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Photo: James Bort

NEW2026/04/15(水)Vol.540

〈エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス〉
パリ・オペラ座に輝く"エトワール予備軍"紹介(前編)
2026/04/15(水)
2026年04月15日号
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バレエ

Photo: James Bort

〈エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス〉
パリ・オペラ座に輝く"エトワール予備軍"紹介(前編)

パリ・オペラ座の精鋭11名による特別なガラ公演、題して〈エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス〉! 世界最高峰と呼ばれる名門バレエ団には現エトワールばかりでなく、次代を担う若手もひときわ期待される存在であることがしめされる機会となるのがこの公演です。パリ在住のエディター・大村真理子さんに、それぞれの活躍ぶりや魅力を2回にわたって紹介していただきます。

ジル・イゾアールの審美眼によるパリ・オペラ座の強力な"エトワール予備軍''たち

この夏に開催される〈エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス〉には、パリ・オペラ座バレエ団の11名のダンサーが出演する。ドロテ・ジルベール、ブルーエン・バティストーニ、ポール・マルク、ギヨーム・ディオップのエトワール4名、そして若手7名というメンバー。ガラを監修するのはパリのコンセルヴァトワールだけでなく、パリ・オペラ座でも教師を務めているジル・イゾアールだ。彼は大勢の若手ダンサーたちの中に光輝く未来のダイヤモンドを見出すことに長けている。これから紹介する7名は彼の審美眼がパリ・オペラ座のエトワール以下の階級から選び出した、いわば"エトワール予備軍''といっていいだろう。

圧倒的な技術をベースにした高い芸術性を魅せる
イネス・マッキントッシュ(プルミエール・ダンスーズ)

イネス・マッキントッシュ
Photo: James Bort

2019年に入団した彼女は2021年コリフェ、2022年スジェに。コンクールではなくジョゼ・マルティネス芸術監督によって任命され、その翌年2024年からプルミエール・ダンスーズとして舞台に立っている。常にベストを尽くそうと努め、熱心に稽古を続ける彼女の姿勢はジョゼも讃えるほどだ。すでに『くるみ割り人形』『ジゼル』の主役を踊り、最近では念願叶って『ロミオとジュリエット』のジュリエット役に配された。今シーズン最後には『ラ・バヤデール』のガムザッティに初役で取り組む。2年前のオペラ座ツアーが彼女にとって初来日で、『白鳥の湖』でパ・ド・トロワとハンガリーの踊りに配役され、また昨年映画館で上映された『眠れる森の美女』ではフロリナ姫を踊っているので、彼女の名前と顔とダンスが一致する日本のバレエファンもいることだろう。たいそうなテクニシャンだが、圧倒的な技術で会場を驚かせることだけに甘んじない彼女。技術はベースに過ぎず、そこに芸術性をもたらすことを大切にしている。今回の公演で彼女がフランチェスコ・ムーラをパートナーに踊るのは、Aプロで『海賊』のパ・ド・ドゥと『パリの炎』、Bプロでは『スカルラッティ・パ・ド・ドゥ』『タリスマン』。彼女がパに込める感情がどれほど作品に深みを与えるか、ぜひ会場で確認してほしい。

パリ・オペラ座バレエ団2024年日本公演『白鳥の湖』より
左からブルーエン・バティストーニ、アルチュス・ラヴォー、イネス・マッキントッシュ
Photo: Kiyonori Hasegawa

マルチな魅力で踊る喜びを舞台にもたらす
カン・ホヒョン(プルミエール・ダンスーズ)

