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2025/12/03(水)Vol.531

東京バレエ団『くるみ割り人形』の魅力&クリスマス・マーケット紹介
2025/12/03(水)
2025年12月03日号
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バレエ
東京バレエ団

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東京バレエ団『くるみ割り人形』の魅力&クリスマス・マーケット紹介

街中がクリスマス・カラーに彩られると、恋しくなるのが『くるみ割り人形』(以下『くるみ』)です。今年も年に一度のお楽しみ! 東京バレエ団による『くるみ』の上演が近づいてきました。
バレエ団ごとにさまざまなヴァージョンがありますが、なかでも斎藤友佳理による改訂振付・演出は『くるみ』の素敵なところがぎゅっと詰まった作品に仕上がっています。今回は東京バレエ団版の魅力をポイントごとに紹介していきましょう。

舞台だけじゃない、東京バレエ団の『くるみ』とクリスマスのワクワク!

劇場に入ると一瞬にしてクリスマス気分に!

作品の魅力に触れる前にお伝えしたいのが、東京バレエ団の『くるみ』は鑑賞前からクリスマス気分に浸れるということ。なぜなら劇場に入ると、クリスマス・マーケットが広がっているのです!
クリスマス・マーケットとは、ドイツ発祥とされる屋外イベント。東京バレエ団では『くるみ』上演中の東京文化会館ホワイエでクリスマス・マーケットを開催し、クリスマスに関連する雑貨やアクセサリー、装飾品、食べ物などの買い物を楽しむことができます。ヒュッテと呼ばれる木製の小屋が立ち並び、多くの人でにぎわうマーケットに足を踏み入れるだけで、心は完全にクリスマス気分  ちなみに筆者は毎年ホットワインをいただき、自分へのクリスマス・プレゼントとしてバレエグッズを購入するのを楽しみにしています。

クリスマスマーケットに並ぶグッズ。くるみ割り人形も!
Photo: NBS

幕が開くとそこは"レトロかわいい"世界

東京バレエ団が現在上演しているヴァージョンは、2019年に現団長の斎藤友佳理がプティパやイワーノフ、そしてワイノーネンらが築き上げた古典をもとに、現代を生きる私たちが共感できる作品に改訂振付・演出したもの。なかでも第1幕、クリスマス・パーティが開催されている広間のシーンには、そんな東京バレエ団版の魅力が詰まっています。
大きなクリスマス・ツリーの飾られた広間は、大きな暖炉や柱時計のある重厚なつくり。そこに集まる子どもたちはやわらかなパステルカラーの衣裳、大人たちは明るい色合いの上品な衣裳を身につけ、19世紀ヨーロッパのお屋敷で開催されるパーティの光景が目の前に広がります。それはまるで、昔懐かしい映画のワンシーンのような美しさ!
広間に集う人々は一人ひとりキャラクターがあり、自然体でそこに"生きて"いるのが魅力です。主人公のマーシャを中心とした子どもたちはとくに個性豊かで、子ども時代の自分に似た子がひとりは見つかるかも⁉

『くるみ割り人形』第1幕より
Photo: Shoko Matsuhashi

少女から大人へ成長する主人公マーシャ

心優しいマーシャはドロッセルマイヤーの導きにより、勇敢にもねずみの王様に一撃を与え、くるみ割り人形(王子)を救います。王子と心を通わせて手を取り合うマーシャは、クリスマス・パーティではしゃいでいた少女から、大人への階段を一段上がったかのよう。第1幕、うっとりするような音楽にのせて踊られる王子とのアダージオでは彼女の成長が感じられ、胸がきゅんとするはず。
さらに、お菓子の国に向かうマーシャと王子のそばにいる仲間たちにも注目! ドロッセルマイヤーがパーティで披露した劇に登場するピエロ、コロンビーヌ、ウッデンドールという3体のお人形が、ふたりとともにツリーの頂上をめざします。優しく見守ってくれる仲間の存在に心が温まるでしょう。

マーシャ(沖香菜子)とくるみ割り王子(柄本弾)
Photo: Koujiro Yoshikawa

東京バレエ団の群舞が光る、戦いのシーンと雪の国

『くるみ』では東京バレエ団が誇る群舞(コール・ド・バレエ)が持つ、ふたつの魅力を楽しめます。
ひとつめは、パワフルな群舞。くるみ割り王子率いる兵隊たちvsねずみの王様率いるねずみの大軍の戦いのシーンは、愛らしくも迫力満点です。トウシューズを履いた兵隊たちが隊列を組んできびきびと動く一方、ねずみたちはその跳躍力を見せつけるかのように所狭しと跳び回り、「かわいい」以上に「かっこいい!」と叫びたくなります。王子とねずみの王様の一騎打ちもお見逃しなく!
もうひとつは、雪の精たちが踊る雪の国。粉雪が舞い散るような細やかなポワント・ワークと腕づかいで一糸乱れずに舞う雪の精たちは、「これぞコール・ド・バレエ」とため息をつくような美しさです。次々に変わるフォーメーションを楽しむため、上階から鑑賞するのもおすすめ!

