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Photo: Shoko Matsuhashi

2026/05/20(水)Vol.542

〈エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス〉
ドロテ・ジルベール インタビュー
2026/05/20(水)
2026年05月20日号
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バレエ

Photo: Shoko Matsuhashi

〈エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス〉
ドロテ・ジルベール インタビュー

パリ在住の大村真理子さんによるドロテ・ジルベールのインタビューをお届けします。アデューを控えたジルベール自身の〈エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス〉出演に向けて、それぞれの作品への思いが語られました。

エトワールとして日本で踊る最後のステージ

「8月の〈エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス〉がエトワールとして日本で踊る最後のステージ。それは確かね」と笑いながら語るドロテ・ジルベール。10月15日に『マノン』で彼女がアデュー公演を行うことが発表され、チケットの売れ行きは猛スピードとか。この〈エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス〉のプロデューサーであるジル・イゾアールから参加の依頼があった時、来日予定がなかった彼女は"大好きな日本にまた行ける!"と大喜びしたという。ジルと彼女は長いことの知り合い。ジルは楽屋がアレッシオ・カルボーネと一緒だったこともあり、彼女とアレッシオの結婚式にも出席しているという仲である。彼が教師となってからは公演準備のための個人レッスンを何度も受け、また長女出産後にステージ復帰に向けて体を整えてくれたのも彼だそうだ。ジルのクラスレッスンはハードだけれど可能な限り、とるというように、彼女にとってジルはメンター的存在である。

ドロテ・ジルベール
Photo: James Bort

この夏の公演でのパートナーは、最近パリ・オペラ座でも組むことが多いギヨーム・ディオップだ。 「彼がエトワールに任命されたオペラ座韓国ツアーの『ジゼル』は私と一緒の時だったのよ。でも、彼のキャリアのもっと早い時期から私たちは組んでるの。最初は2022年の『ラ・バヤデール』で。フランソワ・アリュが任命された時のシリーズ。任命後にフランソワが降板した公演を代役だったコリフェのギヨームと踊ることになったのだけど、それを知ったのは公演2~3日前。それまで組んだことがなく、しかも全幕......彼にはすごいストレスだったと思うわ。この作品は比較的ベーシックだけれど、最初のパ・ド・ドゥは長いし、それにパートナリングという点でとても難易度が高いの。第3幕のパ・ド・ドゥはアカデミック。公演前にまずは通しでパ・ド・ドゥを15分くらい踊ってみることにし、その結果"大丈夫、私たちできるわ!''って確信できたのよ。これほどギリギリの変更ではなかったけれど、その次には『白鳥の湖』でユーゴ(・マルシャン)が膝を痛めた時にもギヨームが代わりにパートナーを務めてくれたの」。
彼とは17歳の年齢差。彼に対して彼女は保護者的な気持ちになるのでは?と想像するが、それについてドロテはこう答えた。「今シーズン彼と『ル・パルク』を踊ったのだけど、芸術面での大きな進歩を感じたわ。本格的な演技が求められる作品を二人で踊ったのはこれが初めてではあったけど、彼が役を自分のものにする方法や彼からの提案などに、『ジゼル』の時に比べるとすごい成長が見えて......これはうれしい驚きだったと言えるわ」。

『マノン』ユーゴ・マルシャンと。
(2024年パリ・オペラ座バレエ団日本公演より)
Photo: Kiyonori Hasegawa

〈エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス〉で彼女は『瀕死の白鳥』のソロ、そしてギヨームとはピアノの生演奏でベン・スティーヴンソンの『3つのプレリュード』、ローラン・プティの『ランデ・ヴー』そして『ラ・バヤデール』第1幕のパ・ド・ドゥの3作品を踊る。
「『ランデ・ヴー』は彼と一緒に何年か前に稽古をしたけれど、最終的に私は別のパートナーと組むことになって一緒には踊らずじまい。これは芸術面の仕事がとりわけ面白い作品なの。ギヨームにとって日本で初役で踊ることになるので、来日前に時間をかけて稽古をするつもりよ。このガラで踊るのはどれも快適な作品ばかりなので、とても楽しみよ。この公演はオペラ座の来シーズンの稽古が始まる直前のもの。シーズンが始まってすぐに私はオペラ座を去るので、これは一種新シーズンのプレスタートという感じかしら。そのおかげで、私はアデュー公演まで体調を維持できることになるの」。
『眠れる森の美女』を41歳で初役で踊り、さらに42歳で『椿姫』を初役で、そして43歳で『マノン』全幕を踊ってアデュー公演を行えることにとても満足しているというドロテ。
「キャリアの最後にこうした作品を踊れるとは予想もしていなかった。今、『椿姫』の稽古中で体があちこち痛いのだけど、でもそれは踊ったことのない役だから当たり前なのね、身体が振付に慣れる必要があるから。過去に踊った作品だと何年ぶりかに踊るのでも、森の中に作った道を辿るようにできるのだけれど、今はまだ道のできてない森の中にいるという感じ。テスト中ね。枝を折っては前進し、道を作ってという......」と。

『ジゼル』より
(2020年パリ・オペラ座バレエ団日本公演より)
Photo: Kiyonori Hasegawa

公演ごとに職業意識の高さを感じせるドロテだが、アデュー公演に向けても彼女なりにしっかりと体を準備している。
「歳をとった時に体を良いコンディションに保つのは簡単なことじゃないので、私は自分なりにシーズンを構成したの。アデュー公演に選んだ『マノン』を踊るためには、それ以上にハードな『ラ・バヤデール』を7月に踊る必要がある。そうすると『マノン』が簡単に感じられるはずだから。では、『ラ・バヤデール』を踊るためには? というように計算をしたのね。今シーズンの最初の『ジゼル』は前回怪我で降板してるので、プチ・チャレンジとなったけど、これを踊っておかないとシーズン最後に『ラ・バヤデール』が踊れなくなってしまう。で、『ジゼル』を良い体調で踊るためには、その前のシーズンに『マイヤリング(うたかたの恋)』や『オネーギン』もあったけど、何かハードな作品をやっておかねば、ということで『眠れる森の美女』を初役で踊ることにしたの。プログラムそのものは私が決めるものではないので、その枠の中で大きな目的に向けていかに自分をプッシュしてゆくかって、いつも考えてるのよ」
エトワールとして最後の日本での公演。メンバーもプログラムも素晴らしいので、楽しみに待っていて! というのが彼女からのメッセージだ。

取材・文:大村真理子(パリ在住・エディター)

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《エスプリ・ドゥ・ラ・ダンス》

公演日

【Aプロ】
2026年
8月19日(水) 19:00
8月20日(木) 19:00

【Bプロ】
2026年
8月21日(金) 19:00
8月22日(土) 12:00
8月22日(土) 17:00

会場:昭和女子大学 人見記念講堂

入場料[税込] ※東京公演

S=¥20,000 A=¥17,000 B=¥15,000
C=¥13,000 D=¥11,000 E=¥9,000
U25シート=¥4,500

予定される出演者

ブルーエン・バティストーニ(エトワール)
ギヨーム・ディオップ(エトワール)
ドロテ・ジルベール(エトワール)
ポール・マルク(エトワール)
カン・ホヒョン(プルミエール・ダンスーズ)
イネス・マッキントッシュ(プルミエール・ダンスーズ)
フランチェスコ・ムーラ(プルミエ・ダンスール)
ロレンツォ・レッリ(スジェ)
エンゾ・ソガール(スジェ)
リュシアナ・サジオロ(コリフェ)
シェール・ワグマン(コリフェ)

*プログラムについてはこちらをご覧ください。