2026/05/20(水)Vol.542
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| 2026年05月20日号 | |
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| バレエ英国ロイヤル・バレエ団 |
マリアネラ・ヌニェス(リーズ)、ワディム・ムンタギロフ(コーラス)
Photo: Alice Pennefather
7月に英国ロイヤル・バレエ団日本公演で上演される『リーズの結婚』は、創設振付家フレデリック・アシュトンの代表作の一つであり、同バレエ団のレパートリーを支える名作です。ロンドンでは昨年10月、9年ぶりにリバイバル上演され、その楽しさと見応え、そして圧倒的な幸福感が観客と評論家から絶賛されました。ここでは、その魅力の一端を現地レビューからご紹介します。
ロンドン公演の初日が開けると、メディアには久々に本作に触れたレビューアーたちの喜びの声があふれました。各紙の見出しは、本作の穏やかでほのぼのとした世界観の中に、工夫を凝らしたダンスや演出がユーモアたっぷりに繰り広げられる幸福感をこぞって伝えています。
アシュトンのロマンティックなバレエは、夢の世界へ誘う極上のエスケープ (LONDON THEATRE)
今なお、もっとも陽気で、もっとも楽しく、何より軽やかにはじけるラブ・コメディ(GRAMILANO)
アシュトンの不朽の名作がコヴェント・ガーデンに帰還し、その魅力がいまも若い観客を惹きつけてやまない理由を示した(The Telegraph)
冬の憂鬱を吹き飛ばす最高の特効薬(The Jewish Chronicle)
農家の娘リーズの恋の騒動を描く物語の幕開けは、夜明けのニワトリのダンスから始まります。その最初の見せ場を飾る雄鶏役から、リーズの恋に立ちはだかる母親(未亡人シモーヌ)や、その母親が押し付ける結婚相手のアランなど、レビューでは物語を彩る個性的なキャラクターと、それを演じるダンサーたちの活躍にも多くの言及がありました。
主役カップル以外にも、『リーズの結婚』には大人も子どもも楽しめる魅力がたっぷりあり、決して子ども向けに寄りすぎることはない。注目株の五十嵐大地は、雌鶏たちを従えるカリスマ的な雄鶏役で、存在感とキャラクター性を見事に詰め込んでみせた。
未亡人役のホワイトヘッドは経験豊富だが、この役にはなお即興性と強い舞台存在感が求められる。第1幕のハイライトである木靴の踊りでは、コメディとしての間合いと音楽性がぴたりと噛み合い、実に心地よい見応えを生んでいた。(Broadway world評:Vikki Jane Vile)
日本公演で主役のコーラスに抜擢されているアクリ瑠嘉は、ロンドン公演ではアラン役を演じ、次のように期待の高まる絶賛を博しました。
数々の素晴らしい演技の中でも、とりわけ心を奪われたのが、アクリ瑠嘉によるアランだ。彼は優れた技術を持つだけでなく、俳優としての質も大きく高めており、不器用で場違いな青年アランの、胸が締めつけられるような純真さを鮮やかに描き出している。リーズを射止めることは叶わないと分かっていても、舞台に姿を見せた瞬間から、彼が自分の幸せを見つけられるよう応援したくなる。近年のアラン役の中でも、間違いなく屈指の出来栄えだ。(Bachtrack評:Amanda Jennings)
さらに、主役のリーズとコーラスが第1幕で披露する「リボンの踊り」は、愛の絆に見立てたリボンを小道具にしたダンスで、至難のテクニックが彼らの愛の成就をほのめかす見どころの一つです。
螺旋を描くシェネの回転に合わせて、ピンクのリボンが二人の胴に絡みつく。彼女がポアントを保ったまま押し引きを繰り返すと、わずかなひねりや傾きだけで、二人の間に張られたリボンが「あやとり」のような模様を生み出す。その光景に客席からは思わず夢見心地のため息が漏れ、続いて当然のように拍手が湧いた。二人は心から楽しんでいるだけでなく、振付の難所を軽やかにこなす姿から、共に踊ることへの深い喜びがはっきりと伝わってくる。(Broadway world評:Vikki Jane Vile)
もちろん、『リーズの結婚』の核となるのは、主役のリーズとコーラスの二人。ほのぼのとしたテイストとは裏腹に、演じるには高い技術とアシュトンのスタイルの習得が必須といわれます。レビューでは、彼らの表現力とアシュトン・スタイルの体現について称えられています。
現在のロイヤル・バレエ団のプリンシパルの中で、もっともアシュトンらしさを体現するマリアネラ・ヌニェスは、リーズ役を完全に自分のものにしている。高速のフットワーク、鋭い方向転換、難度の高いバランスといった苛烈な技術的要求を軽々とこなし、その笑顔は劇場全体を明るく照らす。