カン・ホヒョン
Photo: James Bort

韓国で、エトワールのパク・セウンと同じ学校、同じ教授からバレエを学んだ彼女は契約団員を1年経験し、2018年に入団した。22歳の時で他の団員に比べると遅いが、その4年後のコリフェ時代にポール・マルクをパートナーに『マイヤリング(うたかたの恋)』の主役マリー・ヴェッツェラに配役されたことは大きな話題となった。その後『ドン・キホーテ』『眠れる森の美女』『ロミオとジュリエット』などヌレエフ作品の主役を踊る一方、イリ・キリアンの『Gods and Dogs』やクリストファー・ウィールドンの『コリュバンテスの遊戯』ではスレンダーでしなやかな肢体を武器にアクティブなダンスを披露するマルチな魅力の持ち主だ。作品のタイプが異なれど、踊る喜びを舞台にもたらす彼女。ロレンツォ・レッリがパートナーのこのガラで、Aプロでは『パピヨン』『ヴィヴァルディ・パ・ド・ドゥ』、Bプロでは『ジゼル』第2幕のパ・ド・ドゥ、『くるみ割り人形』第2幕のグラン・パ・ド・ドゥを踊る。作品が変わるたびにロマンティック、いたずらっ子、優美にと様々な表情を見せてくれるはずだ。なお、彼女が2025年にプルミエール・ダンスーズに上がったのは芸術監督の任命による。

カン・ホヒョン
〈バレエ・スプリーム〉2025年公演より
Photo: Kiyonori Hasegawa

敏捷かつエネルギッシュに踊りながら豊かな芸術的表現で活躍
フランシスコ・ムーラ(プルミエ・ダンスール)

フランチェスコ・ムーラ
Photo: James Bort

技術とエレガンスを併せ持つフランチェスコは、小柄ながらステージ上で存在感を放つダンサーである。イタリアのフィレンツェ近郊の街でダンサーだった両親が経営する学校でダンスを習い始めた彼。アマンディーヌ・アルビッソンやマチュー・ガニオ同様、両親とともに幼い頃からステージを経験している。スカラ座のバレエ学校で2年学んだ後、第3ディヴィジョンからオペラ座の学校に。2015年に入団し、2017年にコリフェ、翌年スジェに、そして2020年にプルミエ・ダンスールに昇級。『ドン・キホーテ』のバジル役という子供時代からの夢は、2023年12月にイネス・マッキントッシュをパートナーに叶えることができた。今回のガラのAプロでもイネスと『ドン・キホーテ』の第3幕グラン・パ・ド・ドゥを披露する。彼女と踊るジャン=ギヨーム・バールの『ベルガマスク』では軽快なステージを見せることだろう。敏捷かつエネルギッシュに踊りながら芸術的表現も豊かな彼はパリ・オペラ座では貴重な存在で、『パキータ』『シルヴィア』では主役を任されている。さらに『ロミオとジュリエット』ではマキューシオ、ベンヴォーリオ、ティボルトと個性異なる3役に配役される八面六臂の活躍。シーズン最後の『ラ・バヤデール』ではブロンズ像を踊る予定だ。

文:大村真理子(パリ在住・エディター)

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《エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス》

公演日

【Aプロ】
2026年
8月19日(水) 19:00
8月20日(木) 19:00

【Bプロ】
2026年
8月21日(金) 19:00
8月22日(土) 12:00
8月22日(土) 17:00

会場:昭和女子大学 人見記念講堂

入場料[税込] ※東京公演

S=¥20,000 A=¥17,000 B=¥15,000
C=¥13,000 D=¥11,000 E=¥9,000
U25シート=¥4,500

予定される出演者

ブルーエン・バティストーニ(エトワール)
ギヨーム・ディオップ(エトワール)
ドロテ・ジルベール(エトワール)
ポール・マルク(エトワール)
カン・ホヒョン(プルミエール・ダンスーズ)
イネス・マッキントッシュ(プルミエール・ダンスーズ)
フランチェスコ・ムーラ(プルミエ・ダンスール)
ロレンツォ・レッリ(スジェ)
エンゾ・ソガール(スジェ)
リュシアナ・サジオロ(コリフェ)
シェール・ワグマン(コリフェ)

*プログラムについてはこちらをご覧ください。