NEW2026/03/18(水)Vol.538
| 2026/03/18(水) | |
| 2026年03月18日号 | |
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| バレエ英国ロイヤル・バレエ団 |
Photo: ROH
英国ロイヤル・バレエ団の3年ぶりの来日を心待ちにするファンの皆さまに、芸術監督ケヴィン・オヘアのインタビューをお届けします。2012年に英国ロイヤル・バレエ団芸術監督に就任以来、さまざまな新しい企画を実現させるなど、手腕を発揮しているオヘア。芸術監督の立場から、そして元ダンサーとして、英国ロイヤル・バレエ団にとっての日本公演について話を聞きました。
――英国ロイヤル・バレエ団はあまり頻繁に海外ツアーを行いませんが、日本公演はカンパニーにとって、どのような意味を持っていますか?
ケヴィン・オヘア(以下オヘア):ツアーの実現には多くのダンサーやスタッフが必要になるので、近年では我々のような規模の大きなカンパニーがツアーを行うこと自体、難しくなってきています。でも、日本へは少なくとも3年に一度以上は定期的に行っていて、私たちにとって第2の故郷のような存在です。それも招聘してくださるNBSはもちろん、日本のお客さまとも素晴らしい関係を築いてきたからです。
私自身はもちろん、ダンサーたちにとっても、愛してくださるお客さまのもとに帰ってくることは喜びです。同時に、新たなダンサーを日本のお客さまにお披露目する素晴らしい機会だと思っています。
――大規模なツアーを準備するには、どのようなプロセスを踏むのでしょうか?
オヘア:いつも前回の日本公演が終わるタイミングで、主催者(NBS)と次回に向けた話し合いが始まります。まずは日程の調整、そして作品選びです。ほとんどの場合、直前のシーズン中に上演したものの中から日本に持っていく作品を選びます。それならダンサーたちも準備ができており、最高のコンディションで披露できるからです。
ただ、舞台装置が日本に届くための十分な時間も考慮しなくてはいけません。日本公演は大抵オペラハウスでのシーズン終了後になりますが、装置が日本に届くには少なくとも3〜4カ月かかかります。すべてのタイミングを見ながら動く必要があるのです。
複雑な作業も多く、予想外のことに驚かされることもしばしばです。今回は東京文化会館ではない劇場で上演するにあたり、輸送の問題を解決するのに長い時間がかかりましたが、無事上演できることになりました。
――今回上演する作品についてお聞かせください。『リーズの結婚』は、ご自身も何度も出演された作品ですね?
オヘア:『リーズの結婚』を上演できることに、わくわくしています。実はパンデミックの影響もあって、英国ロイヤル・バレエ団ではこの作品をもう8~9年も上演していませんでした。でも昨年10月に久しぶりに上演し、観客もダンサーも熱狂に包まれ、大成功を果たしました。世界中がつらく悲しいときを乗り越え、人々が再び劇場に足を運び、愛らしいストーリーと素晴らしい踊りに熱狂する。それは大切なことだと改めて感じました。
おっしゃる通り、私自身、何度も踊っています。最初は学生時代、学校公演でおんどりの役に選ばれて踊りました。当時はまだアシュトン卿がご存命で、彼に稽古を見てもらうという光栄な経験もしました。カンパニー入団後はコール・ド・バレエを経て、コーラスを踊り、それが私のロイヤル・オペラハウスでのデビューとなりました! 私という人間の素の部分を投影させ、役柄に命を吹き込むことの楽しさを知ることのできた愛しい役で、思い出すと自然と笑顔になります。
――『ジゼル』についてはいかがでしょうか? この作品のどんなところがカンパニーにとって特別だとお考えですか?