ワディム・ムンタギロフは卓越した技術を持つだけでなく、理想的なパートナーでもある。彼の生意気で愛嬌のあるコーラスは説得力に満ち、ヌニェスのリーズにとって絶妙な相棒となっている。この二人の間に生まれる化学反応は、観客が彼らの行く末に引き込まれずにはいられないほどだ。(LONDON UNATTACHED評:Teresa Guerreiro)
アナ・ローズ・オサリヴァンには、リーズという役に必要な要素がすでにすべて備わっている。自然で豊かな音楽性と結びついた、輝きに満ちた軽やかなテクニック。表情豊かな顔立ち、温かく陽だまりのような人柄、そしてコメディの間合いをつかむ抜群のセンス。そのすべてが、役を生き生きと立ち上げている。(GRAMILANO評:Jonathan Gray)
ここでは、フランチェスカ・ヘイワードとマルセリーノ・サンベが2016年に本作のデビューを果たした際のレビューもご紹介しておきましょう。
ヘイワードはすでに、アシュトン作品を生まれつき理解しているかのようなダンサーであることを証明している。軽やかで素早い動きに加え、上半身の繊細なニュアンスを捉える感性は見事で、小柄なバレリーナとは思えないほど豊かな表現の幅を持つ。その音楽性も際立っており、『リーズの結婚』では旋律的なフレージングが巧みなコメディの間合いにまで行き渡り、才能が一層輝いていた。サンベもまた同じく卓越したダンサーだ。大きく伸びやかなジャンプと回転の妙技を誇りながら、小さなステップや様式的な癖にも細やかな注意を払う。その総合力が舞台を豊かにしている。(The Guardian評:Judith Mackrell)
最後に、世界的に戦争がもたらす暗い影におおわれた昨今の世相を踏まえて、この作品の癒しの力に触れたレビューの一節をご紹介します。
歴史の中には、世界が混沌とし手に負えないものに感じられるとき、芸術が癒しの力として真価を発揮する瞬間がある。 ロイヤル・オペラハウスでロイヤル・バレエ団の『リーズの結婚』が幕を開けた夜も、まさにそのひとときだった。このもっとも陽気なバレエは、日々のストレスという"矢弾"から、明るくユーモラスでロマンティックな小休止をもたらしてくれた。(Bachtrack評:Amanda Jennings)
リハーサルの際に、マリアネラ・ヌニェスは『リーズの結婚』について「今の重苦しい世界にこそ必要な作品だ」と語った。アシュトンのこの愛され続ける名作がコヴェント・ガーデンの舞台に戻るのは2016年以来。当時も待ち望まれていたが、今はそれ以上に、この作品が求められている。(Broadway world評:Vikki Jane Vile)
9年ぶりのロンドン公演で改めてその魅力を証明した『リーズの結婚』。 この幸福感あふれる名作が、7月の日本公演でどのように観客の胸に響くのか──期待は高まるばかりです。
文責:NBS
7月3日(金) 18:30
7月4日(土) 13:00
7月4日(土) 18:00
7月5日(日) 13:00
7月5日(日) 18:00
会場:川口総合文化センター リリア
フカガワみらいホール(メインホール)
[公演日時と予定される主な配役]
7月3日(金) 18:30
リーズ:マリアネラ・ヌニェス
コーラス:ワディム・ムンタギロフ
7月4日(土) 13:00
リーズ:アナ・ローズ・オサリヴァン
コーラス:アクリ瑠嘉
7月4日(土) 18:00
リーズ:マヤラ・マグリ
コーラス:マシュー・ボール
7月5日(日) 13:00
リーズ:高田 茜
コーラス:カルヴィン・リチャードソン
7月5日(日) 18:00
リーズ:フランチェスカ・ヘイワード
コーラス:マルセリーノ・サンベ
指揮:ホセ・サラサール
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
S=¥29,000 A=¥26,000 B=¥23,000
C=¥18,000 U25シート=¥7,000
*親子割引[S,A,B席]あり
7月10日(金) 18:30
7月11日(土) 13:30
7月11日(土) 18:30
7月12日(日) 12:00
7月12日(日) 17:00
会場:NHKホール
[公演日時と予定される主な配役]
7月10日(金) 18:30
ジゼル:マリアネラ・ヌニェス
アルブレヒト:ウィリアム・ブレイスウェル
7月11日(土) 13:30
ジゼル:サラ・ラム
アルブレヒト:平野 亮一
7月11日(土) 18:30
ジゼル:ナターリヤ・オシポワ
アルブレヒト:リース・クラーク
7月12日(日) 12:00
ジゼル:金子 扶生
アルブレヒト:ワディム・ムンタギロフ
7月12日(日) 17:00
ジゼル:高田 茜
アルブレヒト:セザール・コラレス
指揮:マーティン・ゲオルギエフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
S=¥32,000 A=¥26,000 B=¥23,000
C=¥18,000 D=¥14,000 E=¥10,000
U39シート=¥9,000 U25シート=¥7,000
*親子割引[S,A,B席]あり