くるみ割り王子率いる兵隊とねずみの王様とねずみたち
Photo: Koujiro Yoshikawa

高難度テクニックが満載の第2幕

第2幕でツリーの頂上にたどり着いたマーシャたち一行を迎えるのは、スペインやアラビア、中国、ロシア、フランスの人たち。各国の人々が登場するシーンには、あるクリスマスらしい仕掛けが施されているのですが、それは観てのお楽しみ
各国の踊りはクラシックバレエの華やかなテクニックがふんだんに盛り込まれ、超絶技巧のオンパレード! 次々と披露されるダイナミックな跳躍やスピーディな回転、スリリングなリフトなど、目を見張るテクニックの数々が披露されます。
その後に続くマーシャと王子のグラン・パ・ド・ドゥは、繊細で優雅なアダージオにダイナミックなリフトを組み合わせた、フィナーレにふさわしい踊り。ふたりの内側から幸せがにじみ出るような、多幸感のあるパ・ド・ドゥにぜひ酔いしれてください。

マーシャ(秋山瑛)とくるみ割り王子(宮川新大)
Photo: Shoko Matsuhashi

豪華な5組の主役による競演!

今回、東京バレエ団の『くるみ』の主役(マーシャ、くるみ割り王子)を務めるのは全5組、10名のダンサーたち。バレエ団が誇るプリンシパルから、ライジング・スターとも呼ぶべきソリスト勢まで、個性豊かな実力派たちによる名演を日替わりで観られる(東京公演のみ)のは、なんとも贅沢!
また、『くるみ』はソリスト役が多いため、若手ダンサーが抜擢される機会も。これから"推したい"ダンサーを見つける楽しみも味わえるでしょう。

たくさんの魅力がある、東京バレエ団の『くるみ』。劇場に足を踏み入れたそのときから、今から始まる舞台への期待とあわせ、クリスマスへのわくわくする気持ちも高まるはず。ぜひ劇場に足を運んで、あなたならではの楽しみ方を見つけてみてください!

文:富永明子(編集者・ライター)

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東京バレエ団
「くるみ割り人形」全2幕

公演日 【東京公演】

12/11(木)19:00
12/12(金)12:30*
12/12(金)18:30
12/13(土)12:30
12/13(土)17:30*
12/14(日)14:00
* 12/12(金)12:30公演、12/13(土)17:30公演は、学校団体が入ります。

会場:東京文化会館(上野)

指揮:フィリップ・エリス 
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
児童合唱:NHK東京児童合唱団

入場料[税込] ※東京公演

S=¥15,000 A=¥12,000 B=¥9,000
C=¥7,000 D=¥5,000 E=¥3,000
U25シート=¥2,000
*ペア割引[S,A,B席]あり
*親子割引[S,A,B席]あり

[予定される主な配役]
【東京公演】
マーシャ:沖 香菜子(12/11, 12/14)、足立 真里亜(12/12昼)、秋山 瑛(12/12)、金子 仁美(12/13昼)、涌田 美紀(12/13)
くるみ割り王子:宮川 新大(12/11, 12/14)、二山 治雄(12/12昼)、大塚 卓(12/12)、池本 祥真(12/13昼)、生方 隆之介(12/13)


【堺公演】

12/24(水)18:30

会場:フェニーチェ堺 大ホール

マーシャ:足立 真里亜
くるみ割り王子:二山 治雄
指揮:井田 勝大
演奏:大阪フィルハーモニー交響楽団

【西宮公演】

12/26(金)17:30

会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

マーシャ:秋山 瑛
くるみ割り王子:大塚 卓
指揮:井田 勝大
演奏:大阪フィルハーモニー交響楽団

【松江公演】

12/28(日)15:00

会場:島根県民会館 大ホール

マーシャ:金子 仁美
くるみ割り王子:池本 祥真
*音楽は特別録音による音源を使用します。