定される主な配役]
キトリ:涌田 美紀(11/18)、上野 水香(11/19)、秋山 瑛(11/20,11/23)、伝田 陽美(11/21, 11/24)、中島 映理子(11/22)
バジル:二山 治雄(11/18)、キム・キミン[ゲスト](11/19, 11/21)、池本 祥真(11/20,11/23)、宮川 新大(11/22)、柄本 弾(11/24)