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Photo: Yuji Namba

NEW2026/01/07(水)Vol.533

〈Zenith of Ballet ー 至高の舞ー〉
ユーゴ・マルシャン インタビュー
2026/01/07(水)
2026年01月07日号
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バレエ

Photo: Yuji Namba

〈Zenith of Ballet ー 至高の舞ー〉
ユーゴ・マルシャン インタビュー

2026年の日本のバレエ・シーンは豪華な幕開けと言ってよいでしょう。至高(Zenith)のダンサーたちが顔を揃える〈Zenith of Ballet ー 至高の舞ー〉で始まるのですから!
近年パリ・オペラ座バレエ団を代表するエトワールとして幅広い作品で活躍しているユーゴ・マルシャン。この12月にはローラン・プティの『ノートルダム・ド・パリ』カジモド役デビューを成功裏に終えました。そのマルシャンに、12月の本番を前にした2025年11月に、今シーズン、そして1月に出演する〈Zenith of Ballet ―至高の舞―〉への想いを聞きました。

ダンサーという役割をこえて

――2025/26シーズンが始まりましたが、いかがですか? 新しい作品や役との出会いはありましたか?

ユーゴ・マルシャン(以下マルシャン)10月にはドロテ・ジルベールと共に『ジゼル』を踊りました。特に彼女と踊った最後の公演は、とても感動的でした。ドロテがパリ・オペラ座バレエ団と『ジゼル』を踊るのは今回が最後でしたから。お客さまも皆そのことを分かっていて、この瞬間の重みを十分に受け止めてくれました。僕にとっても本当に特別な経験となりました。ドロテと一緒に舞台に立てたことは光栄だったと心から思っています。
12月には『ノートルダム・ド・パリ』のカジモド役を初めて踊ります。新しい役への挑戦はとても楽しみです。さらなる芸術的深みを探ることになりますから。

――最近ではオペラ座以外の活動、例えば「レゼトワール・オ・シャト―」(Les Étoiles au Château、"お城のエトワールたち"の意)やニューヨークでのプロジェクト、それにファッションやチャリティなども精力的にこなしていますね。
あなたにとってオペラ座を離れた場で活躍することにどのような手ごたえ、意義を感じていますか?

マルシャン:触れて下さったように、僕は今「レゼトワール・オ・シャトー」というプロジェクトを推進しています。各地の歴史的なお城で仮設の客席を設置して、お城の建物を背景に、野外でバレエ公演を実施するものです。
多くの地方都市では、劇場にバレエ公演を観に行ったことがなかったり、行きたくても高額なチケットを買えずに行かれないという人が沢山いることに気づきました。そこで、パリ・オペラ座バレエ団のエトワールたちを集結させ、13ユーロという特別に安価なチケットでバレエ公演を提供するプロジェクトを始めたのです。9月初旬にはモン・サン=ミシェルで公演しました。ユネスコの世界遺産でもあるモン・サン=ミシェルでの公演は、格別でした!
ほかにもこの夏は、振付家カロリン・カールソンとのコラボレーションで彼女の新作『ミッドナイト・ソウルズ(Midnight Souls)』を世界初演しました。ジャン=ミシェル・オトニエルが制作した大規模なインスタレーションを背景に、異なる芸術形態が対話を繰り広げる舞台はとても刺激的なコラボレーションでした。
こうしたパリ・オペラ座バレエ団の外での活動では、ダンサーという自分の役割を超えて、もう少しプロデューサー的な仕事にチャレンジしているところです。

ユーゴ・マルシャン
Photo: Yuji Namba

僕もあの光景を忘れないでしょう

――昨年は英国ロイヤル・バレエ団のマリアネラ・ヌニェスと共演した『ジゼル』で、センセーショナルな成功をおさめました。公演をふり返っていかがですか?

マルシャン:実は、あの時のリハーサルは通常とは少し違うやり方だったんです。普通はだいたい3週間くらいは一緒に練習するのですが、お互いのスケジュールが合わずにそれができませんでした。そこでまず、マリアネラと細部の確認だけをしに、僕が2日間ロンドンに行きました。そして公演のほんの数日前にマリアネラがパリに来ました。ですから一緒にリハーサルする時間はあまりありませんでした。
彼女が最初は少し不安そうだったことを覚えています。作品の演出をすべて把握できていたわけではなかったでしょうから。でもオペラ座のダンサーが全員、彼女の到着をとても喜んだことも覚えています。一人残らず彼女に注目していました。若いダンサーたちにとっても、マリアネラは憧れの存在ですから、彼女が舞台に立つとみんな拍手喝采でした。僕もあの光景をずっと忘れないでしょう。
マリアネラは本当に才能豊かなダンサーです。でも同時に、決して手を抜かず、努力を惜しまない模範の人でもあります。本当に一生懸命、練習をします。動きの質が非常に高く、ショーの質も驚くばかりです。舞台上の彼女は常に、技術が完璧で、自己表現の方法もとても洗練されています。ですから彼女と共演できることはとても嬉しく光栄に思います。

『ジゼル』 マリアネラ・ヌニェスとユーゴ・マルシャン
写真:本人提供

――今回、〈Zenith of Ballet〉で『ダンス組曲』を日本で初めて踊られます。数あるレパートリーから、この素晴らしい作品を選ばれた理由を教えてください。

マルシャン:このソロ作品は、僕にとって特別な作品です。というのも足首の怪我から復帰した直後に初めて踊ったのがこの『ダンス組曲』でした。それにまだとても若いエトワールでした。だからこのソロ作品で舞台に戻った時には、自分でもものすごく感動しました。そして、本当にチャレンジングなことでした!

『ダンス組曲』
写真:本人提供

『ダンス組曲』を2度目に踊ったのはコロナ禍が始まった直後でした。ロックダウンが終わったばかりで、2週間だけ公演ができることになりました。僕は10日間踊ることになりましたが、その後すぐに再びロックダウンになりました。そんな状況でしたから、この時もとても感動的でした。なぜならその公演の後は、かなり長い間踊れなくなるかもしれず、これがその前の最後の舞台になるだろうと分かっていましたから。あの時は僕自身とても楽しんで踊りました。
あれからずいぶん経ちました ―― もう5年 ―― 僕の身体も少し変化してきたと思います。精神的にもいくらか成熟度を増し、作品に対する理解や感情も深まったと思います。そのことを日本の観客の皆さんにぜひ観ていただきたいと思っています。ヨハン・セバスティアン・バッハの無伴奏チェロの美しい音楽と同じくらい、純粋に、そして誠実に踊れたらと願っています。

文責 NBS

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Zenith of Ballet ―至高の舞―

公演日

2026年
1月30日(金) 19:00
1月31日(土) 18:30
2月1日(日) 14:00

会場:Bunkamuraオーチャードホール

入場料[税込] ※東京公演

S=¥20,000 A=¥17,000 B=¥14,000
C=¥10,000 D=¥7,000
U25シート=¥4,000
*ペア割引[S,A席]あり
*親子割引[S,A席]あり

[予定される出演者]
ウィリアム・ブレイスウェル(英国ロイヤル・バレエ団)
ユーゴ・マルシャン(パリ・オペラ座バレエ団)
永久メイ(マリインスキー・バレエ)
マリアネラ・ヌニェス(英国ロイヤル・バレエ団)
ジル・ロマン
高田 茜(英国ロイヤル・バレエ団)
ディアナ・ヴィシニョーワ(マリインスキー・バレエ)
エドワード・ワトソン
チョン・ミンチョル(マリインスキー・バレエ)

※表記は2025/12/8現在の予定です

*プログラムについてはこちらをご覧ください。