オヘア:ピーター・ライト版の『ジゼル』において、もっとも重要なのは細部へのこだわりです。あらゆる細かな局面が一つひとつ折り重なり、深く練られ、一つの作品になっています。たとえば、普段は質素な衣服しか身につけていない村人が、人生で初めて豪華な服をまとった金持ちに遭遇したら、どのような反応をするのか? 貴族の一団は小さな村に到着したとき、どのように振る舞うのか? といった具合に、すべての役柄に対し「その人がなぜその行動をするのか?」が深く考えられているのです。
ほとんどのダンサーがコール・ド・バレエの段階で、作品の世界に浸りながら成長していきます。たとえば村人や狩人、ウィリなどの役を通して作品に参加し、その世界観を熟知していきます。ですから、主役を踊るころにはすでにその世界に属し、そこでどう振る舞うべきかを理解できています。
――オヘアさんは2012年から芸術監督として英国ロイヤル・バレエ団を率いていらっしゃいますが、現在のカンパニーの状況について、どのように感じていますか?
オヘア:私が芸術監督に就任してすでに14回目のシーズンを迎えたことは、自分自身でも信じられません! 現在、カンパニーはとてもよい状態にあります。プリンシパル・ダンサーの層がとても厚いのに加え、この5年から10年の間、目覚ましい成長を遂げているダンサーもたくさんいます。ファンの方々の中には、以前コール・ド・バレエで見かけたダンサーが、今やプリンシパルとなって活躍していることを嬉しく思ってくださる方もいるでしょう。
また、私はとくにロイヤル・バレエ学校から新たな団員を選ぶことに尽力してきましたので、スクールから上がってきた団員が現在はたくさんいます。そのことが、ダンサーたちに共通の目的意識や同志的な友情、そして成功という目標を抱かせています。素晴らしいバレエ団の一員であるという誇りが、自分自身を高め、カンパニー内でキャリアを築きたいという想いをより強くしていると思います。
――最後に、日本公演に向けてメッセージをお願いします。
オヘア:素晴らしい日本の観客の皆さま、2023年以来、3年ぶりに日本へ行くことが待ちきれません。皆さまがご存じの、そして愛してくださるカンパニーの姿をお見せできるでしょう。舞台を通して私たちの親愛なる気持ちを感じていただきたく、今回は素晴らしい2作品を披露いたします。ぜひ我々とともに心から舞台を楽しんでいただければと思います。近いうちにお会いしましょう。
文:富永明子(編集者・ライター)
7月3日(金) 18:30
7月4日(土) 13:00
7月4日(土) 18:00
7月5日(日) 13:00
7月5日(日) 18:00
会場:川口総合文化センター リリア
フカガワみらいホール(メインホール)
[公演日時と予定される主な配役]
7月3日(金) 18:30
リーズ:マリアネラ・ヌニェス
コーラス:ワディム・ムンタギロフ
7月4日(土) 13:00
リーズ:アナ・ローズ・オサリヴァン
コーラス:スティーヴン・マックレー
7月4日(土) 18:00
リーズ:マヤラ・マグリ
コーラス:マシュー・ボール
7月5日(日) 13:00
リーズ:高田 茜
コーラス:カルヴィン・リチャードソン
7月5日(日) 18:00
リーズ:フランチェスカ・ヘイワード
コーラス:マルセリーノ・サンベ
指揮:ホセ・サラサール
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
S=¥29,000 A=¥26,000 B=¥23,000
C=¥18,000 U25シート=¥7,000
*親子割引[S,A,B席]あり
7月10日(金) 18:30
7月11日(土) 13:30
7月11日(土) 18:30
7月12日(日) 12:00
7月12日(日) 17:00
会場:NHKホール
[公演日時と予定される主な配役]
7月10日(金) 18:30
ジゼル:マリアネラ・ヌニェス
アルブレヒト:ウィリアム・ブレイスウェル
7月11日(土) 13:30
ジゼル:サラ・ラム
アルブレヒト:平野 亮一
7月11日(土) 18:30
ジゼル:ナターリヤ・オシポワ
アルブレヒト:リース・クラーク
7月12日(日) 12:00
ジゼル:金子 扶生
アルブレヒト:ワディム・ムンタギロフ
7月12日(日) 17:00
ジゼル:高田 茜
アルブレヒト:セザール・コラレス
指揮:マーティン・ゲオルギエフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
S=¥32,000 A=¥26,000 B=¥23,000
C=¥18,000 D=¥14,000 E=¥10,000
U39シート=¥9,000 U25シート=¥7,000
*親子割引[S,A,B席]あり